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[トークLive開催レポ 1/2] どうなる!? これからのスマホアプリ開発~開発者の”寿命”は交わる人の種類で決まる

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7月30日、『エンジニア適職フェア』の会場内で開催されたトークLive「どうなる!? これからのスマホアプリ開発」は、約100名分の席が満席、立ち見が多数出るほどの盛況となった。

(写真左から)長瀬慶重氏、山本直也氏、増井雄一郎氏と、業界のキーパーソンが集結

(写真左から)長瀬慶重氏、山本直也氏、増井雄一郎氏と、業界経験豊富な面子が集結

パネリストとして登壇してくれたのは、サイバーエージェントの技術部門執行役員である長瀬慶重氏と、トップエンジニアとして『Corona SDK』、『Titanium Mobile』といったスマホSDK(Software Development Kit)の日本での普及役を務める山本直也氏と増井雄一郎氏。

(※パネラーの詳細プロフィールはコチラ

「サービス企画・開発側」と「ディベロッパー側」双方の業界キーパーソンが、自身の体験談を踏まえながら語り合った。はたして、彼らが示してくれた「開発者の進むべき道」とは? トークLiveのダイジェストを紹介しよう。

「簡単に作れる時代」の差別化要因とは?

―― まずはお話のきっかけとして、お3方それぞれが考えるスマートフォン向けサービス市場の現状を伺いたいと思います。

長瀬 『Ameba』を通して見えてくる市場の規模感からお伝えしますと、スマホからのトラフィックはまだ全体の1割に満たない程度です。ただし、伸び率は目覚ましい。広告事業も含め、すごい勢いで伸びています。アプリマーケットについて以前からあった「iOS向けかAndroid向けか」という論点では、だいたい半々の割合になってきました。これからはAndroidがシェアを広げそうな勢いを持っています。

山本 ディベロッパーサイドにいるわたしの感触だと、今年に入ってからスマホアプリ開発の需要がようやく顕在化してきて、SDKのような開発キットにも大きな注目が集まるようになってきたと感じています。わたしが日本国内に紹介している『Corona SDK』しかり、増井さんが推進している『Titanium Mobile』しかり。

増井 ご紹介いただき、ありがとうございます(笑)。山本さんの言う通り、ここへきてツールの価値がとても注目されていて、うれしく思います。JavaやObjective-Cなどを駆使してロジックを作りこまなくても簡単にアプリが作れる、という点で、『Corona SDK』や『Titanium Mobile』は共通していますよね。こうしたツールの普及で、他業界にいたエンジニアやWebデザイナーだったような方も、アプリ開発に手が出せるようになった。この変化が一番大きなインパクトじゃないかと思っています。

山本 サクッとカジュアルに、誰にでもゲームアプリやカッコイイUIを作れるようになってきたわけですから、今後は『Corona SDK』にもより拡張性が求められるかもしれないな、と思っているところです(笑)。

―― アプリの開発が容易になると、この市場に参入してくるプレーヤーも増えてきます。そのため、これから競合と差別化を図っていくためには、今まで以上に「アイデア」が重要視されていく気がしているのですが……。

「技術はサービスを作る道具。その使い道を取捨選択できる人が

「技術はサービスを作る道具。その使い道を取捨選択できる人が”良いエンジニア”だ」(長瀬氏)

長瀬 それは間違いないでしょう。わたしが会社内でよく言っているのは、「技術はサービスを実現するための道具でしかない」ということ。企業のミッションは、ユーザーの欲しいものを企画することですから。

増井 なるほど。

長瀬 でも、当然ながら、技術力のあるエンジニアがいないことには、優れたアイデアをすばやくカタチに落とし込むこともできません。だから今後のスマホアプリ開発では、例えば組込み開発をやっていた人、Flashをやってきた人、Webサービスを作ってきた人など、それぞれの強みを持つ人たちがチームを組み、各々が考える「ベストで最速なモノづくり」を行うことが重要になるのではないかと考えています。

増井 長瀬さんのお話に補足すると、すばやく良いものを作り上げるためにも、技術という「道具」をいかに選択していくか? という目利き力も大切になるでしょう。

山本 うん、確かに。

増井 SDK一つをとっても、単純なゲーム開発ならば『Corona SDK』の方が『Titanium Mobile』よりも親和性が高いけれど、ツール開発なら『Titanium Mobile』の方が向いているというように、用途に合わせて適切な道具を選ぶことが大切だと思います。

既存の技術を軸に「周辺知識」を増やしていくことが活路を拓く

山本 そうですね。それに、スマホアプリには、ならではの良い点があります。それは、自分で作ったものをマーケットにすぐ市場に投入できる点。サービス展開にしたって、例えば大手企業と組んでPHP側とサーバを確保できれば大きな取り組みにしていけます。

「スマホアプリの世界も他分野と同じで、技術的に『尖がれる軸』がないと第一線では戦えない」(増井氏)

「スマホアプリの世界も他分野と同じで、技術的に『尖がれる軸』がないと第一線では戦えない」(増井氏)

増井 自分をダイレクトにアピールできるという点で、技術力なりアイデア力なり、自分の得意な領域で勝負できる環境になってきましたよね。

長瀬 同感です。転職を考えている人にとっても、スマホアプリは「自分を語る道具」としても非常に優れていると思います。今、SIerにいるエンジニアなどは、日ごろは大規模プロジェクトを動かしていると思いますが、その場合、個人としての実績がなかなか表現しづらい。

山本 それはありますね。

長瀬 でも、スマホアプリなら極論一人でも作れますし、自分の実力をモノで示すことができます。応募レジュメなんかよりも、確実なアピール材料になるわけです。採用する側から言えば、もし自作のスマホアプリがあって、それを見せてもらえたなら、その人がどういう人なのかを的確に知る手がかりになります。

増井 実力を示せるものは、アプリだけじゃないと思いますよ。僕の場合、「やりたいものリスト」をいつも『iPad』に入れて持ち歩いていて、人と会うたびにそれを見せるんです。そこでまたアイデアをもらったりしているうちに、新しい開発案件につながったりもしています。

山本 お2人のお話を聞いていると、アプリ開発の世界で戦っていくためには、「今の自分へのプラスα」をどうやって作っていくかがとても大事なんだと思いますね。技術力にしろ、アイデアにしろ、自分の得意としている軸がしっかりあって、そこからどう「プラスα」を作っていくかが勝負の分かれ道になる。

増井 アプリ開発の技術に詳しくないエンジニアは、SDKに詳しくなってみるのも一つの手でしょうし、逆に技術力に自信がある人はアイデア豊富な人との交流を大事にするとか。

山本 うんうん。

増井 それに、ある開発言語に詳しいエンジニアはたくさんいますが、複数言語にまたがる部分に生じる”すき間”を埋められるエンジニアって、それほど多くないじゃないですか。そこを狙っていくことで、個人としてオリジナルな価値を生み出すこともできますよね。

(2/2に続く)

【補足tips】Q.この分野でのキャリアメイクに必要な「感性」をどう鍛える?
動画をご覧になれない方はコチラ(YouTube)よりご覧ください

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