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[トークLive開催レポ 2/2] 「財産は火事で燃えるが、知識はなくならない。だから勉強が一番の投資」という発想

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まずは「自分をベンチマークする」ことから始めよう

法林 なるほど。続いては「本を読む」、ですか。

川村 はい。他人の知識や経験を吸収する方法はいくつかありますが、一番手っ取り早いのが本だと思うんです。もちろん技術書は読むんですが、違う業界の本も参考になりますね。最近はまっているのは、スポーツ選手の本です。

今は、FCバルセロナのグアルディオラ監督の本を読んでます。異業種の人がいかにして成果を上げているのかを知るのは、自分の仕事にも役立ちますね。

法林 ネットと本には違いがあるんですか?

川村 ネットでも情報を集めることはできますね。ただ、本はプロの書き手や編集者が、ストーリーを考え抜いて作っています。だから重みがあるし、頭にも入ります。わたしはなるべく、月に1万円くらいは書籍にお金を使うようにしています

法林 そして3つ目が「目標を立てて、自分をベンチマークする」。ベンチマークという言葉が、いかにもエンジニアっぽいですね(笑)。

キャプ

「わたしは1カ月、1年…というスパンで、自分に目標を立て、確認するようにしています」(川村氏)

川村 これは、自分自身にPDCAを当てはめるという感じですね。仕事とプライベートで、1週間、1カ月、そして2年ごとに目標を立て、確認するようにしています。

法林 へえ。どうしてそれをしようと思ったんですか?

川村 エンジニアって、成果や成長が分かりづらいと思うんです。野球選手なら、今年は3割打てたとか明確な指標があるじゃないですが。でも、特に会社勤めをしていると、成果が「見える化」してこない。

法林 特にネットワークエンジニアという仕事は、ネットワークが上手く動くように維持する仕事ですからね。「これを作ったぞ」という実績が見えづらいところはありますね。

川村 はい。だから、その仕事の枠組みの中だけに安住していると、自分の成長が止まっちゃう気がしたんです。28歳くらいから、目標を書き出して後で振り返るという作業を始めました。

竹迫
 素晴らしいですね! 僕は開発系のプログラマーにありがちなんですが、計画を立てるのが苦手で(笑)。

川村 いやいや、全部達成できてるわけじゃないですから(笑)。達成率は5割も行かないんで、その改善が今後の課題です。

法林 いずれにせよ、「書き出して振り返る」というやり方は、とても参考になりますね。

新しいことを頼まれたら断らない。でも経験済みなら断る

法林 お待たせしました、3人目の竹迫さんに伺いましょう。

1つ目の「芸は身を助ける/芸は身を滅ぼす」とはどういうことでしょうか?

キャプ

「人の頼みを聞いていると、ただの『御用聞き』になってしまう。取捨選択が大事」(竹迫氏)

竹迫 ことわざに「芸は身を助ける」ってあるじゃないですか。でも、IT業界では「芸が身を滅ぼす」ってケースがけっこうある気がするんです。コンピュータが得意というだけの一芸があると、いろいろな人に仕事を頼まれる。

でも、そのうちどんどん「御用聞き」化してしまって、新しい知識について勉強する時間がなくなってしまうんです。

だから僕は逆に、新しいこと・できないことを頼まれたら、なるべく断らないようにしています。その代わり、去年やった仕事をまた頼まれたら、今度は断るかもしれません。

法林 そうやって、自分のできる仕事を広げるよう心掛けているんですね。

竹迫 人間って、もともと大きな可能性を持っていると思うんです。ところが、年齢が進むにつれ、自分の幅を狭めてしまう。それが行き過ぎると、社会が急激に変わった時に、適応できなくなります。だから、仕事とは直接関係のない勉強会に出かけるなど、可能性を広げることは大切だと思います。

法林 今は、勉強会がすごく盛んになってますね。

竹迫 そうですね。それも、自分の興味のある勉強会だけに出るのではなく、今まで自分が避けてきた新しい分野に首を突っ込むのも良いですね。

「知識」は絶対になくならない財産。投資あるのみ

法林 続いては「お金があったら本を買う、知識に投資」ですね。

竹迫 僕は月に2、3万円くらい本を買ってると思います。実は以前、戦後を経験したお年寄りの話を聞いたことがあるんです。当時はインフレで、お金の価値がどんどん下がっていた。あっという間に目減りするから、お金は貯めたりせず、何かに使う方が良いと言うんです。

それから、去年の3.11を経験して、「何か起こって逃げるときに、持ち出すべきものは何か?」と考えたんです。いざという時は、札束や金庫を持って逃げるわけにはいかない。宝石みたいに、軽くて価値のあるものを持って逃げる方が良いですよね。

そう考えると、一番軽くて持ち出しやすいのは「知識」なんですよ。だから、お金を知識に変換しておけば、将来何かあった時にも役立つと思っています

キャプ

「知識をためておけば、変化に適応しなくてはならない時、有利に働くことが多いですよね」(法林氏)

法林 知識という財産があれば、変化に適応する際にも役立ちますよね。

竹迫 ただ、一応「投資」ではあるので、価値が目減りする危険性もあるんですけどね(笑)。それは、各自のセンスということで。

法林 最後は、「最新の情報は若い人から教えてもらう」ですね。

竹迫 僕は34歳で、「35歳定年説」の直前(笑)。最近は、Web系やソーシャル系では、若い人の方が最新情報を知ってますよね。特にHTML5の開発などでは、20代が大活躍しています。ですから、そのあたりの情報は若い人から教わります。もちろん、自分で情報収集することもできるんですが、若い人が集約した情報をそのまま得る方が効率は良い。

法林
 年を取ると、若い人に聞くことに抵抗がある人もいますよね。でも、こういうことはやった方が良いと思いますね。

竹迫 ソーシャルゲームがどうして儲かるか知ろうとしたときは、親戚の中学生に、実際のところどうなのか、いろいろ聞きました(笑)。そうやって流行を知ることは、エンジニアにとっては必要でしょう。

赤井 若い人に教えを請うのは大事ですね。僕はエンジニアをやめて10年くらい経ちますが、現役のエンジニアの中には、僕より技術的な知識がない人もいます。そういう人は、1つの技術しかやってないことが多い。

一方、僕は歳をとって、分からないことを「分かりません!」と言える図太さが身に付きました(笑)。また、海外のIT系企業のトップは、現場のエンジニアやマーケティング担当者を呼んで、定期的に最新技術や新商品についてレクチャーを受けているんですよ。

法林 大企業のトップでも、そういうことをやり続けているんですね。

さて、3人のパネラーに3つずつ、「錆びない秘訣」を挙げていただきました。トークLiveのテーマが「錆びない技術屋がやっている10のこと」なので、実はあと1つ残ってます。ただ、ディスカッションの時間がもうギリギリですので、こちらの続きは僕の連載でお伝えしたいと思います。

今日は皆さん、どうもありがとうございました!

取材・文/白谷輝英 撮影/柴田ひろあき

>>2月28日公開予定の「[連載:法林浩之⑤] 技術屋として錆ないために心掛けたい10個目のこと」に続きます

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