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[トークLive開催レポ① 1/2] エンタメ×ITの未来開発会議~ソーシャルグラフをリアルにつなげたサービスが生き残る

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(写真左から)AMNの福田一行氏とチームラボの田村哲也氏

(写真左から)AMNの福田一行氏とチームラボの田村哲也氏

10月15日(土)、『エンジニア適職フェア』の会場内で、トークLive「エンタメ×ITの未来開発会議」が、二部構成で開催された。第一部にあたる【Part-1】はWebサービス、第二部の【Part-2】はゲームの未来にフォーカスし、各業界のリーディングカンパニーを率いるキーパーソンが、パネルディスカッションを展開した。

>>【Part-2】の開催レポはコチラ

【Part-1】にパネラーとして登壇してくれたのは、チームラボ取締役の田村哲也氏と、日本におけるカンバセーショナルマーケティングのリーディング企業であるアジャイルメディア・ネットワーク(以下、AMN)でCTOを務める福田一行氏だ(パネラーの詳細プロフィールはコチラ)。

Webサービス業界の先端をいくリーダーたちが注目する分野とは何か? トークLiveのダイジェストを紹介しよう。

ファインチューニングはソーシャルゲーム業界のPDCAサイクルに学べ

――今回、お話しいただきたいテーマの一つが、「Web(BtoC分野)のネクストムーブメントはどんなジャンルで生まれそうか?」です。

田村 チームラボは、そんなに自社サービスを持っていないんですが、最近『チームラボハンガー』という、唯一と言えるくらいの自社サービスというか自社パッケージみたいなものを打ち出しています。とはいえ、たいていはお客さまのニーズをもとにして開発することが多いです。

そこではやはり、「Facebookと連携して何かをしたい」というお話をいただきますが、その中でFacebookを使ってバイラル効果を狙い、拡散させたいというお話はよくいただきますね。

具体的に言うとFacebookの中のソーシャルグラフを使って、例えばFQL(Facebook Query Language)というFacebookの言語があります。あとはグラフレビュアーですね。そういったツールを使い、実際にそのユーザーがサイトを訪れた時に、そのユーザーの友達がどういう行動をしたかを踏まえた上での商品レコメンドなど、できるようにならないか、といった提案は最近は増えてきています。

Twitterが入った時にも結構あったんですが、最近だとユーザーの拡散力みたいなものをどうやって計るのか、みたいなところがけっこう注目されていますね。TwitterでもFacebookでも、自分たちなりの定義を決め、「拡散力はこれぐらいです」みたいな、定量的なデータを使ったマーケティングは求められているでしょう。

――今回テーマに加えている「エンタメ」ですが、B to Cゆえの”ノリ”みたいなものは、どういう風に加えていらっしゃるのでしょう?

田村 チームラボのサービスで、『コレカモ.net』というサービスがあります。2010年の春にリリースしたもので、簡単に言えばTwitterbotです。Twitterbotはたくさんあるんですが、『コレカモ.net』は独り言を言うだけじゃなくて、ちゃんと回答します。こうした、Twitterbotを使った商品レコメンドは、当時はけっこう新しかったですね。

また、単純なTwitterbotだとユーザーさんが使ってくれないので、そこにコレカモさんというキャラクターをつくりあげ、商品のレコメンドだけじゃなくて、つぶやきや会話の端々にキャラクターなりの回答をつけて、何かペットみたいに遊んでもらえるよう、工夫しました。これなんかもある種”エンタメ要素”だと思います。

福田 ソーシャルグラフという話ですと、AMNが運営している『WISH』に関連して、今年度の受賞作の一つである『giftee』さんなど、まさにオープングラフ的なものを上手く使った形で、友人に対してプレゼントを送ることができる。しかもそれは連絡先を知らなくても、何かしらでつながっていれば送れるので、例えリアルではつながっていなくても、バーチャルな状態でリアルにつながる形で展開していけるのが、非常に面白いですね。うまくソーシャルグラフとリアルをつなげている点で、良いサービスだなと思います。

今年の8月に『WISH2011 plus』をやったとき、わたしも『WISH』で登壇したいというサービスの候補を集めていたんですが、そこに今年の特徴が大きく2つ出ていました。

一つは、誰かにあげたいであったりとか、誰かを応援したいであったりとかいうシェア的なもの。もう一つが欲しい人とあげたい人をつなげるようなマッチング系のサービスですね。『WISH』には登壇していただいてないですけれども、例えば『Livlis』さんとか。

――では、ソーシャルグラフに続いて、最近話題になっているキーワードである「ゲーミフィケーション」という概念について、ご意見をお聞かせください。

「ソーシャルメディアを展開していくのであれば、『リアルなソーシャルグラフ』として、本当の友達と、どれだけ密につなげられるかが重要」(福田氏)

「ソーシャルメディアを展開していくのであれば、『リアルなソーシャルグラフ』として、本当の友だちとどれだけつなげられるかが重要」(福田氏)

福田 わたし自身ゲーミフィケーションにはかなり興味を持っています。では実際にそれを業務に活かせているかといったら、なかなか難しいんですが、いわゆるソーシャルゲームがこれだけ流行っている中、ソーシャルゲーム業界のノウハウをほかのサービスやシステムに展開するとするなら、最も重要視すべきなのが、PDCAサイクルではないかと。ソーシャルゲーム業界は、PDCAサイクルの回転がものすごく速く、いかにユーザーが効率にゲームを遊べるかみたいな形を追求していますよね。その視点が非常に大事だと思っています。

本来、別にゲームだろうが、ゲーミフィケーションだろうが、それはちゃんとやるべきなんですが、よりその回転速度が速くなってきている中で、そこに対応したWebの分析や、それを実行に移す速度、チームづくりなどが必要かなと考えています。

やはりソーシャルゲームは、いわゆるバーチャルグラフと呼ばれるような、リアルではないゲーム上だけの友だちというところでつながっている部分が強いと思うので、それに対抗する形でソーシャルメディアでちゃんと展開していくのであれば、「リアルなソーシャルグラフ」として、本当の友だちと、どれだけ密につなげられるかが重要性を増します

なのでゲーミフィケーションというと、いかにそこのユーザーをそのサービスなり何なりに夢中にさせるかというところなんですが、その一つのきっかけが友だちかなという気はしています。つまり、日本のWebコミュニティやサービスが、FacebookやTwitter、mixiなどバラバラになってしまっている理由の一つが、友だちがそこにいるからなのかなと。例えば友だちが全員Facebookへ移ってしまったら、自分一人でほかのサービスを使っていても面白くなくて、やっぱり自分もFacebookに行ってしまうという形にはなるだろうと。だからこそ、いかにその友だちを巻き込み、まとめて連れてくることが必要になってくるだろうなと考えています。

――田村さんはどうお考えですか?

田村 福田さんのおっしゃるとおりです。

(会場・笑い)

理解できない若手の意見を”切り捨てない”ことがチームをつくる

――人を巻き込むというところでいくと、チームラボさんはすごく巻き込み方がお上手な気がします。自分たちも周りのユーザーも楽しんでいる雰囲気があるなと。

「下請企業としてではなく、別な視点で、顧客のビジネスパートナーとしてやっていけるのが、チームラボの強みの一つ」(田村氏)

「下請企業としてではなく、別な視点で、顧客のビジネスパートナーとしてやっていけるのが、チームラボの強みの一つ」(田村氏)

田村 そうですね。そういう意味では、お客さまに非常に恵まれているので、お客さまに喜んでいただきながら、開発者もけっこう自由度が高い提案ができたりする雰囲気があると思います。そうした環境の中でエンジニアも一緒になって考えて、つくり上げるという、そこのプロセスというのは、やっぱり下請企業とはちょっと別な視点で、お客さまのビジネスパートナーとしてやっていけるというのが、チームラボの強みの一つですね。

例えばミーティングでも、最初はお客さまからいただくお題は、「何か楽しくしてよ」とか「面白くしてよ」とか、たいてい、あまり具体的ではありません。そういう意味では、あまりにも自由度が高く、何をとっかかりに考えていいのか、難しいところがあったりします。そういった時は社内で、もう社内のML、メーリングリストに「こういうお題があります」とメールをすると、いろんな人からいろんな視点で、もうどんどんメールが来て「こんなアイデアがあります」みたいな。それをお客さまと話している人間がまとめて、最終的にそれをきっかけにブレストをしてみたいな、そういう進め方をします。

しかも弊社の場合は、上司・部下の関係性がなく、上司が「この意見に決める」みたいな意思決定もないわけです。みんなフラットなので、みんな言いたい放題。そういう意味では、まとめ役というのがすごく大変なのかなと。

――田村さんがまとめ役をされる場合はどういうところに気をつけてらっしゃいますか?

田村 もう34歳なので、若い人の新しい意見で、良いか悪いか判断しづらいことがすごく多いんです。僕が使っているサービスと、若い子たちが使っているサービスでけっこう差があったり、生まれてから触れていたものも違ったりして、考え方の根幹が全然違うんですよね。

だから、これからサービスを考えようとした時に、若い人たち向けのサービスをと思った時に、われわれとしては、どちらかというと聞き役ですよ。われわれの意見はもちろんあって、議論ももちろんします。でもそこで、「やっぱり若い子達の意見は違うね」というところで、切ってしまわないように、あとは自分がそれは良い意見だということを理解するまで、やっぱりずっと聞き続けます。自分の腑に落ちるまで。そうしないと、もう考え方がついていかなくなっちゃいますね。

――福田さんは現在29歳でいらっしゃいますが、若い人の持っているトレンドと、その上の人たちが見ているものが違うという中で、何か心掛けていらっしゃることはありますか?

福田 ジェネレーションギャップとは違う話ですが、エンジニアとして心掛けているのは、現状何ができるのかということと、今後新しく何ができるのかということをいかに見つけてくるかの二点ですね。営業の方が提案してきた内容がすごい突拍子もないことで、実はできませんよというのは多々ありますし。

田村 よくありますね。

福田 それをいかに理想に近づけていくかというのが、エンジニアに求められる大きな役割の一つだと思います。

田村 そうですね。一つのマーケットニーズに近いものがあったりするので、「できません」の一言でなかなか片付けちゃいけない部分もあるんでしょうね。

福田 あとは、エンジニアとしての壁を乗り越えるためにもというのもありますけど。できるものだけをやっていていいのかという話もあるので、そこはチャレンジしてみようという話にはなりますね。

2/2に続く

 

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>>[トークLive開催レポ① 2/2] 「面倒くさがり」でないエンジニアに新しいサービスは生み出せない