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プロダクトマネジャーに求められる資質って?【30分対談Liveモイめし:赤松洋介×えふしん】

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ツイキャス』を運営するモイの代表取締役で、経験豊富なエンジニア赤松洋介氏が、週替わりで旬なスタートアップのエンジニアや起業家を招いて放談する「モイめし」。『ツイキャス』連動企画として、お昼に30分の生放送&その後のフリートークも含めて記事化したコンテンツをお届けします!

ツイキャス』を運営するモイの代表取締役で、経験豊富なエンジニア赤松洋介氏が、週替わりで旬なスタートアップのエンジニアや起業家を招いて放談する「モイめし」。初回のゲストは、今年7月までモイの顧問を務めていた、弊誌連載でもおなじみのえふしんさんだ。

エンジニア社長として今でも最前線でコードを書き続ける赤松氏と、CTOを務めるBASEでは環境づくりに専念するため、「コードを書かない」宣言を行ったえふしんさん。対照的な立場にいる2人のトークは、近況報告から両社の開発体制の相違点、さらには「属人化したスキルを組織内でいかに伝承していくか」といった話題へと移っていった。

『ツイキャス』が今年4月に期間限定でリリースした、最大100人までの同時配信を可能とする「コラボ100」機能は、赤松氏自ら、通常業務の合間に「勝手に」作ったものなのだという。エンジニアがいいプロダクトを生み出すためには、時には決まりきった開発手順から逸脱できる自由度は大事、という考えで両者は一致。しかし一方で、組織が大きく成長する上では、逸脱しすぎずにきちんとした手順を踏むべき、という考えとの間で葛藤もあるようだ。

放送終了後のアフタートークでは、そうした2つの考えの間に線を引く「プロダクトマネジャー」という役割に話が及んだ。海外では、優れたプロダクトの影には必ずといっていいほど優秀なプロダクトマネジャーが存在するというが、日本にはまだ、ロールモデルと呼べるような存在が少ないように思える。

「プロダクトマネジャーに求められる資質」をめぐって行われた2人のやり取りを、以下で紹介しよう。

ユーザーをしっかり見ること、サービスのあるべき姿を描けること

えふしん プロダクトマネジャーの役割って、結局社長がやっているのと同じことだと思うんです。この先サービスをどうしていくのか、今どうあるべきなのかという定義をちゃんと語れる存在というか。

赤松 そのためにはやっぱりユーザーさんの動きがしっかり見えていないと厳しいですね。前職のサイボウズのころは私もプロダクトマネジャーをやっていたんですが、BtoBであれば要望がすごく見えやすいのでラクなんです。でも、コンシューマ向けだとトレンドという感じになるので、捉えるのがすごく難しい。

えふしん 現在のようなアプリ中心の時代になると、追加した1機能が的外れなものであれば、サービスにとっての致命傷になる可能性がある。そこを誤らないように舵取りしていくには、赤松さんが言うようにユーザーの動きを見ることもそうですが、哲学がすごく大事だと思いますね。このサービスはどうあるべきか、という価値観をきっちり描ける人であること。

ネットサービスのUIというのは、アートに近い。心地良いかどうかというのは類型ができないからです。だからその人の資質によるところが大きくて、再現性はあまりない。

赤松 最近やたらとデザインが大事と言われていますが、やっぱり中身がちゃんとしていないと、デザインだけでユーザーさんをキープするのは難しい。アートとは言っても、その辺は感性だけではないような気がしています。

えふしん その意味で僕がすごいと思うのは楽天の三木谷さんですね。プロダクトマネジメントの話なのかビジネスの話なのかは微妙なところですが、アフィリエイトを始める時にしても、全店舗を前提とした設計の上でやっていて、難しいからといって安易に妥協しない。

ほかではAmazonもすごい。同じECでも、楽天とかBASEは商品の表示を各ショップにゆだねているので、在庫がなくなったら商品は消えてしまう。これはSEO的にはすごく不利です。対してAmazonはデータベースに在庫がぶら下がる、SEO的なストックが効くプロダクトデザインになっています。

後から気付いてみればそれらしく説明できますが、サービスの立ち上げ当初からやっているのがすごい。完全にビジョン、哲学の勝利です。

エンジニア発のサービスは「雪だるま式」に飛躍する

えふしん 赤松さんは、この人のプロダクトマネジメントはすごい、と思うような人がいますか?

赤松 DeNAの南場さんのように、非IT系でありながらWeb系のビジネスを始める人たちはすごいと思いますね。うちらエンジニアはリスクを予測できますが、ああいった人たちはリスクの問題を二の次にして、プロダクトをデザインする。それでいて、エンジニアとはちゃんと会話しながらモノを作ってしまうわけですから。

逆に言えば、エンジニアは基本的にリスクをとらないので、小さくまとまってしまいがちというのはありますね。みなさん、どうやって発想を飛躍させているんでしょうね?

えふしん サービスの筋が良ければ、ユーザーさんはついてきてくれる。アーリーアダプタみたいな人たちがついてくれるところまでいけば、サービスは楽しく回り始めます。このサイクルに入ると強いですね。目の前に待っている人たちがいたら、どうにかしたくなるのが人間の性ですから。

それ自体はまだ小さなおもてなしのサイクルでしかないとしても、それがどんどんと雪だるまのように大きくなっていくという感じでは? 最初から壮大なビジョンを描いていることなんて、レアケースではないでしょうか。

赤松 確かに、『ツイキャス』も最初から壮大なビジョンがあったわけではないです。昨年5月に初めて出資してもらったときも、ビジョンなんてないですよ、それでも大丈夫ですか?って言ったくらいですから(笑)

えふしん Googleだって、「世界の情報を整理する」っていうビジョンを掲げてはいますが、最初はインターネットに限った話ですから、ちっちゃい話です。そこに「あらゆる」という枕詞がついたから大きくなっていった。最初からストリートビューのようなものをやろうとして起業したわけではないでしょう。

ちっちゃな理念がもとになり、それが雪だるまのように大きくなっていく。それがエンジニアなりの飛躍の仕方なのではないでしょうか。

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取材・文/鈴木陸夫(編集部)