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フリーのアプリクリエイターとして生きていくということ【30分対談Liveモイめし:赤松洋介×はむへい】

公開

 
ツイキャス』を運営するモイの代表取締役で、経験豊富なエンジニア赤松洋介氏が、週替わりで旬なスタートアップのエンジニアや起業家を招いて放談する「モイめし」。『ツイキャス』連動企画として、お昼に30分の生放送&その後のフリートークも含めて記事化したコンテンツをお届けします!

ツイキャス』を運営するモイの代表取締役で、経験豊富なエンジニア赤松洋介氏が、週替わりで旬なスタートアップのエンジニアや起業家を招いて放談する「モイめし」。2回目のゲストは、世界で40万人に使われる方向音痴向けナビ『Waaaaay!』のアプリ開発を主に担当するなど、フリーランスのアプリクリエイターとして活躍中のはむへいさんだ。

数々の会社やチームと組んでヒットアプリを送り出し続ける、はむへいさん。一見、自由気ままに見える働き方を実現するために心掛けていることとは?

プロフィール

チーム方痴民 はむへいさん

方向音痴日本代表『チーム方痴民』で、世界で40万人に使われる方向音痴向けナビ『Waaaaay!』のアプリ開発を主に担当。2009年度未踏ユース採択、日本ソフトウェア科学会2012年度高橋奨励賞、起業家甲子園2013優勝、ハッカローソン優勝など。独立後に開発したアプリは20本以上、累計約200万DL

自主開発と並行して、アイデアを売り込んでの受託開発も

60万DLを記録している『恋人クイズ』

60万DLを記録している『恋人クイズ

赤松 フリーランスのアプリクリエイターとしての活動とは、どういったものなんですか?

はむへい フリーランスとしての活動は、大学院時代から数えて3年目に入りました。元々は受託と自主開発が半々のバランスだったんですけど、最近は自主開発の方が面白くて、今では週4日はそっちに集中していますね。

赤松 自主開発はどういった形で進めてるんですか? 趣味的なものなのか、ビジネスとしてやっているのか……。

はむへい 最初はとにかく自分の面白いと思うものを作っていました。最初に作った『恋人クイズ』というアプリがたまたま60万DLとヒットしたので、そこに広告を入れて細々とやっていたんですけど、それを見たカップル系サービスの人に声をかけてもらったことがきっかけで、新しい方法を思いついたんです。

僕が作りたいと思って作ったプロトタイプを、そのサービスに相性のよさそうな会社に持ち込んで、興味を示してもらえたら完成までの仕事を請け負うんです。そうすればモチベーション高く作れるし、お金も入って一石二鳥だと考えました。

赤松 なるほど。自己ブランディングがうまくいっているんですね。では、受託の仕事は今後も続けていくつもりですか?

はむへい いえ、それはお金が回るようになるまでと考えています。このやり方にも営業が必要になってくる。それは面白くないので。やらないで済むところまでいければいいなと思っています。

ヒットやDL数にこだわっても意味はない

方向音痴向けナビゲーションアプリ『Waaaaay!』

方向音痴向けナビゲーションアプリ『Waaaaay!

赤松 みんなキリギリスみたいにやりたいことだけやっていたいと思っているけれど、なかなかうまくいかないものですよね。受託は受託で楽しいところはあると思いますが、たくさんアプリを作ってどれかヒットすれば、というやり方は大変ではないですか?

はむへい ヒットするかどうかはあまり意識していませんね。一つ象徴的な出来事がありました。『恋人クイズ』の後に小さなツール系のアプリを作ったんです。DL数は『恋人クイズ』の10分の1以下。でも、好きで自分で使い続けていたら、気付くとアクティブユーザー数では『恋人クイズ』を上回っていたんです。

『恋人クイズ』はキャッチーだから、すごくDL数が伸びる。でも、生活の中で思い出されるものではありませんでした。ここを考えれば、たとえ自分の作りたいものを追求していたとしても、運などに左右されることなく成功できる。みんなにウケそうな路線、ヒットを無理に狙わなくても、アプリ開発の道はあると感じた出来事でした。

赤松 確かに、コアなファンがいるようなサービスには意味があると思いますね。『Waaaaay!』のようなとがったものを作れば、コアなファンはちゃんとついてくるから。

はむへい 僕自身も分かりやすく伝えやすいから、ついDL数で話しがちなんです。でも、本当はDL数そのものにはそんなに意味がない。100万DLされていてもアクティブユーザー数がその10分の1以下、なんて話はざらです。そこに惑わされなければ、楽しくアプリ作りが続けられるのではないでしょうか。

赤松 まあ、コアな人が使うアプリには広告で稼ぐのが難しいという難点もありますけどね。

これと決めたらサービスは一つに絞るべきか否か

「近く『Waaaaay!』の法人化も検討している」と話すはむへいさん(左)と赤松氏

「近く『Waaaaay!』の法人化も検討している」と話すはむへいさん(左)と赤松氏

はむへい とりあえず有料のアプリを売る、というだけではうまくいかないと思うんです。かつて有料のカテゴリ1位を取ったサービスもありましたがうまくいかず、同じものを無料で出したら広告が回りだした。月額課金モデルなのか、追加機能を売るのか。どうお金にするかは現在も模索中です。

会社を作って責任を持って続けたいと思うまでになれば、投資を受けるという選択肢もあるとは思っています。考え中ですが、それに今一番近いのが『Waaaaay!』だと思っています。リリースから半年で40万DL、アクティブユーザーも10万~20万くらいまでいきました。

赤松 そもそも、『Waaaaay!』はどのようなところからアイデアが生まれたんですか?

はむへい もともと残り2人のメンバーがWeb向けにやっていたもので、もっといいものにできる、自分が入ればもっと早くアイデアを実現できると売り込んで加わりました。自分は地図を見るのが嫌い。目的地があったら、一緒にいる人の袖を掴んでただ付いていくのが理想なんです。地図を読むのは面倒くさいし、脳のキャパシティーをかなり使う。ナビは何も考えないでも目的地に行けるものであるべきだと考えました。

赤松 なるほど。でも、そこまでこれと決めたサービスなのだとしたら、今すぐにでも投資を受けないのはなぜですか?

はむへい うーん……チームで話した結果ですが、現状、『Waaaaay!』にはユーザーはついていますが、お金を稼いでいないから価値を決めづらいと思うんです。シンプルなアプリだから、今後は観光のナビアプリ、お年寄り向けなど、さまざまな展開も考えられます。ある程度評価できるビジネスモデルを提示できるようになってからじゃないと、フェアじゃない気がするんです。

赤松 投資する側はそんなこと考えていないと思いますけどね(笑)。もし、そこに集中できるのなら、100%集中した方がいい気がします。いろいろなことに手を出していると、そちらに時間が取られるから。そもそも、受託をやるほど、今の生活にお金はかからないのでは?

はむへい そうですけど、受託の仕事も息抜きになっているからいいと思っているんです。それに、投資を受けるということはスケールするということなので、人を雇うことになるでしょう。僕にはその経験がないからという理由もあります。

赤松 投資を受けたからって別に3人のチームのままでもいいじゃないですか。私だって今、ツイキャスのために週7日働いています。週4日では全然少ないですよ。日本にはせっかく優秀な若い技術者がたくさんいるのに、さまざまな制約のせいでアプリやサービスを作れていないのはもったいない。息抜きが必要なのも分かりますが、一つのものにフォーカスした方がいいものが作れると思いますよ。

私もかつてはサービス開発合宿というのを毎月やって、年間10個くらいのサービスを作っていた時期があります。それだと、発展性を出すのがどうしても難しい。自分の思い入れもどんどん次へと行きますからね。

人生は有限。時間を売って金に変えるのは言語道断

赤松 でも、アイデアがどんどん沸くというのは、物事を深堀りしている証拠だと思いますね。

はむへい でも、最近その深堀を自ら浅くしていることに自分で気付いたんです。それはモノ作りにとって体に悪い行動なので、やめようと思いました。だから今は、作り始める前にまず何も手を動かさずに1カ月考えて、作るものが決まったら3日から1週間で、という意識でやっています。

赤松 私にも、これと決めたサービスにもっと集中していたら伸びていただろうという経験が、過去に何度もあります。生きている時間は有限なのだから、その時間を売ってお金にするというのは一番良くない。

そのことに気付いたころには、大抵の場合、もう若くはないわけですが、せっかく世界を変えるだけの可能性があるのだから、若い人は恵まれた日本、東京という環境に甘えるのではなく、がむしゃらに頑張ってほしいと思いますね。同じようなサービスでもアメリカの方が伸びるのは、生きるか死ぬかの覚悟で作っているからだと思いますよ。

取材・文/鈴木陸夫(編集部)

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