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目指すは「資産管理」のクックパッド!『マネーフォワード』を作って気付いた、「愛されるサービス」づくりに必要な4つの秘けつ【マネーフォワード×LIG】

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海外サービスのローカライズでも、既存サービスの後発クローンでもない。そんな新サービスの開発に多くの苦労が伴うのは言うまでもない。特に「お金」や「資産」という、デリケートなテーマに取り組むとなればなおさらだ。

では、どうしたらターゲットとすべき人々に対しコンセプトを伝え、利用に結び付けることができるのか。

今回紹介するサービス『マネーフォワード』は、家計簿管理はもちろんのこと、資産管理からお金の使い方にいたるまで、一人一人のお金に関するあらゆる悩みを解決できる次世代プラットフォームサービスだ。家計簿をつけるだけのアプリや資産管理のサービスはあっても、お金を複合的に扱うサービスは日本では定着しておらず、ユーザー数もまだ多くはない。

そんな中、運営元のマネーフォワードは2012年12月に『マネーフォワード』をリリース。サマリーCTO・北村慧太氏に「UI/UXがスゴい」と言わしめ、ライフネット生命・岩瀬大輔氏が「自分も使っている」とあるラジオで紹介するなど、周囲の反応は良好だ。

成功の道しるべとなる「お手本」が存在しない新たなサービスを生み出すため、何が必要なのか。日本ではまだまだ未発達な資産管理のマーケットを切り拓くべく『マネーフォワード』の開発に携わったマネーフォワードと、デザイン設計を手掛けたLIG。彼らの対談を通して、「愛されるサービスづくり」に必要な4つのキーワードが浮かび上がってきた。

• 重要なのはカッコよさより親しみやすさ
• 直感的に迷わないデザイン
• 複雑なシステムを構築できる技術の高さ
• 重要なのは、ユーザーオリエンテッドな開発

―― 本日はお集まりいただきありがとうございます。まずはマネーフォワード創業者の辻さんにお伺いしますが、そもそも『マネーフォワード』を開発しようと思われたきっかけは?

 現在当社のCOOを務めている瀧(俊雄氏)とわたしがアメリカに社会人留学していた時、このサービスの原型になるアイデアが生まれました。

2人とも金融業界出身で、以前から現状の資産状況が簡単に把握できたり、自分の状況に応じてお金に関するレコメンドが受けられるようなサービスができないかと考えていたんです。お金って、人生ですごく大事な要素なのに、中立的なアドバイスをなかなか得ることができない。例え自分で探したとしても、得られる情報が偏っていたり、中立的ではなかったり、自分には当てはまらない情報だったりすることが多いと思っていて。

昨年末に、満を持してリリースされた『マネーフォワード』。ソーシャルメディア上の反応は上々だ

 当時は法人向けサービスはあっても、一般の人たちが手軽に使えるようなモノや、自分が使ってみたいと思うようなモノはありませんでした。料理には『クックパッド』が、外食には『食べログ』があるように、「お金」にもそれに該当するサービスがあるべきだと思ったんです。

とはいえ、当時は社費留学生の身でしたから、帰国したらまず自分の籍のある会社(※辻氏はマネックス証券出身)でサービス実現の可能性を探るつもりでいました。

―― それが起業に至ったのはどうしてですか?

 会社でサービスを立ち上げることも考えて社内でも相談していたのですが、市況が良くなかったこともあり、外部環境がなかなか厳しく……。また、一金融機関が提供するサービスになると、他社に良いサービスがあってもそれをユーザーに提案するのは難しいですよね。

本当に便利な金融サービスを提供するためにも、やはりユーザーに対して中立な立場であるべきだという結論に至りました。それで、思い切って起業することにしたのです。前職のマネックスも懐が深い会社で、一部出資という形で応援していただけることになったんですよ。

浅野 当時はまだ創業メンバーのほとんどが在職中でしたから、すでに独立していたわたしが休日や夜に集まれるオフィスを借りたり、ワイヤーフレームやモック作成を始めたんです。

第三者に聞いて初めて気付いた「SNS機能は怖い」という感覚

―― 最初から思い通りのモノができましたか?

浅野 実はそうでもありませんでした。

たくさんの人に「お金」と上手く付き合えるようになってもらいたい。そのために、試行錯誤を繰り返していると話す辻氏

 ユーザーの集合知をもとに「お金」というパーソナルな問題を解決するサービスを作るという部分は最後までブレませんでした。が、サービス内容やアプローチについてはかなり試行錯誤を繰り返したんですよ。今もその繰り返しなんですが。

浅野 技術的な部分に関しては、開発チームに経験豊かなエンジニアが多いので、何の問題もありませんでした。例えばRuby on Railsでフロントを作っているのですが、そのレールをそのまま使わず、資産管理サービスで最も重要なセキュリティを強化するため、独自に組み直して使っています。手間は掛かりますが、信頼されるシステムをちゃんと作り上げることができたと思います。

ほかにも、家計費目の巨大なデータベースを構築し、費目の自動分類を行うことで自動的に家計簿が作成される機能も作りました。ただ、いざデザインを設計しようとなると難しくて……。

綾部 最初の企画ではSNS機能が大きな要素を占めていましたよね。ちょっと過激な……。

 「丸裸サービス」のことですね。(笑)
(次ページへ続く)