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ノーガード就職活動に必要なたった2つのルール【連載:村上福之⑪】

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村上福之のキャラ立ちエンジニアへの道

株式会社クレイジーワークス 代表取締役 総裁
村上福之(@fukuyuki

ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。歯に衣着せぬ物言いで、インターネットというバーチャル空間で注目を集める。時々、マジなのかネタなのかが紙一重な発言でネットの住民たちを驚かせてくれるプログラマーだ

今の若い人に役に立つのか立たないのか分かりませんが、就職活動の時のことを思い出して書こうと思います。

僕は完全にロスジェネ世代でした。就職氷河期のド真ん中を体験しています。多くの同世代の友だちが非正規雇用になりました。しかし、正直言うと、僕自身は就職活動で苦労した経験がまったくないです。内定はけっこう取っていた気がします。

それだと、きっと、素晴らしい履歴書やエントリーシートを書いて、面接もテキパキと答えたのだろうと言われると、そんなわけはないです。非コミュな僕が、マトモな返答ができるわけがありません。

「面接×」でも、内定だけは取れる日々

とある大手SIソフトウエア会社の面接では、 ほかのイキイキ学生は 意気揚々とハキハキと自己PRをしていました。

From Gangplank HQ
「面接の自己PRが苦手でも内定はもらえる」と、自身の経験から語る村上氏

「学生時代は、サークルで部長を務めナントカカントカ、アルバイト先では店長代理を経験したことがありナントカカントカ……」

聞けば聞くほど別世界の住人のようでした。「毎日起きたら夕方でした」がデフォルトの僕と反対側にいるように思えます。

きっと、学生時代は3次元でも充実して、彼女もいて、モテモテだったのでしょう。正直、自己PRを聞いているとヤル気がなくなってきます。で、僕の出番がやってきました。

「いや、そもそも、僕、今の時期に、第2外国語の再々々々々々々履修を受けているので、そもそも卒業できるかどうか分かんないんですよ。。。すみません。。。」

しかし、何度かの面接の後、あっさり内定をいただきました。しかし、どうも会社が大きいし、何を作っているのか当時の僕にはまったく理解できなかったので、内定をお断りしました。

その後も、就職活動を続けました。大手の証券会社のグループ面接で、「何か質問はありませんか?」と言われて、ほかのハキハキ大学生の方々は理路整然としたカッコイイ質問をしていました。何を言っているのか意味が分かりませんでした。僕も何とか質問しようと思い、勇気を出して、手を上げて質問をしました。

「いや、あの、あの、デリバティブとか何とかは、まったく理解できないのですが、何か、その、えー、入社して、親兄弟に頼み込んで株なり何なりを売り歩かされたりするもんなんですか?」

急に冷たい空気が部屋を突き抜けました。僕はクズ人間なので空気は読めませんが、どうも良くない質問をしたようだということは感じました。哀れな子犬を見るような顔で、担当者の方が答えてくれました。

「いや、そういうことはないから。まったくないから。。。大丈夫。。。」

その後、なぜか、その証券会社も内定をくれました。しかし、やはり、金融はよく分からないので、内定をお断りしました。

もっと言うと、僕のような、アスペな人間に履歴書やエントリーシートを書くのもほぼ不可能です。そんな書類なんて、書き終わる前に飽きてしまいます。履歴書の左側の途中まで書いて力尽きて、右側が空欄で提出したりもしました。

ロスジェネ世代の僕が考えた、エコな履歴書の作り方

当時、履歴書は手書きで印鑑と写真が必要だったのですが、アスペでどんくさい僕は、右半分が空欄の履歴書を出してしまったこともあり、印鑑も写真も貼ってないということを提出後に気付きました。

From Munir Hamdan
村上氏いわく、何度も書き直してしまうような長い履歴書作成は不要だという

それで後日、人事担当者に、僕の名前の三文判と写真を同封して、「すみませんが、写真を貼って、ハンコ押しておいてください」と手紙を添えて出したりもしてました。人事担当者から、「いくら何でも、ハンコを送りつけるのは、常識的に良くないと思うんだが…… 」と苦言を呈されました。

しかし、何度か遅刻しながらの面接の後、内定が取れたりしました。

履歴書もエントリーシートも滅茶苦茶でしたが、気を付けたことがあります。こういった方法が今でも役に立つのかは分かりません。

1)書くことがなければ、最小限にする。
2)客観的に実績を証明できるものを添付する。

この2つです。

1)書くことがなければ、最小限にする。

中途半端にいろいろ書くのは避けました。趣味の欄もいろいろ書かないで、でっかい字で「プログラミング」しか書きませんでした。志望動機も「プログラムが書きたいから」とかだった気がします。

資格の欄も力強く「なし」としか書いていませんでした。当時、僕は自動車免許も何も持っていませんでした。就職攻略本などには「資格がなければ『***資格を勉強中、*月に取得予定』とだけでも書いておくと良い」と書いてましたが、中途半端に突っ込まれても、話がややこしいので、書きませんでした。

2)客観的に実績を証明できるものを添付する。

いろいろ書くのが面倒くさいので、添付資料を添付することにしました。具体的には、自分の作ったソフトウエアのことが掲載された雑誌の記事のコピーを履歴書にホチキスで止めて出すとかしてました。

エントリーシートや履歴書を、ほぼ空欄に近い状態にして、添付資料をホチキスでパチンとしておいた方が、僕も楽ですし、相手も僕の汚ない字を読む必要がなくていいだろうと思ったからです。今、エントリーシートがWebフォームなら、添付資料はURLでも良いと思います。

当時、僕は口下手で、学生時代に何をしたのか理路整然と話せるようには思えませんでしたし、たとえ話せても「毎日起きたら夕方でした」と言うだけです。余計なことを言う前に、分かりやすいものをホチキスで留めてオシマイにしました。

こんな舐めたやり方をして怒るような会社は、そもそも、僕を面接に呼ばないでしょうし、だいたい余裕がない会社ほど呼ばれることはなかったです。ホチキスだけなので、手間もないです。

取り繕ったチャンピオンスペックは、必ずバレる

そういう「あしたのジョーのノーガード殺法」のような就職活動をしていたのですが、内定はけっこう取れた気がします。むしろ、卒業のために単位がまったく足りなかったので、そちらの方が僕にとっては大変でした。今でもたまに、単位奔走の日々が夢に出ます。

あとね。思うんですけど、皆さん、就職活動のために、無理にがんばったり、自分を盛ったりするじゃないですか。それでしんどくなくて、うまくいく人だったら、それでいいと思います。しかし、それが、「どうも自分には合わないし、うまくいかない」のなら、無理な就職活動をしなくてもいいと思います。

自分なりの方法で正直にやった方が、判断する方も「オレオレ学生時代武勇伝フィルター」が抜けるのでやりやすいと思います。

特にエンジニアリングやプログラミングで飯を食っていく人は、何かを無理に繕ったりするクセを作ると往々にして失敗すると思います。なぜかというと、仕様やスペックを取り繕っても、いつかはバレてしまうからです。

そういう仕事の仕方をして、良いことは何もないですし、チャンピオンスペックを取り繕うかっこつけプログラマーを演じても、すぐバレますし、実際、僕もそうでした。

それでも、うまく行かないのなら、無理に(いわゆる一般的な)就活をしなくてもいいんじゃないかと思います。今の時代は、マジメに就職しなくても、生きていけるからです。特に、僕らの業界では、月給28万の慶応卒の超大手SEもいれば、同じ年齢で月収100万円の中卒フリープログラマーも、ゴロゴロいるからです。

余談ですが、その後、昔僕の採用を担当された方に採用の時期にお会いすることがありました。

「僕なぁ、ああいうの嫌いなんですよ。学生時代にサークルの部長やってましたとか、バイトで店長やってましたとか。いっぱいいるんですよね。何で、そんなにいっぱい、サークルの部長がおるねんとか、バイト店長の仕事とウチの会社の仕事を比べるんかと言いたくなるんですよ。その点、村上さんは、、、めちゃくちゃでしたね……」

それが、褒め言葉だったのか、呆れていたのか、今だに分かりません。

今日もエントリーシートの前で苦悩する、すべての学生にエールを送りたいです。

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