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「本当に面白いスマホ向けゲームを量産したい」“新しいゲーム開発会社”NHN Japanが目指すもの

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NHN Japan 執行役員 エグゼクティブ・ディレクター 馬場一明氏

世界1億5000万ユーザー突破や、プラットフォーム化計画など、驚異的なスピードで事業を拡大しているLINE。2013年4月に分社化し、世界展開にも本腰を入れ始めた同社の一挙手一投足には、多くのメディアが注目している。

その一方で、分社後のNHN Japanはどんな展開を見せているのかについては、あまり知られていない。「大ヒット作を出すために、現場は開発に集中してもらいたい」という理由から、メディア露出を控えていた同社。今回、執行役員でありスマートフォン向けゲーム制作のエグゼグティブ・ディレクターでもある馬場一明氏へのインタビューを通じて、LINE分社化の狙いや将来の展望を明らかにしたい。

分社化は、「脱・プラットフォーマー」に向けた第一歩

―― まずは、NHN Japanのゲーム開発体制についてお伺いしたいのですが、やはり、ベースはハンゲームとLINE GAMEの2チームで分かれているのでしょうか?

今のところは、3:2くらいの割合でハンゲームとLINE GAMEのチームに分かれていますね。ただ、一つお伝えしておきたいのが、NHN Japanの基本姿勢は「プラットフォームやデバイスにとらわれず、面白いゲームを作ることにある」ということです。

―― と言うのは?

「面白いゲームを続々と排出するコンテンツデベロッパーになる」と意気込む馬場氏

今のNHN Japanは、ハンゲームとLINEのゲームを作っている会社というイメージが強いですよね。しかし、僕たちは、その2つのプラットフォームにこだわらず、とにかく面白いゲームコンテンツを作るコンテンツデベロッパーになろうとしています。

例えば今旬のゲームプラットフォームがあるとしたら、LINE GAMEのみならず、そのほかの新しいプラットフォームへ自分たちのゲームを出していければ多くのお客さまに知ってもらえる機会が増えますよね。今年4月のLINEとの分社化には、高いクオリティのゲームを開発して、新しい楽しみや体験を求めるお客様の期待に応えるさまざまなゲームを提供していきたい、というメッセージがあるんです。

―― プラットフォームを絞らないということは、ゲーム自体の魅力で勝負する、と?

そうです。プラットフォームやデバイスを意識しながらコンテンツを作るというより、まずは良いゲームを作ることに集中しています。面白いゲームさえ作れたら、後はそのリリースのタイミングで一番旬になっているプラットフォームに乗せればいいわけです。

そもそも、ゲームで稼いでいる企業って、強力なプラットフォームを自社で持っているところと、そのプラットフォームで一番イケてるゲームを作っているところの2つじゃないですか。LINEが前者で、NHN Japanは後者、というイメージですね。

―― 開発環境にはこだわりがあったりするのでしょうか?

「この言語を必ず使わなければいけない」ということは一切ありません。技術ありきでゲームを作るんじゃなく、面白さ最優先で開発を考えるから、そのゲームの内容に一番適した技術、一番パフォーマンスの上がる言語で作っています。

こちらが、すべてHTML5で書かれたという『つりとも』

最近の会社って、ゲーム会社に限らず新規のコードを書くことが減ってきている気がするんです。「グランドデザインだけ社内で済ませたら、あとは外部に出してコードを書かせる」みたいなことは極力やらないようにして、100%自社開発で進めています。

その意味では、ウチではガンガン新しいコードを書けますね。

また、最近LINE PLAYに出した『つりとも』は、本格的な機能を盛り込んだ結構なボリュームの釣りゲームなんですが、すべてHTML5で書いてあります。

自分たちで言うのもなんですが、HTML5でここまで高い完成度のゲームを作れるのはすごいと思いますよ。

強いコンテンツデベロッパーは、「過去のヒット」にすがりつかない

―― 具体的にどんなプロセスで1つのゲームを開発していますか?

基本、最初はディレクター、デザイナー、開発エンジニアの3人から始めて、必要に応じてスタッフを増やしています。開発期間についても、目安となる目標は設定しますが、その期間内に終わらせなければいけないということはありません。

目標の期間が過ぎた時点で、そのゲームが満足いくものかどうか、現状把握を行います。それでダメなら、満足いくまでチューニングを続ける。だから、1本タイトルを作るのにも、3カ月で仕上がるものから半年くらい掛かるものまでさまざまです。

―― そうはいっても、リリースまでのスピード感が重要だというのが昨今のWeb業界のトレンドだったりすると思うのですが。

うーん、本当にそうなんですかね? 確かに、パッケージゲームと違ってリリース後にチューニングできる要素も多いので、まずはリリースすることも大切かもしれません。でも、リリースのタイミングで絵柄がダサかったりゲームロジックが十分に考え抜かれていなかったりしたら、元も子もない。だから僕たちは、目標期間は決めるけれど、不十分なままだと判断したら、納得がいくまで世に出さない。

―― 「納得がいく・いかない」の基準はどこに置いているのでしょうか?

まずは僕を納得させること(笑)。それを開発メンバーには義務付けています。

例えば「なんでこのボタンはここにあるの? ここにあったら邪魔では?」とか、「なんでこのパーツの色はこれなの? なんかイヤなんだけど」といった風に僕がとにかく細かいことであれこれ気が付いた点を伝えます。

ベースにあるのは「これをエンドユーザーが見たらどう思うか」という基準です。こうして、とりあえずゲームができる最低限のバージョンにするためのチェックにかなり時間を割いて、ようやくリリースに漕ぎ付けられます。

―― 馬場さんの思う、NHN Japanが作るスマートフォンゲームと他社のゲームとの違いって何ですか?
(次ページへ続く)