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[コラム] 『はんだづけカフェ』は、ギークほどモテる夢のオープンスペースだった!

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運営しているのはスイッチサイエンスという、電子工作部品を販売しているウェブショップ

『はんだづけカフェ』という、エンジニアのDIYゴコロをくすぐってやまない名前のカフェが都内にあるという。

きっと、はんだ付け愛好家たちがコーヒーをすすりながら、最近はんだ付けの若者人口が減ってきていることを嘆いたり、それぞれの”無人島はんだ(無人島に行くとしたら自分が持っていく究極のはんだ)”について語り合ったりしている場所なのだろう。

いずれにせよ、想像に浮かぶのは、「趣味は電子工作です。最近は自作したガイガーカウンターが大活躍です」なんて、サラリと言ってのける猛者が集まる場所。

そんなニッチでコアなところへ顔を出し、お茶を楽しめる自信はなかったものの、意を決して、まずは足を踏み入れてみることにした。


何だかおしゃれな雰囲気だった『はんだづけカフェ』

勇んで降り立った秋葉原。『はんだづけカフェ』の最寄り駅は東京メトロ銀座線・末広町だが、電子工作のためのキットを手に入れるべく、あえて秋葉原からスタートした。

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お値段1800円。完成すれば、時間がLEDで表示されるはず

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『はんだづけカフェ』が入る、『3331 Arts Chiyoda』の外観。旧錬成中学校校舎をリフォームした、クールなたたずまいだ

電気街口から出て、事前に調べていた電子部品のメッカ・秋月電子にて「大型赤色ドットマトリックスLEDスクロールクロックキット」を購入する。「2000円以内で見た目に完成したことが分かるもの」というわたしのニーズを汲んだ、親切な店員さんがチョイスしてくれた初心者向けキットだ。

そこから外堀通りに沿って、上野方面へ歩くこと約5分。路地を右に入った奥に、『はんだづけカフェ』が入るアート施設、『3331 Arts Chiyoda』はあった。廃校を利用したそのたたずまいは、当初持っていた『はんだづけカフェ』のイメージを吹き飛ばすほどしゃれていた。

ストイックな男たちが、黙々とはんだ付けをしている”絵”を求めていたわたしは、肩透かしを食らった気分だったが、「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…」と心の中で繰り返し、3階にある『はんだづけカフェ』に乗り込んだ。


はんだ付けの失敗には2種類ある。「てんぷら」と「イモ」だ

「いらっしゃーーい」

さわやかに迎え入れられた店内。見たところはんだ付けに興じている人はいない。そこへスタッフの方がやってきて、『はんだづけカフェ』システムについて説明をしてくれる。

 「カフェという名前ですが、飲み物はありません。出たゴミは自宅へお持ち帰りください。分からないことがあれば周りにいる人に聞いてくださいね」

さっそく、先ほど買ってきたキットを取り出して、楽しいはんだ付けタイムの始まりだ! ここからは写真をメインに、『はんだづけカフェ』での様子をレポートしよう。

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説明書を取り出し、最初にするのが部品の種類・数チェックなのだが、なかなか終わらない。そもそも、どの部品名がどの部品を指しているのかが分からない。

「ジャンパー(リード線の切れ端を利用したハリガネのこと)」や「pF(ピコファラッド、と読む)」といった”業界用語”を知っていなければ、部品を特定することさえ難しい。正直、電子部品の組み立てをなめていた。

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すぐにギブアップし、スタッフの方に教えてもらいながら、一つ一つ指差し確認を行う。終われば、いよいよはんだ付けだ!

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はんだ付けで大事なのは呼吸だ。はんだごてを基板に付けて熱し、はんだを添える。心の中で「1・2・3」と数えたら、はんだを離し、さらにスリーカウント。そこでそっとはんだごてを離すのが、上手にはんだ付けをする基本だという。

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とはいえ、失敗してしまうことはある。そこで活躍するのが上の「はんだ吸い取り線」。その名の通り、溶けたはんだを素早く吸い取ってくれる。

ちなみに余談だが、はんだ付けの失敗は大きく2種類に分けられるらしい。一つが「てんぷら」と呼ばれる失敗。これははんだが基板にだけ付いて、端子のリード線にくっついていない状態を指す。

次が「イモ」。てんぷらとは逆に、はんだがリード線にだけ付き、基板に付いていない状態のことだ。はんだ付けをする機会があれば使ってみよう!

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吸い取り線以外にも、はんだ付け界にはさまざまな専用器具がある。上のオレンジの器具は、「リードベンダー」。基板に取り付ける際、いちいち一定の長さで折り曲げなくてはならないリード線を、一気に曲げることができる優れモノだ。

下はその名も「ピンそろった」という、ICの足幅を基板に合わせてワンタッチでそろえることができるアイテム。はんだ付け師を目指すなら、ぜひとも持っておきたい一品だ。


ギークたちよ、技術力を見せ付ける時が来た!

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結局、約2時間半ほどかけて、電光掲示時計は完成した。ただはんだ付けをしただけだが、これだけの量のはんだ付けを一度にしたのは人生初。ありきたりな言い方だが、電池を付けて電光掲示板が時間を刻みだしたのを見た時には、頑張った分だけ大きな達成感を味わうことができた。

電子工作に興味がある人、家族を連れてモノづくり体験をしたいエンジニアなどは、ぜひ一度行ってみると良いだろう。分からないことがあっても、声さえ掛ければ誰かが教えてくれる。

また、実際行ってみて発見したのは、世間ではオタク扱いされかねないギークな知識が、ここではモテの要素として認識されていたことだ。

施設がアートスペースだというだけあって、『はんだづけカフェ』にもアート関係者の出入りが多い。自身の作品やインスタレーションに電子工作を取り入れる上で、専門家であるスタッフや客に、アドバイスをもらいに来ているのだ。

いろんな立場・専門の人たちが、電子工作を軸に集まってくる『はんだづけカフェ』。ギーク過ぎるあまり女性に敬遠されるような人にこそ一度行ってみてほしい。きっと新しい自分の価値に出合えるはずだ。

取材・文/桜井 祐(編集部)

はんだづけカフェHP

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最寄り駅の東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分

営業時間は平日:18時~19時30分、土日祝:13時~18時