エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

起業することとは、社会的意義を作り、社会にクサビを打っていくこと【連載:えふしん④】

公開

 
モバツイえふしんのWebサービスサバイバル術

藤川真一(えふしん)

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にpaperboy&co.へ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社(現・マインドスコープ)を設立。2012年4月30日まで代表取締役社長を務める

わたくしごとで恐縮ですが、今までずっと続けてきたマインドスコープという会社を、5月の頭にjig.jpさんへ譲渡しました。モバツイを会社員から続けて5年、途中で会社を作ってからは2年半でした。

この会社でまだまだやりたいこともあったので、非常に悔しい部分も多々あるのですが、最終的な着地点としてjig.jpさんにモバツイを引き継いでいただいたというのは、とてもハッピーな形であったと思っています。

今後、自分が生きていくための新しい道を模索するフェーズに移っていくわけですが、こういう状況になってみて思う、複雑な矛盾みたいなものを文章にしてみたいと思います。

プーになることに慣れてない!

From Dita Margarita
「働く」ということが「社会に貢献する」ことにつながる。普段は意識していなくても、いざ働かない日が続くと、そんなことに改めて気付かされるという

From Dita Margarita

「組織の一員として働く」ということが「社会に貢献する」ことにつながっていると、一人になって改めて知らされたという

独立するまで3つの会社を経験してきましたが、よくよく思い出すと、前の会社を退職して、次の会社で働き始めるまでほとんど間がありませんでした。

年末に退職して年始に次の会社に行くようなパターンだったので、時間が空いて一人で活動をするというのは、慣れてないせいか思いのほか戸惑いも大きいです。

ちょうど、2010年に独立した時は、最初は一人で活動していたのですが、その時はモバツイをどうにかするという課題の方が大きくて、余計なことを考えている余裕がありませんでした。それに対して、今は何も自分の存在を世の中に主張するものがありません。

家で仕事をしていると、一日、人と話をしないと寂しいというのもありますが、それ以上に思うのは、社会に対して何の価値も提供していない、ということへの焦りです。

会社というのは、何かしらの社会的意義を持って活動しています。そういう活動に参加しているというのは、けっこう重いものだったということに気付かされますね。もっと楽観的に、と言われればその通りなのですが。

これの解消法として、友人が困っていることに対して、仕事としてお手伝いしたりしています。ちょっとしたタスクを自分に課して、誰かの役に立っているという実感を得られると、ここで書いたような問題は多少なりとも解消できます。

自分がやるべき課題をしっかり持ち、本格的に取り組むようになっていけば、そんなことは自然と忘れていくと思います。

エンジニアは起業家に向いてない!?

最近、スタートアップの技術者社長が、人を雇うのが苦手だったり、投資後のプレッシャーに弱いという話を聞くことがあります。

もしあなたが理系学科の出身だとしたら、数学を学んでいると思いますが、微分積分を使った関数の時間tを大きくしていき、状態がどうなるか?というのを予測することに慣れていると思います。

これをスタートアップの起業に結び付けたとすると、例えば1000万円の出資を受けられた場合に、売り上げが上がるまではコストだけが掛かり続けるわけです。となると、上手くいかずに残金が0円になるまでの時間が感覚的に理解できてしまうため、より大きなプレッシャーを感じるのではないか、という仮説を立てています。

これは、「あと1000万円しかない」と考えてしまうか、「1000万円もある」と考えられるかが分かれ目です。

よくエンジニアの社員が持つ葛藤で、システム的な問題点への対策を会社に提案しても、それは時期尚早と却下され、自分の意見が通らないことに対する葛藤を覚えることがあります。これは典型的な「1000万円しかない」か「1000万円もある」と考える問題の例と言えます。

実際はリスクに対する判断が適切にできていないだけかもしれませんが、判断は正しかったと仮定すると、経営者であれば「1000万円もある」と考えるべきなのです。

しかし、問題は「そうすべきだ」と頭で理解できていても、恐怖の感情は解決しにくいことであり、別の事に目を向けて不安な気持ちをフォローしていくしかありません。一つは早いうちにキャッシュフローを生みだすことはもちろんですが、もう一つ大事なことが「事業に対する信念」を持つことだと思います。

(次ページに続く)