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[孫正義×堀義人トコトン議論] 激論の末に見えた「新エネルギー社会」を支えるテクノロジーの萌芽とは?

公開

 

自然エネルギー構想を推し進めているソフトバンク孫正義氏(@masason)と、その言動にTwitter上で異を唱えてきたグロービス経営大学院の堀義人氏(@YoshitoHori)が行った公開討論「トコトン議論~日本のエネルギー政策を考える~」。

8月5日(金)に東京・汐留で行われたこの討論会には、抽選で選ばれた約300名の聴衆が会場に押しかけ、両氏の白熱した議論を見守った。

世間では「脱原発派」の孫氏、「原発容認派」の堀氏というとらえ方をする向きもあったが、正確には堀氏は「電力安定供給論」であることを主張。

一方の孫氏も、プレゼン内で自身が「”原発ゼロ”を含む原発ミニマム論=原子力に代わる電力源ではどうしても供給不足になる場合に限り、原発を使う」を主張していると述べ、各々の見解を戦わせた。

両氏の主張や、討論の模様は以下を見てもらうとして、弊誌では、この討論会で見えた「未来のエネルギー政策を支えるであろうテクノロジー」に着目した。

■孫正義氏のプレゼンテーション資料コチラ )

■堀義人氏のプレゼンテーション資料前編  |  後編 )

≪8月5日討論のUSTREAMアーカイブ―プレゼン編≫

※デバイスやブラウザによって、表示されない/観れない場合があります。その際はコチラにジャンプしてください。

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上のプレゼン資料にもある通り、電力の安定供給を最優先で考えるなら、現状では再生可能エネルギーだけではベースロード電源(燃料費や電力供給量を考慮し優先運転される電源)にはなり得ないと主張する堀氏に対して、孫氏は反論を展開。

原発の3大神話とされる「安定・安価・安全」は、福島の原発事故で統計的にも崩れたと論じ、現在の節電努力が続けば火力・水力の発電容量だけでも電力使用量のピークに対応し得る可能性、自身が原発に代わる電力源として推奨する自然エネルギーは技術開発によって発電コストが下がっていく旨を主張した。

そして、意見の相違が多かった両氏が、3時間超に及ぶ討論の末に合意したのは、おおむね以下のポイントだった。

【1】 両氏の論の起点は「人命第一」であること

【2】 原発事故がもう一度起こるような事態は

絶対に回避しなければならない

【3】 電力会社間の連携線となる電力網の強化が大切

【4】 孫氏が推進する「メガソーラー構想」はチョイスの一つとして重要
→エネルギーミックスの再構築こそが急務

【5】 新たな発電・節電技術の導入を促進していくための開発投資が必要

【6】 原発事故の再発防止を含め、新テクノロジーの研究開発を

推し進めることが社会貢献、世界への貢献になる

※【6】の「研究開発」について、孫氏は必要性を認めつつも「あくまで人命に害を及ぼさない場所で行うべきだ」と補足している

【5】に関しては、孫氏は自然エネルギーが原発を含む既存の電力源に置き換わるまでの具体的な短期施策として、「LNGコンバインドサイクル」の普及を提唱。これにより、石炭火力に比べて約1.6倍(原発20基分)の電力増が実現できるとの見解を述べた。

加えて、「シェールガス(地底の頁岩層から採取される天然ガス)」を利用した発電に移行していくのも短期施策として有効という意見も述べ、堀氏はその場で賛意を示した。

いずれにせよ、堀氏が論じた「安全保障には多様性、多角的な分析が重要」という視点に立脚しても、【4】~【6】の取り組みは継続して促進されなければならず、そこにかかわってくるテクノロジー企業の役割も非常に大きなものになっていくだろう。

編集部では今後、孫氏・堀氏が語った次世代エネルギーやエネルギーミックスの担い手たちに取材を行い、2人が世間に示してくれた「エネルギー政策を改善するテクノロジーの萌芽」を追っていく予定だ。

そこに携わる各種エンジニアの活躍や成果こそが、2人が異口同音に強調し、繰り返して述べていた「未来の子供たちの命を守る」ための試金石になると信じて。

取材・文・撮影/『エンジニアtype』 8/5トコトン議論取材班