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[連載:八反田 智和] adamrocker氏に聞く-「最近は人間の処理能力を拡張するPersonalizeに興味がある」

公開

 
スマホ新時代のニューリーダー、未来へのメッセージ

株式会社HatchUp CEO/株式会社6x6cm CEO
八反田 智和(はったんだ・ともかず)

ソーシャルアプリxスマートフォンアプリ業界に特化した開発体制構築支援事業、事業拠点構築支援などを手がける株式会社HatchUp代表。国内海外でソーシャル×スマホ業界イベント『STR』を展開中。また、株式会社6x6cmでは、自らアンドロイドアプリのリリース・運用も行っている

はじめまして、八反田です。このコーナーでは、Android、iOS、WM7などと広がりを見せているスマートフォンOS上で、主にアプリ開発を行っている注目エンジニアを紹介していきます。

連載第一回目は、日本企業の海外展開が加速する中、米サンフランシスコを拠点に活動するCyberAgent America, Inc.のSmartphone Media事業でSoftware Engineerとして新しいAndroidアプリを開発しているadamrocker氏に、現地でインタビューを行ってきました。

今回のゲスト

Simeji』で有名な、日本アンドロイドディベロッパー部 元部長

adamrocker

 

国内外のAndroidデバイスにプリインストールされ、爆発的な普及をしているIMEアプリ『Simeji』の開発者として知られる。現在、CyberAgent America, Inc.所属。Smartphone Media事業Software Engineerとして、サンフランシスコライフを満喫中

ロボットシステム研究から、大手企業の研究所へ

八反田 まず、サンフランシスコは思った以上に寒いですね、びっくりしました(※インタビューは8月初旬に行われた)。少し観光しましたが、街の雰囲気や人の流れがとても心地良い土地柄だと感じました。

adamrocker えぇ、とても過ごしやすいですよ。ご飯もおいしい、活気もあり、開発に関するイベントや集まりも多い。自然と開発に集中できる場所ですね。

八反田 さて、Androidアプリ『Simeji』の開発者で、日本アンドロイドディベロッパー部 元部長として有名なadamrockerさんですが、改めてエンジニアとしてのバックグラウンドをお聞かせいただけますか。最終学歴、これまで勉強していたことや、職歴などをお願いします。

adamrocker 大学院のころはマルチロボットシステムの基礎研究をしていました。複数のロボットをコントロールする制御システムとして、集中管理ではなくロボットに自立性を持たせ、ロボット同士が協調することでロバストなシステムの構築を目指そうという研究です。そこでさまざまな知識や研究とプログラミングの楽しさを経験しました。

八反田 エンジニアリングの世界にはロボット開発から入ってるんですね。最近は、Androidロボットも登場して『google I/O 2011』では日本のメーカーさんが話題になっていましたね。

adamrocker その後、日立製作所の研究所に就職して5年間、ソフトウエア実行基盤の研究開発に従事しました。そこでは分野は違いますが、大学院から引き続き、好きな「研究」をさせていただくとともに、プログラムやシステムの基礎について深い知識と経験を得ることができました。

このころはプログラムというよりプログラミング言語が面白く、あらゆる言語の習得に夢中でした。手続き型、関数型、オブジェクト指向やそれらに属するLLやMLなど、たくさん楽しみました。

八反田 すごい。最近は複数言語を操るタイプのエンジニアさんが増えてきていますが、関数型もやられるんですね。

adamrocker また、会社員をやりながらAndroidに関する複数のコミュニティの設立・運営に携わることができました。わたし自身もAndroidのアプリを開発し、多くのみなさんに使っていただき、たくさんの刺激を受けました。コミュニケーションやプレゼンテーションはこのころに一番勉強できたと思います。その後、CyberAgent America, Inc.へ転職し、現在はAndroidを含めたシステムを開発しています。

八反田 『Simeji』の開発含め、今最も旬なAndroidエンジニアといっても過言ではないですよね。それに、今やML会員2万規模のコミュニティになっている日本アンドロイドの会の設立メンバーでもあったわけで、アンテナの張り方、感度が素晴らしい。

コミュニティ活動には渡米後も積極的に参加している

八反田 仕事以外で、個人のエンジニアとしては、どのような活動をやられていたのか、もう少し教えていただけますか。

adamrocker はじめはブログです。自分が勉強したこと、作ったモノを、ブログで公開し続けていました。何か分からない事があると「これはブログネタになるな」というのがその当時のモチベーションでした。ブログからつながり、Android関係のコミュニティ(日本Androidの会やデ部)の設立や運営のお手伝いをさせてもらえたり、たくさんの人と知り合いになれました。勉強会にもたくさん参加させてもらい、刺激をもらいましたね。

IT関連の勉強会やイベントのみならず、さまざまな一般参加型ミーティングがシェアされている米『meetup』

IT関連の勉強会やイベントのみならず、さまざまな一般参加型ミーティングがシェアされている米『meetup』

サンフランシスコに移り住んでからは、meetup(勉強会のようなもの)へ参加して新しい技術を勉強しています。日本でも勉強会が盛んですが、西海岸でも非常に盛んで、どれに参加しようか迷うぐらい魅力的なmeetupがたくさんあります。

八反田 たしかに。ブログは内容が充実していますよね。最近書かれた「サンフランシスコ移住」のエントリは、きれいな写真が多くてサンフランシスコ生活にあこがれちゃいます(笑)。また、その名も『meetup』というサイトでは、毎日Silicon Valleyやサンフランシスコに新しいmeetupグループ/イベントが立ち上がっていてほんとに盛んだと思いますね。現在のお仕事についても教えてください

adamrocker Androidでゲームアプリを探しやすくするアプリの開発です。Android Marketでは非常に多くのゲームアプリが公開されているため、そこで面白いゲームを探すのはちょっと一苦労です。

そこに課題を見出し、面白いゲームを簡単に発掘できるアプリをユーザの皆さんにご提供できればと考えています。

八反田 なるほど、面白そうな仕事ですね。

未来は「予測する」ものじゃなく、「発明する」ものと信じている

八反田 現在、Androidを中心にデバイスの販売やandroidアプリ市場が急拡大をしています。この先、ご自身が想像するスマホ時代とは、どんな流れになっていくと思いますか。

From dweekly「パソコンの父」として知られる計算機学者アラン・ケイ。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という名言はあまりに有名だ

From dweekly

アラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という名言はあまりに有名

adamrocker すごい変化ですよね。これからについては、(熟慮した上で)ん~……。分かりません、ごめんなさい(笑)。アラン・ケイ(「パソコンの父」として知られる米の計算機科学者)のお言葉を信じています。

八反田 おっと、このインタビューの肝の部分です。せっかくサンフランシスコまで来ましたので、adamrockerさんが注目している動きや開発のキーワードなどを教えていただけますか?(笑)

adamrocker Personalizeでしょうか。これまで、情報端末は「少品種・大量生産」から「多品種・少量生産」の時代でした。それがソフトウエアで「多品種・大量生産」を実現する時代に変わってきたかなぁと思います。その延長線上で考えると、Personalizeというキーワードがふと思い浮かびました。

八反田 Personalizeですか。なぜそこに注目を?

adamrocker コンピュータの能力に対して、人のそれは飛躍的に発達しているとは思えませんが、人はコンピュータを利用して記憶の外部化を進めながら、自らの能力を拡張しているとも言えます。となると、次は処理能力の拡張を求めるのが自然な流れに思えました。

処理能力だと抽象的すぎるので、その拡張がまず何に使われるのかなぁと想像して、先ほどの消費社会の動向と組み合わせたらPersonalizeが出てきました。単純でスミマセン(笑)。

これはある観点からのとらえ方なので、別の視点と時代潮流を組み合わせると、まったく違うキーワードが思い浮かぶかも。こういう思考実験(妄想?)がけっこう好きなんです。

八反田 そうなんですか、ありがとうございます! では、最後に日本中が注目するadamrocker氏自身のこれからについて、教えてください。

adamrocker わたし自身は今までもやってきたように、「楽しいことをする」という方向で進んで行こうと思っています。それがいろんな人に楽しんでいただけること(モノ)につながるとうれしいです。

八反田 スマホ業界の発展とともに、今後もadamrocker氏の活躍を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

※この連載では、インタビューゲストを募集しております。自薦・他薦は問いません。
https://www.facebook.com/hattandaまでメッセージをいただけたら幸いです。
 

撮影/柴田 ひろあき(八反田氏カットのみ)