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[連載:法林浩之③] 「見せる側」に立って初めて得られる、ITイベントの本当の価値とは?

公開

 
ITイベンター・法林浩之のトップエンジニア交遊録

日本UNIXユーザ会 幹事・フリーランスエンジニア
法林浩之(ほうりん・ひろゆき)

大阪大学大学院修士課程修了後、1992年、ソニーに入社。社内ネットワークの管理などを担当。同時に、日本UNIXユーザ会の中心メンバーとして勉強会・イベントの運営に携わった。ソニー退社後、インターネット総合研究所を経て、2008年に独立。現在は、フリーランスエンジニアとしての活動と並行して、多彩なITイベントの企画・運営も行っている。

オープンソースを盛り上げ、コミュニティが元気に交流するためのイベント『KOF(関西オープンソース2011+関西コミュニティ大決戦)』が、目前に迫ってきました。

法林氏も、KOFでは初心者向けのイベントガイドやトークショーのホストMCなど、表舞台で大忙しだ

法林氏も、KOFでは初心者向けのイベントガイドやトークショーのホストMCなど、表舞台で大忙しだ

KOFが始まったのは2002年のこと。今年で、記念すべき10回目を迎えます。企業・学校・コミュニティ・個人などが開催する「展示企画」(総出展者数54)、多彩なメンバーがトークセッションを繰り広げる「ステージ企画」(39本を実施予定)、多彩な講演などが行われる「ユーザー企画」(44本を実施予定)、JAXA・DeNA・クックパッド・カヤックによる講演会など、盛りだくさんの内容。さらに、関西Ruby会議04も同時開催されます。実行委員が会場内を案内する「ウォーキングツアー」も用意されているので、こうしたイベントに慣れていない人にこそ、ぜひ足を運んで欲しいと思っています。

正直、イベントを立ち上げた10年前は、KOFがここまで大きなイベントに育つとは思っていませんでした。当時、勉強会やコミュニティに参加していたエンジニアは、今よりずっと少数派。さらに、エンジニア向けイベントのほとんどは、東京に集中していたため、関西にはこの種のイベントがほとんどなかったのです。そこで、コミュニティ活動やイベントの楽しさ、他のエンジニアと触れ合う意義を、多くの人に知って欲しいと思ったことが、このイベントの実行委員に加わった最大の動機でした。

いろいろな方の助けを受け、こうして10年という節目を迎えられたのはうれしいですね。また、僕自身も関西の出身なので、こうして関西に貢献できるのも誇らしいです。

「見せる側」に立つことで得られる3つのメリット

展示やトークセッションなどを行う側の人は、来場者に比べるとまだまだ少ないですね。でも僕は、もっと多くの方が「見せる側」の立場になることを期待したい。そこには、実に多くのメリットがあるんです。

恒例のイベントTシャツは、関西ということもあって(?)少し派手めなカラーが目を引く

恒例のイベントTシャツは、関西ということもあって(?)少し派手めなカラーが目を引く

最初のメリットは、自分の存在をたくさんの方に伝えられることです。自分の手掛けている技術や興味を持っている分野を知ってもらえれば、同じような志向を持つ人から声をかけられる機会が増えます。その結果、交友関係が広がるチャンスも大きくなります。

2つ目は、最新の知識や技術動向が掴めるという点。運営側として毎年イベントに参加していると、「今年は○○に関する展示が増えているな」、「××の技術は、たくさんのお客さんを引きつけているようだ」などの傾向が、はっきりと見えるのです。イベントに参加するエンジニアには、意識が高い人がたくさんいます。そういう人たちから知識を吸収したり、刺激を受けたりすることも、必ずプラスになるはずですよ。

また、イベントに参加することで知識を整理できる点も、ぜひ強調したいですね。展示やトークセッションを行うためには、事前の準備が必要。そのときに、これまでに身につけた知識や技術、経験を見直すのは、自分を振り返る貴重な体験なんです。こうした過程で「自己プロデュース力」を磨くこともできますしね。

そして最後のメリットは、試行錯誤を重ねながら展示などをしていく中で、来場者の立場になってプレゼンテーションができるようになることです。

エンジニアの中には、コミュニケーションが不得意な人も少なくありません。展示会場にも、来場者の顔を見るのではなく、PCの画面ばかり見て説明をする人もいます。でも、来場者を楽しませる工夫をしたり、多くの来場者にアピールできるような話し方を心掛けるうちに、コミュニケーションスキルを磨くことができるのではないかと思います。また、コミュニティなどの場合、オープンな雰囲気がある方が新しい人も参加しやすい。その結果、コミュニティが活性化するなどの効果が期待できますよ。

まずは懇親会へ参加し、徐々にステップアップしよう

ただ、いきなり「イベントに見せる側として参加しよう」と言われても、ハードルが高いと感じる方も多いかもしれません。そこで、段階を踏んでイベントとの関わりを深めることをお勧めします。

最初の年は、飲み会などに参加することから始めましょう。ほとんどのイベントは終了後に懇親会を行いますが、ここには実行委員などの運営スタッフ、展示や講演に参加したエンジニアなどが数多く集まるのです。特にKOFの場合、実行委員長の中野秀男先生(大阪市立大学名誉教授)がお酒好きということもあり(笑)、宴会を大事にしています。ここで知り合いを作ったり、イベントの雰囲気に慣れていったりすれば良いと思いますね。

次の年あたりで、ステージでのトークセッションに出演してみてはいかがでしょうか。「トークセッションで話すなんて、とても無理」と尻込みする必要はありません。ステージに立つ時間は、せいぜい15分ほど。しかも、僕が司会として話をリードするので、ウェブサイトなどを見せたりすれば、人前に立った経験がない人でもちゃんと間が持つんです。極端に言えば、話すことを全く考えていなくてもOK。「現在関心のある技術・サービス」とか、「自分が書いているブログ」など、テーマを一つ決めてさえいれば大丈夫です。

ステージに上がって人前で話す経験をしたら、次はセミナーで話をしたり、展示企画に出展するなどしてステップアップしましょう。セミナーなら40~50分話をしなきゃいけませんし、展示なら見せるモノを用意しなきゃダメ。ハードルはそれなりに高くなります。でも、その分だけ手応えも大きくなるはずです。

どうしても表舞台に立つのが苦手という人にも、方法はあります。それが、運営スタッフとしてイベントを支える道です。運営スタッフなら、企画段階などで有名な技術者とじっくり話す機会が得られます。

来場客として参加しても、得られるものはあります。でも、イベントは当事者になって携わる方が、絶対に楽しい。それに、コミュニケーション能力、自己プロデュース力を伸ばしたり、交友関係を広げられる、最新知識に触れられるなどの利点もあります。

たまにはイベントを見るだけでなく、作り手に回ってみてはいかがでしょうか? それが、こうしたイベントを数多く手がけてきた僕からの一番のアドバイスです。

<法林氏も運営に携わる、近日開催予定のITイベント>


関西オープンソース+関西コミュニティ大決戦(KOF)
開催日:11/11-12(金-土)
場所:@大阪南港ATC ITM棟 10F
※前日の10日(木)には、『Tech LION vol.4』を関西で開催予定!

【 関西オープンフォーラムとは? 】
 「オープンソースならびに、コミュニティが元気に交流できる場を関西でも作ろう」
という目的のもとに集った有志により、2002年に活動を開始したコミュニティです!

Internet Week ~とびらの向こうに~
開催日:11/30-12/2(水-金)
場所:@富士ソフトアキバプラザ