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[連載: 後藤和弥④] 現代型ハード系エンジニアがアウトソーサーに向いている4つの理由

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転職支援のプロ・後藤和弥の求人マーケット予測
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株式会社キャリアデザインセンター  人材紹介事業部  シニアキャリアアドバイザー
後藤和弥

エンジニアを中心とした幅広い業種・職種の転職希望者のサポートを行っている、『typeの人材紹介』の看板キャリアアドバイザー。求人情報誌営業、人事、大手人材派遣会社の各地支店長を経て現職へ。ITコンサルティング、SI、ベンダー、インターネット・モバイル業界の求人動向に詳しい。趣味はサッカー戦術論、ジャズDJ、クルマ、映画等、多趣味である

梅雨のジメジメした空気も少しずつ晴れやかになり、夏はもうすぐそこ、という時期になってきましたね。

これまで転職を様子見していたエンジニアの方で、「ボーナスも出たし、夏に向けて本格的に転職活動をしようかな」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでの連載では、IT業界、とりわけWeb系エンジニア向けの求人動向を中心にお話ししてきましたが、今回はハード系エンジニアの求人動向に目を向けてみることにしましょう。

メーカーは中途採用アイドリングストップ状態

東日本大震災によって、主に自動車メーカーなどが工場の生産ラインが一時停止するなど、多大な被害を受けたことは記憶に新しいですね。あれから早3カ月。メーカー各社は中途採用を再開する動きを見せ始めましたが、いまだに本格的に採用活動を行うまでに至っていません。

外資系のサプライヤーや通信系メーカーなど、一部では中途採用を積極的に行っているものの、回路設計エンジニアや組込みエンジニアなど、募集している職種は限定的。その背景には、新製品開発が活発に行われているスマートフォン市場の活況があります。

市場ではAndroid技術やiOS技術に精通した技術者が求められているのですが、経験者自体が非常に少ないため、どの企業も採用は難航。Javaの経験者であれば技術的な親和性が高いため、採用される可能性も高くなります。

一方で、全体的に活気を見せ始めているのがメーカー系のアウトソーサーです。完成品メーカーの採用アイドリングストップが続く中で、数百人規模の採用を行う企業も出始めています。

「開発を究めたい」という方にオススメのアウトソーサー

“アウトソーサー”と聞くだけで拒否反応を示す方も、もしかしたらいるかも知れません。リーマン・ショック時に問題となった派遣切りや震災の影響による工場閉鎖などによって、ネガティブイメージを持たれている方も少なくないでしょう。

しかし、わたしはそんな”アンチアウトソーサー”の方にも、アウトソーサーについて正しく理解してもらいたいのです。アウトソーサーが“優れた設計技術者集団”であるということを理解してもらえたなら、「働き方が多様化する現代の技術者にとって働きやすい職場」であると、きっと認識を改めるはずです。

メーカーの生産ラインが復活しているにもかかわらず、なぜメーカーは中途採用に消極的で、アウトソーサーは積極的なのか。その理由は、2008年のリーマン・ショックや東日本大震災など、ここ3年の間にメーカーの取り巻く環境が大きく変わってしまった点にあります。

いつ何時、何が起こるかわからない。そのため、メーカーはエンジニアを自社で正社員として採用することに消極的になってしまったのです。

結果として、開発分野をアウトソーサーへ委託することが増加。自ずと各メーカーとパートナーシップを結んでいるアウトソーサーに多くの最新開発プロジェクトがアサインされ、新しい技術や開発ノウハウがアウトソーサーに蓄積されていきます。

そうなると、「メーカーが新製品の企画・研究に力を注ぎ、アウトソーサーはメーカーの頭脳としてのポジションにつく」という構図が、今後の業界スタンダードになるのではないかとわたしは考えているのです。

ここでわたしが言いたいことは、「あなたがエンジニアとしてどんなキャリアを築いていきたいか」ということ。

一度、アウトソーサーの魅力をおさらいしておきましょう。

【アウトソーサーで働くメリット】
● 自分の持つ技術を活かせるプロジェクトに参加できる

● メーカーや分野を問わず、幅広い製品群・技術に携わることができる

 

● 自分が身に付けたい・磨きたい技術のプロジェクトに参加できる

● 時勢に合ったものを身に付け、自分の得意分野を確立させられる

これら4つのポイントを踏まえると、「新しい技術を身に付けたい」「技術者として、これからも現場でスキルを磨きたい」と考える方にとっては、アウトソーサーで働く方が有益という考え方もできます。大手にもなると、待遇や福利厚生が充実している企業が多いですしね。

ただ、キャリアアップ・ステップアップのために転職を経験することが一般的であるIT業界とは違い、ハード系エンジニアにとって、転職は大きな決断を有するもの。勢いで転職する、なんてこともなかなかできないというお気持ちは分かります。

だからこそ、転職相談にいらっしゃる方にも、わたしは”選択肢の一つ”としてアウトソーサーをご提案しています。

“企業動向ありき”ではなく、自分のキャリアを考えた転職を

わたしの肌感覚では、今年のGW明けから、少しずつ先述の提案が転職者の方々に受け入れられるようになってきたと感じています。アウトソーサーで働くというご判断をされる方が、増えてきたのです。

仕事内容、企業規模、事業の将来性、業界の動向、待遇、勤務地……。これらを総合的に見た上での判断でしょう。

リーマン・ショックや東日本大震災を経験し、今までのいわゆる”安定企業”であったメーカーの業績が不安定になり、現場エンジニアの働き方が少しずつ変わってきていることを示唆しているのかもしれません。

どちらにせよ、メーカー=安定ということが一概に言えなくなってきた今。「このメーカーなら安心」という基準よりも、「自分がどういうキャリアを築きたいか」を基準に転職活動を進めていく方が賢い働き方と言えます。

これらを踏まえた上で、今後は、メーカー一辺倒の転職先選びではなく、アウトソーサーも選択肢に入れながら転職活動を行ってみてはいかがでしょうか。