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お金を払うべき時、お金を稼ぐべき時【ちきりんの”社会派”で行こう!】

公開

 
はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー”ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く”ちきりんワールド”をご堪能ください(※本記事は、「Chikirinの日記」において、2010年4月13日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです)。
■ 記事提供:『ビジネスメディア誠
プロフィール

おちゃらけ社会派ブロガー
ちきりんさん @InsideCHIKIRIN

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し”働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から”おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。ブログは『Chikirinの日記』 

就職難に直面している大学生が、面接指導などを受けるため「就職予備校」に通うというニュースを見ました。大学の就職相談室より実践的で懇切丁寧と人気らしいのですが、価格はかなり高く、中には10万円以上のところもあるとか。
 
ちなみにこのビジネスに関連して、最も学びが大きく、成長しているのは、お金を払っている学生側ではありません。
 
こういったビジネスにニーズがあるとにらみ、就職氷河期到来の機を逃さずに事業を始めて効果的に不安をあおり、適度に優しく適度に厳しく指導する起業家側の人たちこそ、学びに来ている学生の何倍ものことを日々新たに学んでいるし、ビジネスパーソンとして成長しているはずです。
 
口コミで何でも広がってしまう大学生から10万円も払ってもらうには、相当高い価値を提供しないと商売は成り立ちません。そのためには何をどうすればいいか、日々考えて試行錯誤しているはず。それが”稼ぐ側”を育てるのです。
 
実は「お金を払うより、お金を稼ぐ方が学べるし成長できる」というのは一般的な法則です。大学だって、学費を払って1年間、勉強するよりも、一定の講師料をもらい一年間授業を任されたら、その方が圧倒的に学びが大きいでしょう。
 
最初の例に戻れば、学生は10万円払って就職予備校に通うより、近くのコンビニか弁当屋でアルバイトし、「ほかのバイトより10万円多く売り上げる」という目標を立てるべきなのです。
 
そして、工夫と努力でそれを実現すれば、就職予備校に通うよりよほど多くのものを学べるでしょう。しかも実際の採用面接も、その方が通りやすいはずです。
 
“稼ぐ”のは”払う”とは比べられないくらい人を育てます。「学びたければ金を稼げ、金を払っている場合じゃない」のです。
 

お金を払ってやるべきこと

ちきりんは学生時代から旅行好きでした。今もよく旅行をします。でも、就職人気ランキング上位のJTBを始め、旅行業界に就職したいと思ったことはありません。好きなことを職業にしてしまったら、つまらないだろうと思うからです。
 
2013年卒就職希望企業人気ランキング(出典:学情ナビ)

2013年卒就職希望企業人気ランキング(出典:学情ナビ)

 
旅行業につけば、「お客さまが望む旅行」を考え、作るのが仕事です。それは「自分がしたい旅行」とは必ずしも一致しないでしょう。
 
わたしが旅行会社に就職したら、自分の好きな旅行について、自分の好きなようにはできなくなるのです。それってけっこううっとうしいですよね。
 
だからわたしにとって旅行は「お金を払って」やるべきことです。お金を払えば、自分の好きなように企画できます。興味のない場所に行く必要はないし、好きでないものを食べる必要もありません。「好きなことは金を払ってやれ、もらってやるな」ということです。
 
ちきりんは文章を書くのも好きです。だから、これを職業にしたいとも思いません。ライターで食べていこうと思えば、関心のない題材でもニーズが高ければ記事にする必要が出てくるし、媒体の担当者の意向にも気を遣う必要が出てきます。
 
アフィリエイトで生活しようと思ったら、アクセス数を維持するために”ウケること”を書かなくちゃいけなくなり、読んでもいない本を紹介しなくてはならなくなります。
 
いくばくかのお金のためにそんなことをして、文章を書くことが”つまらないこと”になってしまったら、あまりに馬鹿げています。いつまでも、自分がおもしろいと感じることだけを書いていたい。それをおもしろいと思ってくださる読者分だけのアクセスがあれば十分です。
 
……というわけで、「お金を稼ぐべき時にお金を払っていては、いくら払ってもモノになりませんよ」ということ。そして、「お金を払ってでもやるべきことでお金を稼いだら、つまらないことになりますよ」ということです。
 
払うべき時か、稼ぐべき時か、それをしっかり考えましょう。
 
そんじゃーね。
 
 
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