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[特集:ナイスアイデア生誕の地②-PUFF !] 迷ったら自然に還れ! 公園ミーティングのススメ

公開

 

フランス料理屋(風オフィス)あるいは公園の自然の中で
――『PUFF !』の場合

ナイスアイデア#2 『PUFF !』
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【概要】
2009年9月、iPhone/iPod touch向けアプリケーションとしてリリースされた、元祖”スカートめくり”アプリ。
リリースして翌日にはApp Storeのダウンロード(以下、DL)ランキングの一位に浮上。その後、Appleの戦略変更に伴い、App Storeでの販売停止を余儀なくされたものの、12週連続首位、リリースからの約3カ月間で13万DLという破格の記録を打ち立てる。

なお、現在はAndroidケータイ向けアプリとして移植されたものを、Android Marketなどで購入することが可能。

【企画者】
マンジョット・べディ氏
(ティー・ワイ・オー株式会社 1st Avenue事業部 クリエイティブディレクター)
安岡憲一氏
(ティー・ワイ・オー株式会社 1st Avenue事業部 クリエイティブプロデューサー)

間接照明で薄暗く照らされた空間。そのゴージャスかつ、落ち着きのあるたたずまいは、”高級感のあるフランス料理レストラン”をほうふつとさせる。天井の一部は吹き抜けになっていて、2階の様子を垣間見ることが可能だ。

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旧オフィス、1階の様子

試しに2階へ歩みを進めると、がらりと変わる雰囲気。重厚感のあった1階とは異なり、開放感に満ちている。そう、まるで”南国のオープンカフェ”にいるかのようだ。

ここは、目黒にあった1st Avenue事業部の旧オフィス。2009年、世界中のiPhoneユーザー(主に男性)を、とりこにした『PUFF !』アプリは、この場所で生まれた。

ところで、『PUFF !』アプリ企画者の二人には、働く場所に関して掲げる、ある信条がある。

「”自然”でなければ、良いアイデアは生まれない」

という信条だ。

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旧オフィス2階の様子

何か新しいものを創造するとき、五感は研ぎ澄まされた状態にあることが望ましい。一方、人間の五感は、自然に囲まれているとき、最も研ぎ澄まされる。だとすれば、「自然の中に身を置くこと」が、良いアイデアを生み出す上でのキーファクターなのではないか。二人はそう考えている。

その結実した一つの形が、”フランス料理レストラン風オフィス”と、”南国のオープンカフェ風オフィス”だ。緑が多く取り入れられ、デスクも天然の木材を利用したものを使用している。

自然がないなら、「演出」すればいい

とはいえ、誰もが同じように恵まれた環境で働けるわけではない。ただ、意識的に”自然な環境”を演出することは可能だ。例えば、1st Avenueのミーティングは、外で行われることが多い。

目黒にオフィスがあったころは、庭園美術館がかっこうのミーティング場所だった。歩いて行ける上、周囲は自然に囲まれている。『PUFF !』アプリのブレストも、多くはここで行われた。

また、社内の会議室でミーティングを行う場合も必ず、間接照明や音楽、お香を「打ち合わせセット」として、持ち込むのだという。

「考えが煮詰まったなら、外へ出て、近くの公園へ行ってみましょう。そこがあなたにとっての『ナイスアイデア生誕の地』になる可能性は高いと思いますよ」(マンジョット・べディ氏)

■庭園美術館

大きな地図で見る

 

企画者談
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■マンジョット・べディ氏(上)
あるプロダクトを作り出す上で、わたしたちとエンジニアの方たちの姿勢には大きな違いがあります。エンジニアの方が「おもしろいもの」を作るのに対し、わたしたちは「売れるもの」を作るんです。『PUFF !』も、「どうやったらNo.1 アプリを作れるのか?」を突きつめた結果生まれました。No.1になるためには、すでに世の中に出ているもののマネではいけません。なので、最初はあらゆるアプリをDLして試しましたよ(笑)。また、そうやって大量のアプリを調査する中で、アプリの当たり/ハズレの違いが見えてきました。

当たってる(成功している)アプリとは、「シェアしたいアプリ」なんです。では、どんなアプリなら友人にシェアしたくなるのか? わたしたちが出した答えが「五感を使うアプリ」でした。

人は五感を使う/刺激されることで、その時のことを深く記憶します。そして記憶に残るアプリはシェアされるんです。その集大成が『PUFF !』です。

実はローンチ直前まで、『PUFF !』には「いやーん」てゆう女の子の声は入ってなかったんですよ。ただ、ほぼ完成品のプロトタイプを、わたしが息子に見せたとき、彼らがしばらく遊んで、すぐに飽きちゃったんですね。で、なぜかと頭を悩ませ、ひらめいた。聴覚を刺激する「声」が足りなかったんだと。

できれば、嗅覚や味覚も同時に刺激する機能も盛り込みたかったんですが、今のところはまだ難しいですね(笑)。

■安岡憲一氏(下)
『PUFF !』アプリをプロデュースする上で、最も気を遣ったのがキャスティングです。プロジェクトメンバーを誰にするか、アプリに登場するモデルさんはどんな子が良いのか、どのアプリベンダーさんと一緒に開発するのか……。コンセプトに沿って、あらゆる選択肢を模索しました。

結果、プロジェクトメンバーは10代~40代の計8名、男女比は意図的に1:1に。『PUFF !』は、男性をメインターゲットにしたアプリですが、彼らに気楽にシェアしてもらうためにも、女性が見て嫌悪感を抱くようなものにはしたくなかった。そこで女性の視点は欠かせません。男ばかりで作っていると、どんどん過激な方向に進みがちですから(笑)。

モデルの女の子も「身近にいそうな女の子」という基準のもと、オーディションで選びました。「スカートめくり」という行為と、女の子の雰囲気がぴったり合致したことも、ヒットの要因だと思います。黒澤ゆりかちゃんは、『PUFF !』への出演を期に、女優としても活躍していますね。

アプリの開発の提携先は技術力とモチベーションの二軸で選び、Bottle Cubeさんに決まりました。コンシューマー向けゲームを、多く作ってこられたことが、『PUFF !』にも影響を及ぼしています。例えば、風の強さを段階的にし、クリアするとおまけがある、というゲーム的な要素が加わったのは、コンテンツに “ゲーム性”を加えたいというわたしたちの要望を、Bottle Cubeさんに検討してもらった結果です。もし違うベンダーさんと組んでいれば、『PUFF !』は今とは違う形になっていたでしょう。

 

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