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[連載:ギークな女子会] べにぢょ編⑥-「エンジニア=ハマる仕事」になったきっかけって……!?

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「エンジニアの方ってそれぞれに『のめりこむシチュエーション』がありますよね? お2人は?」(べにぢょさん)

「エンジニアの方ってそれぞれに『のめりこむシチュエーション』がありますよね? お2人は?」(べにぢょさん)

べにぢょ 誰しも自分にとって「ハマる仕事」と「ハマらない仕事」があると思うんですけど、「ハマる仕事」とそうでないものの違いってどこにあるんでしょう? だって、Yuguiさんなんて、そんなに忙しいのに、Rubyの改善活動はずっと続けていらっしゃるわけじゃないですか。

 

Yugui うーん。それは自分でも不思議です(笑)。

 

べにぢょ 端的にお答えいただける質問じゃないかもしれないですけど、そこに何かがあるような気がするんですよ。

 

藤原 わたしが思うに、Yuguiさんって飽きっぽい人っていうより、きっちりしてマジメっていうイメージがあるんですけど。コレって関係がありますか?

 

Yugui うーん。あえて得意分野を挙げると、比較的泥臭い仕事になるので、そういう一面はあるかもしれません。

 

べにぢょ へー。そうなんですか。

 

Yugui Rubyのメンテナンスもそうですけど、人をアサインすれば力業でできることばかりではありませんし、ある程度の知識を持った「デキる人」が必要になりますよね。でも、そういう人って、得てして飽きっぽいイメージがあるんですよ。わたしは、そういう「デキる人」が不得意とする泥臭い仕事が得意、という一面があるように思います。

 

“ソースを辿る”作業にハマれる人はエンジニア向き!?

 

べにぢょ 「ハマる」、「ハマらない」に明確な理由はないかもしれないですけど、どこかに傾向って見えてきませんか?

 

藤原 わたしはデータをひたすら見ていくのがスキかもしれない。

 

べにぢょ へー。どうしてですか?

 

藤原 たぶん観察とか、分析がスキだからでしょうね。一見代わり映えのしないデータの中に、人の気づかない小さな変化を見つけたりするのがけっこうスキなんですよ。

 

べにぢょ 予想外の発見があると探求心が刺激されるわけですね。

 

藤原 そうですそうです。

 

べにぢょ Yuguiさんにも「あの時は熱中したな」っていう経験ってありますか?

 

「たぶん2人とも『ルーツを辿る』のはけっこうスキな方じゃないかなー」(Yuguiさん&藤原さん)

「たぶん2人とも『ルーツを辿る』のはけっこうスキな方じゃないかなー」(Yuguiさん&藤原さん)

藤原 そういえばこの間、アメリカ出張中に『Computer History Museum』に行ったとき、超テンション上がってましたよね(笑)。

 

Yugui はい、そうでした(笑)。

 

藤原 「あの教科書でしか見たことがないENIACが!」みたいな(笑)。

 

べにぢょ それは楽しそう! わたしもそういう”ソースを辿る”作業が大好きなんですけど、同性で共感してくれる友だちは少ないですね。お2人ともコンピュータやテクノロジーに興味を持つようになったきっかけって覚えてます?

 

藤原 わたしの父親が企業で研究開発をしていたこともあって、家には科学雑誌もあるような環境でした。高校に進学する時、将来を考えると理系の方がいいと勧めてくれたのも父親でしたね。大学の工学部に進学する2年前に『Windows95』が発売されたタイミングで、業界自体も盛り上がっていたのもこの世界に進むきっかけになりました。

 

べにぢょ それじゃ環境的な素地があったんですね。Yuguiさんはどうですか?

 

Yugui うちは父がコンピュータ・マニアだったので、小さいころ、家には『PC-8800』があってよくゲームをしていました。

 

べにぢょ Yuguiさんもお父さまの影響だったんですか。

 

Yugui そうですね。その後、数学にハマったんですが、定理の証明論の基礎を習った時、コレ自動化できるよなっ感じて。

 

べにぢょ その時から自動化に興味がおありで(笑)。

 

藤原 面白そうなアイデアじゃないですか!

 

Yugui 結果的には完成しなかったんですけど、あれはわりと夢中になって開発しましたね。

 

キャリア形成って、「たまたま」の積み重ねな気がする

 

べにぢょ どこかのタイミングで、ほかの選択は考えられなかったんですか?

 

Yugui わたしは働き出す前まで数学を研究するつもりでいました。

 

藤原 でも数学の研究者ってものすごく狭き門ですよね。有名な大学でも一学年に一人いるかどうかという……。

 

Yugui そうなんです。入学して最初の授業で教授に言われました。「この中で一人でも数学をマスターできれば儲けもの。ほとんどの人はもうムリだからコンピュータをやりなさい」って。

 

一同 爆笑

 

藤原 カッコいい! でも入ってから言わないでって感じですけど(笑)。

 

Yugui 才能もいる世界ですからね。わたしは美しい数理的構造を堪能するのがスキなんですけど、数学の先端を探求するだけの能力はありませんでした。それで、だんだん学費の足しにバイトしていたプログラミングの仕事にシフトしてドロップアウトしちゃいました。

 

べにぢょ そんな逸話がおありだったんですね。藤原さんはどうして研究員になろうと思われたんですか?

 

藤原 最初に入ったITベンダーは、もともと別の職種で学校推薦で取ろうと思っていたんですけど、先輩に「研究者からほかの職種に行くことはできるけど、その逆はすごく難しいよ」と聞いたので、研究員として採用試験を受けて入社しました。だからもともと、どうしても研究員になりたいというわけではありませんでしたね。。

 

「キャリアって、その時々の偶然をどうやって整合性取っていくか? みたいな感覚もあると思います」(藤原さん)

「キャリアって、その時々の偶然をどうやって整合性取っていくか? みたいな感覚もあると思います」(藤原さん)

べにぢょ ほー。

 

藤原 そんな感じだったので、入社2年目か3年目ぐらいの時に辞めようかどうしようか悩むことになるんですが、また別の先輩から「研究所で取れる資格は博士号ぐらいだから、取っておいた方がいい」とアドバイスされて、それが博士号を取るきっかけになりました。なので、わりと行き当たりバッタリなんです(笑)。

 

Yugui わたしも行き当たりバッタリですよ。

 

べにぢょ でも、お2人とも幼いころから慣れ親しんだ理系の世界に進まれて、初志貫徹している印象があるんですが。軸はブレていなんじゃないですか。

 

藤原 あ、でも、今はちょっとブレてないようにお話しちゃったかも(笑)。改めて振り返ったら、その時々のノリで動いている節もなきにしもあらずというか……。

 

べにぢょ へー。

 

藤原 わたしの場合は『Windows95』が出た直後に大学に入って、IT業界が盛り上がり始めて「次の成長産業はココ!」みたいな感じがありましたから。そういうタイミングも、あるんじゃないかと思います。

 

べにぢょ それぞれにいろいろな分岐点があってたまたまこの道に……っていうのはありますよね。”たまたま”っていうのは語弊があるかもしれないですけど(笑)。

 

藤原 確かに”たまたま”かも(笑)。

 

Web業界では「腕が良ければ何者にだってなれる」

 

Yugui わたしも最初に仕事としてこの世界にかかわるまでは、行き当たりバッタリだったと思いますよ。そこから先は、やりたいことをやり続けていますけどね。

 

べにぢょ お2人とも、エンジニアになりたくてなったわけではないにしろ、巡りめぐってエンジニアという仕事に出合い、うまく適応されたようにも感じます。

 

「Webの世界って『スキルがあれば何者にでもなれる感じ』があって。それがスキなんですよ」(Yuguiさん)

「Webの世界って『スキルがあれば何者にでもなれる感じ』があって。それがスキなんですよ」(Yuguiさん)

Yugui わたしは何かを変えた方が良いと思ったことは、自分で直したいと思う質なんですよ。Web開発はその一つの可能性。Web開発者なら、世界を変えられるでしょ?

 

藤原 うん、それはすごく感じる。

 

べにぢょ Yuguiさんは以前、ご自身のブログに「望めば何にでもなれる」という意味合いのことを書いていらしゃいましたね。

 

Yugui 読んでいただいてありがとうございます。わたしは性同一性障害で、10代のころは「何かになれる可能性」というのを知らずに過ごしていました。そのころから「もし今の自分の状態をそのまま受け入れたら、この先生きていけないだろう」という思い込みもあって、できるだけこの事実から目をそらして生きようとしていましたね。

 

べにぢょ かなり苦しい状況だったんですね。

 

Yugui 自分にとっての「自然な状態」から、無理やり「男性」に性別を移行しようと努力してもいましたから、特にそうでした。そのうちだんだんと人付き合いもしなくなり、ひたすら抽象的な方向に関心が向くようになり、その結果出合ったのが数学だったんです。

 

べにぢょ ほう。

 

Yugui その当時は、できれば象牙の塔に籠もって一生暮らそうと思っていたんですけど、やはりその苦しさ堪えられなくなって、大学時代に「もういいや」って(笑)。

 

藤原 それが20歳ぐらいの時だったんですよね。

 

Yugui はい。で、ちょうどそのころアルバイトとして始めたプログラマーの仕事が、ちょっと面白くなってきて。その時仕事をしていた会社が自分を自然に受け入れてくれたことが、希有なことだと感じたこともあって、この世界に本格的に進むことにつながりましたね。

 

べにぢょ へぇー、なるほど。

 

Yugui 当時はただ面白いからソフトウエア開発をやってきましたが、続けるうちに「Web業界は自分にとってとても良い場所だ」と実感できましたし、「技術とアイデアがあれば生きていける」というのも分かってきたので。これを後の人のために知らせなければと思って活動しているところがあるんです。

 

べにぢょ そうだったんですか。

 

藤原 腕が良ければ老若男女を問わないっていう雰囲気は確かにありますよね。

 

Yugui もし生産性が100倍高いなら、個人の細かい属性にこだわらないというか。

 

藤原 若くて良い人材を素直に評価する業界ですしね。
(記事⑦に続く)

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