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[連載:ギークな女子会] べにぢょ編⑦-ソフトウエア開発に必要なのって、「エンジニア的発想」だけじゃない

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「エンジニアと一口に言っても、その役割や求められる仕事ぶりってすごく幅広いものです」(Yuguiさん)

「エンジニアと一口に言っても、その役割や求められる仕事ぶりってすごく幅広いものです」(Yuguiさん)

べにぢょ じゃあ、お2人が理想とするエンジニア像って、藤原さんがおっしゃるようないわゆる職人的なものなんでしょうか? それともまったく別のものですか?

Yugui ソフトウエア開発者はいわゆる”エンジニア”に近い部分もありますし、一方で”クラフトマン”であり、”アーティスト”であり、”リサーチャー”でもあるんだと思います。かかわる分野によって、そのどれかに近かったり遠かったりするんじゃないでしょうか。

藤原 そうですね。そういえばこの間、高校生向けのキャリアワークショップを行ったのですが、そこではソフトウエアエンジニアを「コンピュータを使って、世の中をより良くすることであり、世の中の問題を見つけ、解き方を考え、コンピュータに手順を教える仕事」だって紹介していました。

べにぢょ なるほど。お話を聞いていると、今まで気軽に使っていた「エンジニア」って言葉を、”作る人たち”の総称として使ってはマズい気がしてきました(苦笑)。

藤原 わたしはまだソフトウエアエンジニア歴が少ないですけど、例えばデータマイニングをやっている人と、アプリ開発、ミドルウエア、ハードウエア、OSをやっている人は、皆それぞれタイプが違いますよね。なので、エンジニアって一括りにしてしまうと、なかなかイメージするのが難しいのかもしれません。

Yugui わたしはブログにも書いていますけど「Webをオフラインのように豊穣に、オフラインをWebのように安全に」するという夢を持っています。この夢を実現するには、いろいろな技術分野をつなぐ架け橋が必要になります。ですから、今のわたしはソフトウエアエンジニアですが、近い将来、ハードウエアについても勉強したいなと思っているんですよ。

藤原 ほー。

良いコードとダメなコードは、文豪の名文と子どもの作文くらい違う

Yugui 小さいころは電子工作もやっていましたしね。

藤原 もしかして炊飯器などを分解したりもしました?

Yugui しますよ、そりゃ。

藤原 やっぱりするんだ! わたしの知り合いで3人目!(笑)

「炊飯器を分解して遊んじゃう子どもって...。さすが、エンジニアになる素質十分!!(笑)」(べにぢょさん)

「炊飯器を分解して遊んじゃう子どもって…。さすが、エンジニアになる素質十分!!(笑)」(べにぢょさん)

一同 爆笑

Yugui 壊れていなくても、分解して壊したりしましたね。

べにぢょ すごい! わたしは壊れた機械は叩いて直そうとするタイプなので(笑)。分解するのって「どういう仕組みで動いているのかな?」っていう興味からですか?

Yugui ブラックボックスは安心できませんもん。完全に理解しないまでも、ある程度把握できないと、その技術を信用することはできないですね。それは今も一緒かも。

べにぢょ まさにプロ意識ってやつですね。

Yugui 少なくても「この分野を体系的に勉強すれば理解できるんだな」というのが見えないと安心できません。ソフトウエア開発の技術に限って言えば、「ここのソースを読めばいいんだな」ってところまで分からないと。

べにぢょ そういう感覚って藤原さんにもありますか?

藤原 わたしはそこまではないですねぇ。仕組みがどうなっているか知りたいというより、あるものがどういう思考プロセスで作られたかを後で追体験するのがスキなんです。どうしてこういう風になったのか、その意図を汲み取ろうとしがちですね。なので最近は、ソースコードを読むのがスキになりました。

べにぢょ それ、なんとなく分かります(笑)。

Yugui 仕組みを理解するって、そういうことだと思いますよ。いろいろな人が入れ替わり立ち替わり書いたコードは、とても混乱した思考をしているように見えますし。その逆もあります。

藤原 確かにそうですね。理路整然と書かれたコードは読むのが楽しくなります。良いコードとそうでないコードを比べると、例えば芥川龍之介の名文と子どもの作文ぐらい違いますね。

べにぢょ そうなんですかー。

Yugui 人柄も見えますしね。以前「Go」のコンパイラを読んでいて、「この人なんかケン・トンプソンみたいな書き方するな」と思っていたら、あとで履歴を見ると本人の書いたものだったことがありましたよ。

藤原 それ、発見した時、超うれしくなかったですか(笑)!

Yugui はい、それはもう。

藤原 わたしもがんばってそこまでたどり着こう! Yuguiさんのコードもそういう風に読んでいる方がいるかもしれませんね。「これ、Yuguiさんっぽいな」って(笑)。

一同 笑

「昔書いたコードが恥ずかしい」は、成長の証

べにぢょ そういえば、ご自身が昔書いたコードを読み返したりされますか?

「昔のコードって、自分の当時の精神状況とかも反映されていてちょっと恥ずかしい」(Yuguiさん&藤原さん)

「昔のコードって、自分の当時の精神状況とかも反映されていてちょっと恥ずかしい」(Yuguiさん&藤原さん)

Yugui 昔書いたコードを読むのって、けっこう恥ずかしいものですよ。中学生の時に書いた小説みたいなもので。

べにぢょ うわっ、それはイヤだ(笑)。

藤原 論文なんかも「書いたらすぐ出す」っていう鉄則があります。しばらく置いておくと、恥ずかしくて出せなくなるので。なるべく早く成仏させないといけないんです(笑)。

一同 爆笑

藤原 まぁ、恥ずかしさは成長の裏返しでもありますからね。喜ばしいことなんですよ、きっと。

べにぢょ でも、日々の業務の中だと、自分の理想とはかけ離れた対応を要求されるケースってあるじゃないですか? 例えばトラブル対応なんかが代表的だと思うんですけど、どういう風に折り合いをつけていらっしゃいます?

Yugui チームで事に当たるのは楽しいものですし、かかわる人にまともな能力があれば、話せば分かると思いますから。

藤原 Yuguiさんの言う「まともな能力」って、レベルが高い気がする(笑)。

Yugui そんなことないですよ(笑)。幸いグーグルなら、それを補って余りある人材が豊富なので安心ですし。

藤原 そういうのって男女差もあると思いますね。女性の方が、目的があって「何のためにこれをやるのか」っていう部分が強い気がしません? 男性はどちらかというと「コードと戯れていること自体が楽しい」という傾向があるように感じます。

べにぢょ 実務でそういうことを感じられたんですか?

藤原 わたしの知っている限りでは、例えばユーザーインターフェースの分野や自然言語処理の分野だと女性が多かったり、機械学習の理論とかになると女性がほとんどいないとか。

Yugui 女性の方が「全体像が分からないと不安」というのはあるかもしれないですね。

藤原 それはそうかも。

べにぢょ わたしなんかは、分からないことがあるのはイヤだったりするんですが、エンジニアの方って男女問わず、分からないことがあるとかえって目を輝かせるところがありますよね。

藤原 確かに。そういう部分はありますね。

べにぢょ だからこういうお話を伺うと、わたしもワクワクしてしまうんですよ。今回は、お2人を通じて改めてエンジニアの探求心に触れられたような気がして、とても楽しかったです。

Yugui そう言っていただけて良かったです。

べにぢょ 本日は長時間お話しいただいて、本当にありがとうございました!

取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/赤松洋太

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