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言語カンファレンスに初めて参加する際のトリセツ~Dropbox開発者も来日『PyCon APAC 2013』運営陣に聞く

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“Python Conference”、略して『PyCon』。年に1回、Pythonの使い手たちが集まる祭典だ。

当初この『PyCon』は、2003年にワシントンDCで第1回が開かれてしばらくの間は、毎年アメリカ国内でのみ開催されてきた。しかしPython人口の国際的な広がりとともに、この10年でヨーロッパ、アジアの各地域で開催されるまでに拡大。世界最大級のPythonイベントとして知られるようになった。

日本では、2011年1月29日に開催された『PyCon mini JP』を皮切りに、同年8月の『PyCon 2011 JP』、そして翌年の『PyCon JP 2012』と過去3回の開催実績があるが、今年のカンファレンスでは大きな変更が施されることになった。

PyCon-Website

PyCon APAC 2013』公式サイト

イベントタイトルから「JP」の2文字が消える代わりに、アジア太平洋地域を示す「APAC」が付けられる――。今まではシンガポールで開催されていた“アジアのPyCon”が、初めて日本で開催されるのだ。それに合わせ、2013年のPyConは規模も内容も一新されるという。

今回の座談会に登場してくれた3人は、今年9月13日から3日間にわたって開催される『PyCon APAC 2013』の主要スタッフたちであり、『PyCon mini JP』の開催当時から、それぞれの立場でカンファレンスにかかわってきた人々だ。

彼らはPyCon以外にも、国内外の大小さまざまな技術コミュニティやカンファレンスに参加してきた経験を持つエンジニアでもある。

そこで、エンジニアがこうした技術カンファレンスに参加するメリットや、『PyCon APAC 2013』の見どころなどについて聞いた。

初心者からエキスパートまで学べる国際的イベント、日本開催の理由

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(写真左から)『PyCon APAC 2013』座長の寺田学氏と副座長の保坂翔馬氏、チュートリアルB講師のビープラウド岡野真也氏

―― さっそくですが、皆さんがPyConにかかわるようになったきっかけから聞かせてください。

寺田 わたしが本格的にPythonを使い始めた8年くらい前からずっと、いつかPyConに行ってみたいというあこがれがありました。でも、欧米で開催されているPyConは、ちょっと敷居が高くて参加できずにいたんです。そんな折、2010年6月にシンガポールでアジア初の『PyCon APAC』が開催されることになったので、「じゃあ行ってみよう」と。そこで、日本から来ていた仲間3人と合流したんですね。

―― そのころから『PyCon JP』の立ち上げは念頭にあったんですか?

寺田 いえ、全然。現地でアメリカのPython Software Foundationのチェアマンを務めていたSteve Holdenさんと知り合う機会がなければ、自分が運営にかかわることなんてなかったと思いますね。

―― と、いうのは?

寺田 Steveさんから、「せっかくシンガポールまで来たんだから、帰国前に日本に寄って日本のPythonコミュニティとも交流を持ちたい」と言われ、一緒に行った僕らを含め、10人前後のPythonista(Pythonの熱心なユーザー)と六本木で食事会をしたことがありました。その時、Steveさんから「日本にもこれだけたくさんのPythonistaがいるんだったら、ぜひPyConをやるべきだ」と強く背中を押されたんですよ。

―― なるほど。では保坂さんと岡野さんのPyConとのかかわりは?

保坂 わたしの場合は、ある時Twitterで「PyCon運営スタッフ募集」というツイートが流れたのを見て応募したのがきっかけ。Pythonは大学生のころから使い始めていたし、純粋に「面白そう」と感じて応募してみたんです。それが2011年1月に初めて日本で開かれた「mini」のスタッフ募集でした。その時はUst中継のためのセッティングなんかを担当して、「2011」と「2012」では広報を、今年は副座長としてこのイベントにかかわっています。

岡野 僕は以前からPythonコミュニティの勉強会にはちょくちょく顔を出していましたから、運営側に知り合いが多かったのと、何しろ日本で一番大きなPythonイベントが開かれるんなら行くしかないだろうと。そんな感じで参加したのが最初したね。

―― 今年はPyConの特徴の一つでもあるチュートリアルの講師をされるのですね(編集部注:岡野氏は『Pythonプロフェッショナルプログラミング』の執筆者として知られる)。

岡野 ええ、僕が所属しているビープラウドがPyConのイベントスポンサーだったこともあって、その翌年に開かれた『PyCon JP 2012』の時から初心者向けハンズオンの講師を務めることになりました。今年はDjangoの基本的な使い方などを教えることになっています。

―― 皆さん、何らかの形でPythonコミュニティとかかわりをお持ちだったようですね。コミュニティ活動には積極的だったんですか?

岡野 僕はPyCon以前からわりと参加していましたね。最初に行った大きめのカンファレンスは、札幌のSIerに勤めていた時に行った『オープンソースカンファレンス』でした。会社の先輩の中に運営スタッフをやっている人がいて、誘ってくれたんです。それで試しに行ってみたら、すごく面白くて。今思えば、それがコミュニティ活動に積極的になったきっかけです。

寺田 わたしもPyCon以前から、2004年9月の第1回から『オープンソースカンファレンス Tokyo』に参加していていたり、PythonがベースになっているCMSツール『Plone』の小さな勉強会や合宿などにも、熱心に参加したりしていました。そんな経験から、「コミュニティの中で仲間を作るには、運営を手伝うなど、自分からかかわりを持つことだ」って感じ始めて、自然に運営側に回ったり、スピーカーになったりする機会が増えていきましたね。

保坂 僕は前職で務めていた会社に『みんなのPython』の著者・柴田淳さんが業務委託で来ていた時があって、そこで「Pythonコードリーディング」という勉強会に誘われたのが最初でした。

岡野 あー、あれですか。

保坂 確か2008年くらいだったかな。そこからちょくちょく、いろんな勉強会に出るようになって、一時期Scalaの勉強会にも出ていたり、『Python Hack-a-thon(現・PyFes)』や、法林さんの『LLイベント』に参加したこともありました。

コミュニティ参加で、「学びの速度」を上げるキーワードが見つかる

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さまざまな技術コミュニティやカンファレンスに参加する3人に、「なぜ参加し続けるのか?」を聞いたところ……

―― 皆さんそれぞれ、カンファレンスや勉強会には何を求めて参加されるんですか?

保坂 やっぱり、いろんな人の講演を聞いたり会話したりする中で、知らないことが分かるようなるっていうメリットは大きいですよね。どうしても、自分の知識だけじゃリーチできない領域ってあるじゃないですか?

寺田 情報って、仕事でやっている開発内容や好きなプログラミング言語に応じて、どうしても偏っちゃうからね。

保坂 そうなんですよ。でも、例えばPyFesなんかは、KVSとかGoとか、Pythonと関係ない発表もけっこうあるんで、「ほほー」と思うことが多いんですよ。

寺田 あと、個人的にはスキルアップに使える「キーワード」が拾えるのも、カンファレンスや勉強会に出るメリットだと思うんです。
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