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コアコンピタンスにリソースを集中させ、少数精鋭でクリティカルな開発を行う印刷ポータルサイト『raksul』【梅木雄平の億単位調達ベンチャー「開発の非常識」】

公開

 
世の中に新しいWeb(アプリ)サービスを生み続けるWeb系スタートアップたち。本企画では、その中でも今後大きく成長する余地のある注目企業として、1億円以上の資金調達を行った企業の開発スタイルに迫る。自身のブログメディア『TheStartup』も人気を集める梅木雄平氏をインタビュアーに招き、Webサービスやアプリに”魂を込める”開発チームの特徴を明らかに していく。
インタビュアー

フリーランス マーケター
梅木雄平

フリーランスにてWebサービスの新規事業のコンサルティングやマーケティング 、ライティングを手掛ける。VC業界での経験を活かした事業分析や、投資家関連の記事を展開するブログメディア「TheStartup」を主宰。有料オンラインサロン「Umeki Salon」は会員100名突破間近

 

『raksul』を運営するラクスルは、2012年4月に1.1億円の資金調達を発表しており、今後さらなる成長が期待されるスタートアップだ。今回は同社CEO・松本恭攝氏と技術担当取締役の利根川裕太氏に『raksul』の開発スタイルと今後の展望を伺った。

 

ルーペで印刷の品質をチェックするラクスル利根川氏

ルーペで印刷の品質をチェックするラクスル利根川氏

ラクスルは2009年9月に松本氏が創業。それから1年半ほどフルタイムの社員は松本氏一人だったが、知人を通 して利根川氏と出会う。氏はラクスルのビジョンや松本氏の人柄に惹かれ、ラクスルに興味を持ち始めていった。

 

およそ1年半の間、会社勤めをしながら事業を手伝っていた利根川氏は2011年5月には前職を退社し、2人目の正社員として正式にラクスルに参画。ラクスルではLAMPでのWebアプリケーションの開発を行なっている。

 

その後2011年の夏にはインターン生の採用を始め、5人のインターン生とエンジニアチームを発足。エンジニアの中には外国からの留学生もいた。学生インターンの中の1人は2012年4月に新卒で入社し、2人目のエンジニアとなる。彼はもともと大学院に進学予定だったが、自分が開発したサービスが世に出ることの楽しさをラクスルで知り、大学院進学をやめて入社したそうだ。当初は大学での研究で利用していたC言語のみであったが、他の言語を習得するペースも早く、すぐに戦力となり活躍したという。

 

印刷ポータルサイト『raksul

2010年4月に『印刷比較.com』として運営を開始し、その後2010年9月に『raksul』にリニューアル。印刷通販価格比較印刷一括見積もり、印刷関連のコンテンツを配信するラクスルマ ガジンなど幅広く印刷関連の事業を手掛け、国内市場5.5兆円の印刷業界で、その仕組みを変えていくことを目的としたスタートアップである。

 

必要に迫られた」開発がチーム力を底上げ

談笑するお二方の後ろには、気にせずくつろぐ社員も

談笑するお二方の後ろには、気にせずくつろぐ社員も

現在の開発体制は前述の社員2名のほか学生インターンが3名、スポット的な開発を外部のエンジニアに委託するという体制になっている。主な業務内容は運営サイトの改善、新規事業のサイト開発である。

 

これまで利根川氏と新卒エンジニアという体制で開発を続けてきたが、サービスが成長するにつれてそれまで手をつけたことがないような開発事項が次々に出てくる。その時々で必要なものを開発していった結果、スキルが身に付いていった。

 

スタートアップという、スピードが求められる環境の中で開発を続けていくことで、力が磨かれてゆく。それは、ドラゴンボールでいう「精神と時の部屋」に喩えることができるかもしれない。短期間でさまざまな課題を解決しなくてはならないという必要に迫られて、急速にスキルが磨かれるのであろう。

 

内製するのは、事業のコアコンピタンスのみ

「自分たちで持つもの、持たないものを戦略的に考えて、スピード重視の経営をする」松本氏

「自分たちで持つもの、持たないものを戦略的に考えて、スピード重視の経営をする」松本氏

ラクスルの経営思想として「得意分野で高いパフォーマンスを出すことに注力すべき」という考え方がある。

 

開発業務すべてを内製する必要はなく、事業のコアコンピタンスとなるものに優先的にリソースを配分することで事業のスピードが速まると考えている。

 

事業のコアコンピタンスにならない、スポット的な実装については外部のリソースを積極的に活用する。例えば、今後オープン予定のEC事業のクレジットカードなど決済機能の実装は外注している。スタートアップにしては委託費に大きなコストを掛けているというが、スピードと品質を両立させる手段だと松本氏は考えているようだ。

 

サイトの設計についてはエンジニアと企画担当が仕様を話し合って決めるが、実際の開発の現場では実装の優先順位や実装方法はエンジニアが決めており、個人に裁量がある。それゆえ、プロデューサーの指示を待つエンジニアではなく、ビジネスサイドと膝を付き合わせて仕様定義からできるエンジニアを歓迎したいと話す。また、厳密に仕様を決めてから開発を始めるというよりは、まずは開発をリリースしてからPDCAを回すというカルチャーもある。

 

未体験の課題をも楽しめる人がラクスル向き

今後開発を進めていくにあたって、今後の開発課題は3つあり、中長期的にはこれに合わせて開発セクションを3つ設けたいと思っているようだ。1つ目はラクスルのWebサイトのユーザーエクスペリエンス及びコンバージョンの向上、2つ目はPDFや印刷データのやり取りの効率化、3つ目は印刷の製造および流通部分の効率化だ。

 

例えばAmazonはWebサイトのユーザビリティだけではなく、倉庫のオペレーション改善など、ビジネスの裏側の業務改善で業界全体の効率化を実現している。ラクスルでも「印刷業界の効率化」を掲げており、流通の世界を変えたAmazonのように、エンジニアの自由な思想で効率化を推進することで、印刷業界という古い市場にイノベーションを起こしたいと考えている。

 

そんなラクスルでは、「体験したことのない課題の解決方法を自分自身で見つけ出すことができる人」が求められるエンジニア像。ルーティン業務ではなく、新しい課題にチャレンジしていくことになるので、そのような気概のあるエンジニアを歓迎している。「まだ解決されていない課題を解決したい、というエンジニアに向いている職場」だと松本氏は言う。

 

開発メンバーを増やし、事業のスピードを加速させたいラクスルでは、現在エンジニアを絶賛募集中。自分自身の開発力で会社をけん引してやるという気概のあるエンジニアは、ぜひラクスルの門を叩くことをお勧めする。
自分で考えて動けるエンジニア、待ってます!

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