エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

「次にやるサービス開発は『文脈思考』で考えている」~山田進太郎氏が描くメガベンチャー構想(前編)

公開

 
長年、日本のインターネット業界を賑わせてきた男が、しばしの休息を経て帰ってきた――。Zynga Japanを退職後、世界一周の旅に出ていた山田進太郎氏が、今年10月に帰国して「次の起業」に向け動き出している。帰国後のブログエントリで「日本に帰ってきたいま、何かを作っていきたいと強く思っています」、「そして、それは世界中の人類のいろいろな仕事をみた後でも、いまだ自分の天職だと思っているインターネット・サービスになると思います」と心境を綴った同氏は、現在どんな準備を進めているのか。編集長の伊藤健吾が訪ねた。
プロフィール
shintaro-yamada

元・ウノウ株式会社 代表取締役社長/起業家
山田 進太郎氏(@suadd

早稲田大学在学中に、楽天で「楽オク」の立ち上げなどを経験。卒業後、2001年にウノウを設立し、街育成ゲームの『まちつく!』など複数のサービスを世に送り出す。2010年にウノウをZyngaに譲渡し、Zynga Japanでジェネラル・マネージャーを務めた後、2012年1月に退社。現在は長期休暇を取りながら、次のビジネスを模索中

山田進太郎。2001年に立ち上げたITベンチャーのウノウで、新作映画情報サイト『映画生活』(現在はぴあに譲渡)、写真共有サービス『フォト蔵』(現在はデジタルガレージに譲渡)、街育成ゲーム『まちつく!』などを作った男。

ほかにもgumiやCerevo、富士山マガジンサービスへ創業時からかかわり、クラウドファンディング『CAMPFIRE』運営元のハイパーインターネッツなどへのエンジェル投資家としても世に知られている起業家である。

山田氏がウノウを売却したZynga Japanを辞めたのは、今年1月。そして、続く2月から、彼は世界一周の旅に出た。アメリカ・ニューヨークを皮切りに、南米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、インド、アジアの23カ国を制覇。旅行期間は、半年弱にも及んだ。

その様子は、山田氏のブログ『suadd blog』に掲載されている。

suadd-blog-1

山田氏が半年かけて周ってきた世界一周旅行記は、コチラのエントリにまとまっている

「世界一周をしようと思った理由は単純でした。会社を辞めて、時間ができた。その時、行きたい場所がいくつもあったんです。次の事業を始めると、しばらく旅行には行きづらくなる。そこで、この機会にまとめて訪れてみようと思いました」

旅行中に、各地の起業家やIT業界関係者と顔を合わせる機会もあった。しかし基本的には、旅を楽しむ日々だったと山田氏。

「ビジネスのことを考える時間は短かったですね。基本的には、見たい場所を見に行くことに集中していました。ちなみに、世界一周業界的には、半年という期間はかなり短いらしいです(笑)。とにかく行きたい場所を効率的に回るスタイルでした」

好奇心を満足させた、世界一周旅行。しかし、旅先で「次の起業のネタ」を考えなかったのには、もう一つの理由があった。

「南米やアフリカ、中東といった地域では、とにかく通信の回線速度が遅いんですよ。3G回線は思ったより普及してましたが、同じ3Gといっても日本に比べたらだいぶ遅いし、ちょっと田舎に行ったら当然のように飛んでない。Wi-Fiが使える宿があっても、スピードはISDN並み(笑)。YouTubeは遅くてほとんど見られないし、iPhoneのアプリを落とそうとする時は、寝る前にダウンロードを始めて起きたときにようやく落とし切るということが珍しくありませんでした」

「例えば僕なら、Facebookのスマホアプリを2種類リリースする」

そんな環境から、10月に日本という“ネット天国”へ戻った山田氏は、現在、次に手掛けるネットサービスを模索している真っ最中だ。

その試行錯誤の過程では、「世界では携帯端末やPCがどう使われているのか?」、「インターネット回線のスピードはどの程度か?」について肌で感じられたことが、とても役に立っていると話す。

「これらの地域では、品質の悪い通信環境でも使えるサービスを考えなければ、ユニバーサルなものにはならないと痛感しましたね。例えば僕なら、Facebookのスマホアプリをリッチver.とライトver.の2種類リリースしておいて、通信環境の悪い国ではライトver.を推奨するとかしたいですね」

Facebook-image-1

From lululemon athletica もしザッカーバーグも世界一周旅行をしていたら、Facebookアプリは2種類出たかもしれない!?

なぜこのような視点を持つようになったのかといえば、「次にやるなら、スマートフォンをベースにグローバルに展開し得るアプリサービスを作りたい」と考えているから。

「ウノウ時代に作った『まちつく!』は、500万以上のユーザーを得ました。日本ではかなりメジャーなサービスに育てられたと思います。だから次は、数1000万人規模、数億人規模のユーザーに愛してもらえるサービスを作りたいんです。そのためには、南米・アフリカ・中東といった地域も視野に入れて考えなければ、と」

そんな山田氏がビジネスプランをまとめ上げる時、必ずやっているスタイルがあるという。

「そんなたいそうなやり方ではありませんが、しいて名前を付けるとしたら、『文脈思考術』とでも呼びましょうか」

山田氏に、その具体的な手順を聞いてみた。
(次ページへ続く)