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[コラム] 黒田勇樹からの挑戦状~ハイパーメディアフリーターが描くSNSの未来を実現せよ~

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黒田勇樹、という男をご存知だろうか。

1994年の「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」(TBS系)や1997年の「ひとつ屋根の下2」(フジテレビ系)など、数々の人気ドラマに出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞の受賞歴を持つ、元・個性派俳優だ。

2010年4月に芸能界を引退した彼が、実は今になってネットで話題を集めている。

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愛の妖精ぷりんてぃん」を模して作られた、”完全自作自演”のホームページ。独特なセンスを匂わせている

自作のホームページ「黒田運送㈱」(くろだうんそうかっこかぶ)が「気持ち悪すぎる」と一部で話題になったかと思えば、2ちゃんねるに「本人」として登場し、ネットユーザーを驚かせた。

ホームページの評価も、最初こそ受け入れられない人が多かったものの、時間が経つにつれて見直されている。

その個性的なサイトや自作の動画に「素晴らしい」、「独創的だ」といった評価を受けるようになったのだ。今では、ホームページは月平均約20万アクセス、Twitterのフォロワーは11000人を超えるほどの人気を誇る。

「この人はマジメなのか?それとも”アッチの人”なのか?」と、ほかのメディアでも、謎の存在として取り上げられる黒田勇樹。その真意を明らかにすべく、彼が何を考え、行動しているのかを紐解いてみたい。

「黒田運送(カフェ)は、日本を元気にするための起爆剤なんです」

――5月9日にニートになるそうですが、今どんなことを考えていますか?

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端正な顔立ちの上に様々な人生経験を積み上げ、男としての渋みが増した黒田勇樹。この時(5月6日)は、まだニートではなかった

とりあえず、30歳までは正社員のような安定職につかず、いろんなことに挑戦したいな、と。ただ、今年の4月で29歳になるので、起業も視野に入れて身の振り方をそろそろ固めようかな、とも考えています。

――『起業』というと、どんなことをするのですか?

黒田運送(カフェ)という、USTREAMを活用したカフェをオープンします。6月2日(木)から毎週木曜日の19時から23時まで、幡ヶ谷のcavalieri(カバリエリ)というバーを借りて営業する予定です。

メインコンテンツは、カフェにゲストを呼んで行う対談です。そのほかの詳細は、こちらをチェックして下さい。

――なんでまた、起業を考えられたのでしょうか?

人が元気になるようなことをしたいなぁと思っていたんです。その一環で花見中継とかをしてみたんですけど、父親から『人が酒を飲んでいる中継を見ても誰も元気にならない』とダメ出しされたりして(笑)。色々失敗も経験しましたが、日本を元気にしたいという思いは変わりませんでした。

どうせ何かをするなら、面白いコンテンツを作りたい。面白いコンテンツを作るなら、それで食っていければ一石二鳥。「ユーザーが自然な流れでお金を払えるもの=お金を払ってでも見たいもの」を作れば運営資金にもなるし、自分の作品で日本が元気になる。そう考えた時に、一つの手段として黒田運送(カフェ)の構想が浮かんだのです。

「高齢者向けソーシャルメディアは、『家族ったー』で決まりですね」

――今まで、Twitter、Youtube、ホームページなど、さまざまなWebサービスを活用していらっしゃいますが、それぞれどのように使い分けていらっしゃいますか?

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ホームページでもおなじみ「マッドドッグ」。その中にいる人物こそ、”ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹”なのだと、彼は話す

HPはボクと連絡を取りたい人のための窓口と、後々残しておきたいことをストックしておく場所。Twitterは、日々の何気ない思いや考えをつぶやく場所。YoutubeやUSTREAMは、自分が生み出すエンターテインメントを提供するための場所、ですかね。

――今お使いのSNSやWebサービスで、「あったらいいな」と思う機能やサービスはありますか?

もちろんあります!ただ、それ以前にボクがずっと気になっているのは、じいちゃんばあちゃん世代のインターネット普及率の低さ。今でこそネットでいろんなことが騒がれますけど、それって大抵10代後半くらいから30代くらいまでの一部の人間の中で行われていることな気がして。

実際、ほとんどのケースでは世の中を動かすまでに至らない事ばかりじゃないですか。「ネットが世論になる」には、高齢者のネット利用を増やすことが先決だと思うんですよ。それが、結果的にボクの野望の実現にもつながってきますし。

例えば、高齢者でも気軽に使えるソーシャルメディアがあればいいですね。テレビ電話型Twitterみたいなイメージなので、『家族ったー』とでも命名しましょうか。仕組みは、Twitterぐらい簡単なもので、操作はほとんどなし。

じいちゃんばあちゃんがインターネットを利用するようになれば、ネットの世界が世論として認められんじゃないかなと思います。

「Googleさん、『投げ銭システム』みたいなやつ作って下さい(笑)」

――途中で『野望』という言葉が出てきましたが……。

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「毎週木曜19時~23時は、日本全国民待望の『黒田運送(カフェ)』!」黒田勇樹は、そんな未来を思い描いている

まぁ、野望ってほどでもないんですが。自分が昔の”テレビ”みたいな存在になれたらなぁと考えています。これは、黒田運送㈱がネットで話題になった時から少しずつ意識し始めました。

メディアの多様化によって多くの情報を収集できるのは良いことなんですが、昔のように日本人全員が見ている共通のものって少なくなってきている気がするんです。インターネットが出てくるまでは、テレビがその役割だったのかなと。

将来的には、放送日の次の日に「昨日のいいとも見た?」って感じで黒田運送㈱の話がみんなの話題として出るようになればうれしいですね。

――はぁ。黒田運送㈱が”テレビ”に、ですか。

本気ですよ、ボク。ただ、そんな風に大きくしていくためにも、黒田運送(カフェ)や黒田運送㈱をやり続けることが自分の中で一番大きな課題です。今はニートですし、お金もないですからね。はじめにも言いましたが、結局のところ重要なのって資金繰りなんですよ。

そういう意味では、Webコンテンツを利用して稼げる仕組みやサービスは熱望しています。個人でホームページを持っている人は、アフィリエイトなどが主流だと思うんですが、正直儲かりません。ボクのサイト、3カ月で60万人近いユーザーが来てるんですけど、稼ぎは5000円ですから。

また、ただの「課金システム」なら今でも結構ありますが、ボクは課金額が必ずしも定額である必要はないと思っています。一つのWebコンテンツに対して100円なら支払うという人がいれば、1万円払ってでも見たいという人もいるでしょう。そんな、「ユーザーが好きな金額を好きなだけ課金できるシステム」があればうれしいです。

実際、上記のようなサービスが「投げ銭システム」としていくつか出てきているのですが、未だ確固たる地位を築いているものはありません。ただ、個人が仕組みを作っても限界があるので、Googleさんなんかがサービスをリリースしてくれればありがたいんですけど(笑)。

後は、コンテンツを作る側のアイデア次第でなんとでもなります。そうなってくると、作り手としてもすごくやりがいがありますよね。ボク自身、以前作った『ウルフくんとうさぎさん』っていうアニメ(下の動画※カオス注意※)をはじめ、いろいろな仕掛けを考えていますから。

――なるほど。では、これから運営される黒田運送(カフェ)のコンテンツも楽しみですね。

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「Webだと、良くも悪くも視聴者の反応が分かりやすいでしょ。そこが面白いんですよね」

はい。第一回目は、プロ・インタビュアーの吉田豪さんをお迎えして対談を行います。その後も、江頭2:50さんや松岡修造さん、広末涼子さん、スティーブン・スピルバーグさんなんかを呼べたら……まぁ、今は妄想レベルですが。

ボクもハイパーメディアフリーターとして日本を元気にしていくので、エンジニアのみなさんもボク……いやネットユーザーのためにも、高齢者がインターネットを気軽に使える仕組み作りや「投げ銭システム」の開発を頑張って下さい!

芸能人と一般人、テレビと現実を繋ぐ唯一の存在

時折、本気とも冗談とも取れないような、壮大なテーマについて語り始める黒田勇樹。

しかし、彼の発言に、おふざけはない。純粋に、そして真面目に、自分のことやメディアのこと、そして日本のことを考えているのだ。こんな発想は、芸能人と一般人、そしてテレビと現実を繋ぐことのできる唯一の”ハブ”として、絶妙なポジションにいる彼だからこそできるのかもしれない。

「”ハイパーメディアフリーター”と騒がれる彼の挑戦を見届けたい」という方は、黒田運送(カフェ)を覗いてみるのもいいだろう。

ところで、取材後に彼のTwitterをチェックしていると、こんなつぶやきがされていた。

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その後、色々つぶやいた上で、こんな風にその日一日を締めくくっている。

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やはり、彼の真意は分からないままだ。

取材・文/小禄卓也(編集部)