エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

iPhone6、iOS8の登場でどう変わる?トレンドから読み解くスマホUI次の5年

公開

 
スマホUI勉強会で行われたトークセッション。右からノハナ馬場さん、グリー村越氏、ヤフー宇野氏、GMO稲守氏

スマホUI勉強会で行われたトークセッション。右からノハナ馬場さん、グリー村越氏、ヤフー宇野氏、GMO稲守氏

先日iPhone6と6Plusを発売し、iOS8もリリースしたApple。次期Android OS「5.0 Lollipop」のリリースを控えるGoogle。モバイルデバイス周りをめぐり、「2強」の動きが同調するように活気付いている。両社が作り出す画面の大型化、ウエアラブルデバイスといったトレンドは、開発者たちにスマートフォンUIの再考を迫っているようだ。

Apple、Googleをはじめとする各社は、相次いで新しいUIのガイドラインを発表している。だが、現場開発者の声に耳を傾けると、実装に際しての感覚とは小さくないギャップがあり、絶対的な道しるべとはなり得ていない様子。

スマホのUIはどのように変わる必要があるのか。逆に変わらなくていい部分とは? このほどGMOインターネット本社で開催された「スマホUI勉強会」では、“踊り場”に立たされたIT・Web企業各社のデザイナーらが、スマホUIの方向性をめぐって意見をぶつけ合った。

講演およびトークセッションの登壇者は、以下の5人。

・GMOインターネット シニアクリエイター 稲守貴久氏
・WebSig24/7 ディレクター・デザイナー あくやんさん
・ヤフー UIデザイナー 宇野雄氏
・グリー 村越悟氏
・ミクシィ/ノハナ UXデザイナー 馬場沙織さん

ここでは、「次の5年のUIを考える」と題して行われた、家族向け写真共有サービス『ノハナ』のUXデザイナー、馬場さんの講演を紹介する。デバイス、技術革新に関する4つのトレンドから、スマホUIの方向性を探った。

【1】進むモバイルシフト。入出力はタッチ、音声中心へ

From Kārlis Dambrāns デバイスのモバイルシフト、大画面化がトレンドになっている

From Kārlis Dambrāns
デバイスのモバイルシフト、大画面化がトレンドになっている

インターネットデバイスは今、世界的にモバイルへとシフトしています。世界市場で見ると、スマホの出荷台数はPCの3倍、日本国内では4倍に及びます。タブレットについても、2015年内にはPCを逆転すると言われています。

また、2016年にはファブレット(5インチ以上7インチ以下のスマホ)がスマホ出荷台数の半分を占めるとされており、大画面化も大きなトレンドの一つです。おそらく今後は、これまでPCが果たしていた“母艦”の役割を、スマホやタブレットが担うことになるでしょう。

これに伴い、主要な入出力方法は、現在のマウス/キーボードから、タッチ/音声へと移っていくはずです。Googleが発表したマテリアルデザインのガイドラインでも、画面のトランジションやアニメーションが大きく取り上げられていました。これも、より感覚的な入出力方法への移行を志向していることの表れといえます。

【2】IoTとの相互作用で、半自動入出力も可能に

ある記事によると、2020年にはIoTでインターネットに接続されるデバイスが数百億個に及ぶとされています。これは、世界中の人が一人当たり、5、6台のデバイスを持つことを意味します。

自動車や自動販売機、工場や医療現場の機器など、あらゆるものがインターネットにつながります。これらから得られる膨大で多岐に及ぶデータをいかに活用できるかが、サービスデザインのカギを握ることになるでしょう。

IoTデバイスとの相互作用により、現在は手入力しているような情報についても、(半)自動入出力が可能になるかもしれません。ほかにも例えば、帰宅したことを家のセンサーが感じ取ると「おかえり」のメッセージがウエアラブルデバイスに送られ、それに答えることによって自動的にエアコンが動く、といった世界も妄想できます。

大量のデータの流通に伴い、パーソナライズなどのデータ処理の技術革新が起こることも期待されます。これまでIT化がなかなか進まなかった産業で、一気に業界構造が変わるといったこともあるかもしれません。

【3】感性と技術の融合が進み、デバイスの違いを超えたUIが実現

From Sam Churchill Googleの自動運転車。「2強」は生活領域のプラットフォーマーを目指す動きを強めている

From Sam Churchill
Googleの自動運転車。「2強」は生活領域のプラットフォーマーを目指す動きを強めている

モバイルデバイスは現状、AndroidとiOSの2強時代ですから、エンジニアやデザイナーは、標準仕様を作るGoogleとAppleの動きを追わないわけにはいきません。

両社には、生活領域のプラットフォーマーを目指しているという共通した動きがあります。Google driverless car、Apple CarPlayのような自動車、Android TV、nest、Apple TVなどの住宅、家電分野がその例です。

両社の最近のプロダクトや企業買収の動きを見ていると、デザインとテクノロジーの融合が進んでいることがわかります。生活領域というのはこれまで、美しさや心地良さといった、定量化しづらい、感性が重視されてきた分野ですが、両社はそれをテクノロジーの言葉で表現するようになってきています。

デバイスがどんどん多様化してきている時代ですから、デザイナーやアーティストにとっては、苦労して作ったものが特定のデバイスでしか利用できない、1回きりのものになってしまうのは非常につらい。感性の部分をテクノロジーの言葉で表現するというのは、そこに再現性を持たせようという試みなのではないでしょうか。

【4】ウエアラブルにも対応する新しい共通デザインの発明

「2強」が生み出すもう一つのトレンドは、Android WearやGoogle Glassのようなウエアラブルデバイスです。普及するのはまだ先でしょうが、業界内では徐々に盛り上がりを見せています。

文字通り身につけるものであるため、これまでのデバイスのような、平べったい画面を指で操作するのとは違う新しい操作方法が求められます。この領域で試行錯誤するのも面白いと思います。

ウエアラブルの領域はGoogleがやや先行している印象ですが、Appleも当然、さまざまなデバイスの違いを超えて使える、美しさを表現する新しい方法を模索しているはず。その意味で、来年発売になるApple Watchがどのような形で出てくるのかはすごく楽しみです。

iPhone6の普及率はまだまだ低い。各社の本格対応はこれから

馬場さんを含めた各登壇者がそろって強調していたのは、「誰のためのUIなのか」を真剣に考えようということだ。大画面化したiPhone6、6Plusの普及率はまだまだ低く、考えるに足るだけの材料はまだ揃っていない。各社の動きが解像度対応など限定的なものに留まっているのは、そのためだろう。

ヤフー宇野氏は「サービスによってもユーザー層は大きく異なる。どんなユーザーがどれだけ使っているのかを見極めてから、今後の対応を進めよう」と話し、グリー村越氏も「もはや『自分を信じる』では通用しない」と呼応した。

新たなスマホUIをめぐる模索は、まさに始まったばかり。勉強会は今後も定期的に開催することを検討しているという。2強の“大本営発表”を待って追従するのではなく、サービスの作り手たる各社が、革新的なUIをもって先導していく未来が見たいもの。それが日本企業であったならと夢想せずにはいられない。

取材・文/鈴木陸夫(編集部)