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欧米・日本・アジアで支持されるサービスに違いはあるのか!? 最初から「世界標準」を開発する3つの鉄則

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グローバルスタートアップに学ぶ、世界に通用する仕事術
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Synclogue International, Inc. 広報担当(@Synclogue

Windowsアプリの同期ソフトウエア『Synclogue(シンクローグ)』をはじめ、新しいSyncの仕組みを提供するテクノロジー企業、Synclogue International Inc.の広報担当です。『Synclogue』を世界中で利用されるサービスに育てることがミッション。月に1度は米国と日本を行き来しています。世界トップレベルの技術力を持つエンジニアに囲まれながら奮闘する文系男子

はじめまして。Synclogue International, Inc(シンクローグインターナショナル)の広報担当です。

Synclogueは欧米・日本・アジア地域に拠点を持つITテクノロジー企業で、わたしはイベントやPR活動を担っております。スタートアップながら、数か国をまたにかけてビジネスをしようとしている企業として「グローバルスタートアップに学ぶ、世界に通用する仕事術」というお題の短期連載を仰せつかりました。

今まで体当たりでぶつかってきた経験を基に、日ごろから感じていることを書かせていただきたいと思います。

さて、初回は「世界で通用するサービスの共通点」についてお話ししたいと思います。

よく、「各地の特色に合わせた製品開発・事業戦略を」という言葉を聞きます。確かに、地域ごとの文化の差異はありますが、シリコンバレーだから、日本だから、という視点で物事をとらえると根本的な問題を見失ってしまいます。

シリコンバレーにも、日本にも、はたまたヨーロッパにも共通の問題はあるし、共通の解があるとわたしは考えています。

Microsoftをはじめとした大企業から、Dropboxなどのベンチャーに至るまで、確かに言語や多少のローカライズの必要性はあります。しかし、本質的にはほとんど同じような形・サービス・機能で世界に認知、利用されており、これにシリコンバレーだから、日本だからというのはまったく関係ありません。

「世界に広がるサービス、世界で共通に使われるものとは何なのか?」

弊社では常にこの難問と戦っています。まだ完璧に解が見つかっているわけではありませんが、いくつかのエッセンスをご紹介したいと思います。

1. 利用する可能性がある層が十分世界にいる

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異なるデバイス間の「Windowsアプリと設定同期」を実現する『Synclogue』は当初から利用層の幅広さを意識

当たり前の話ですが、そのサービス、製品を使い得る層が世界に多く存在しなければ、世界で使われるサービスにはなり得ません。

まったく新しいマーケットを作っていくのはとても労力のいることですし、特に、世界で展開するとなればさらに大きなリスクを伴います。既存のマーケットを見直すことで、確実にユーザーを確保することを考えるのが得策だと思います。

当社は『Synclogue(シンクローグ)』というWindows向けアプリケーションのアプリと設定の同期ツールを提供していますが、これは、すでにWindowsという莫大な既存ユーザー層が世界にいる中で、万国問わず共通に抱えている課題を確実にとらえた製品・サービスということで、この問題をクリアしています。

2. 特定の地域、層に依存しない~Facebookに見る展開方法

一般的にサービスを作る上でイロハとされる「ターゲットの絞り込み」はペルソナや事業戦略を作る上で非常に大切なことですが、あまり過剰にやり過ぎると小さなマーケットから出られなくなるため(横展開できるなら別ですが……)、特定の地域や層に過度に最適化したサービスであればあるほど世界展開は難しくなります。

したがって、【1】でも書いたとおり、利用する可能性がある層が十分世界にいる中で、初期はターゲットを絞りつつも、最適化させるために機能を増やすのではなく、(開発スピードの面でも)逆に機能を絞るというアプローチで最適化をさせる必要があります。

その上で、初期はPR戦略など製品そのものを変化させる必要のない部分でローカライズに対応し、後に機能を追加したり、PR戦略を変えていくことで横展開ができる汎用性を残しておくのがよいでしょう。

この戦略の好例がFacebookです。彼らは初期、学生向けに絞り込みユーザー数を増やしつつ、後にプラットフォーム化していきましたが、その展開方法には学ぶことは多いと思います。

3. 直感的にどう使うか、どのようなメリットがあるか分かる

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2008年に誕生して以来、瞬く間に世界中に広まった『Dropbox』。その理由は?

DropboxやLINEしかり、ユーザーが使う時に使い方を意識せず、かつ頻繁に使う性質のものであると、世界的にユーザーを広げる一つのカギになります。

つまり、インフラにより近い性質であればあるほど、使い方の説明、チュートリアルの説明の必要性が少なくなり、それはローカライズの必要性の小ささにつながります。結果としてそれは、海外展開のしやすさの大前提となるのです。

また、傾向としてそのようなサービスは、頻繁に使われることで習慣化し、サービスを使うことが生活の一部に溶け込んでいきます。結果として使うのをやめるのが難しくなっていくため、参入障壁を大きくする効果があります。

実際、DropboxもLINEも、数多くの他社参入が見られますが、継続してシェアを維持しているのには、UIの簡易性と、使うのをやめる際のデメリットが大きいことが理由なのだと思われます。『Synclogue』が狙っているのも、まさにこのような状態を作り出すことです。

そのため、わたしたちが製品・機能プランを立てる時は常に、

a)使う頻度が高く
b)使えば使うほど製品価値が上がる

という視点で、プランを取捨選択しています。

その上で、残った製品・サービス・機能に十分なマーケットはあるのかという視点で最終判断をします。「シリコンバレーっぽく」、「日本流の~」など各地の文化や特色に合わせることはあまり考えず、シンプルに判断することが重要だと考えています。

日本流の、シリコンバレー流の、と右往左往する前に、「共通の当たり前」から見直していくことが、世界に通用するサービス・製品を生むためには必要なのではないかと思います。

■SynclogueのWebサイト:https://www.synclogue.com/