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作りたいのは新たな「ポータル」~堀江貴文氏が明かすWebと宇宙、開発のすべて

公開

 

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2011年6月に旧ライブドア事件で証券取引法違反の罪に問われた堀江貴文氏が、「空白の1年9カ月」を経て戻ってきた。

今年3月27日の仮釈放からおよそひと月半。収監中も止まることなく進化し続けていたWeb業界の今を、堀江氏はどう見たのか? その答えを聞きたくてインタビューを申し込んだところ、忙しい合間を縫って快諾してくれた。

「続々と生まれるテクノロジーベンチャーと、すべてのサービス開発者にメッセージを」

そんな緩いテーマで依頼したインタビューだったが、話はWebビジネスの最新トレンドからメイカームーブメント、良い開発チームづくりのコツへと広がっていき、そのすべてに堀江氏はよどみなく答える。

対話を通じて改めて気付かされたのは、思考に一切の迷いがないことだ。「事業を興し、育てる」というゴールに対して、何が必要なのかを明快過ぎるほどに理解している。だから、アウトプットが端的で、行動にも躊躇がない。ストレートな物言いで、誤解を生んだり波紋を呼ぶことも多いが、そうなってしまう理由は彼なりの「ゴール」に向けて常人より圧倒的にシンプルでムダのないロジックがあるからだろう。

それがどんなものか、そして堀江氏が次に目指すところはどこなのか。約1時間のインタビューを紹介しよう。

仮釈放後すぐ、グルメ系サイトの立ち上げに協力している理由

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仮釈放からまだ日も浅いが、すでにさまさまなビジネス話を動かしている堀江氏

―― (取材場所に到着する前に)打ち合わせをしておられたとのことですが、もしかして何か新しいビジネスのお話ですか?

ええ。今、新しいグルメ系サイトの立ち上げ話をしていて。けっこう面白いものになりそうなんで手伝ってるんです。

―― そうなんですね。では、まず伺いたいのが、現在のネット業界に対する所感です。1年9カ月ぶりに戻ってこられて、「想定外」だと感じたWebサービスはありましたか?

技術的に驚くようなサービスはなかったです。ただ、ソーシャルプラットフォームが定着したことで、新しいサービスが成長するスピードが異様に速くなりましたよね。

FacebookログインやTwitterログインでユーザー登録が簡単になったし、SNS経由で口コミを広げてユーザーを集めるのも楽になってる。アイデア一発でサイトやアプリを作り、短期間で大きく育つというパターンが増えた印象です。

だから、今はビジネスモデルをあれこれこねくり回すんじゃなく、面白そうなアイデアがあればすぐ形にしてしまう方が、うまくいくんじゃないですか。

今話したグルメ系のサイトも、知人とLINEでアイデアをやり取りしているうちに、「面白いじゃん」といろんな会社の人が集まってくるようになって、形になっていったんです。

―― 5年、10年前には考えられないスピード感です。それだけ、「作れる人」が増えているということの表れでしょうか。

プログラマーの数は、確実に増えましたよね。それに開発環境も整ってる。昨日はあるゲーム開発者に会ってたんですけど、「今はUnityみたいな開発エンジンを使えばけっこう楽に制作できる」って話していて。Webサービスとかスマホアプリを作るのも、開発ツールやライブラリがたくさんあるっていう点では似たような状況ですよね。

「作ること」のハードルが低くなったのは間違いない。そして、ソーシャルプラットフォームのおかげで、口コミとか、人を集めるハードルも下がった。だから、良いサービスがバズってビジネスとして成長するスピードも、ものすごく速くなった。

LINEなんて、登録ユーザー数が1億5000万を超えましたよね。すごいじゃないですか。あれっていつ始まったんでしたっけ?

―― 2011年の6月です。

サービス開始からまだ2年弱ですよね。前ならこんな短い間にここまで成長するなんてあり得なかったじゃないですか。

Facebookの限界~今の良いサービスは「UIがシンプルで軽い」

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スマートフォンを触りながら、「これからの良いサービス」について語る。PC Webとの違いは?

―― 堀江さんの中で、今おっしゃった「良いサービス」とはどんなものですか? Twitterや朝まで生テレビでは、ニュースキュレーションサービスの『Gunosy』なども取り上げていました。

Gunosy』は開発チームにも会いに行きましたよ。今考えてる新しいニュースメディアを作る上で、何かコラボできるかもしれないと思って。

ほかにも、先日は『ガラポンTV』の話を聞きに行ってきました。面白そうなサービスを作ってる人たちにはちょくちょく会いに行ってるんですよ、コラボしたり投資したりする目的で。

で、僕が考える今の時代の「良いサービス」とは、とにかくUIがシンプルで、(バックエンドの処理が)軽いこと。LINEなんかがまさにそうじゃないですか。

その点、Facebookとかどうなっちゃうのかなと思いますよ。

―― この間、「フェイスブック重過ぎ」とtweetされてましたね。

ええ。それに、PC版のFacebookはUIがゴテゴテし過ぎててうっとうしくないですか? ニュースサイトとかも、UIや読みやすさはもっともっと改善できる。『エンジニアtype』さんも、何でこんなに文章長くしてるんですか?

―― 弊誌は「作り手の経験則を伝える」のをポリシーにしているので。人の経験や思考プロセスを深掘りして伝えるには、多少文章が長くなっても致し方ないと考えています。

僕から言わせれば、今までのメディアって、どれも情報量が多過ぎるんですよ。(スマホを手にしながら)見るの大変(笑)。

―― スマホの時代に情報取得のスピードをどう高めるかは、僕らメディア側が真剣に考えなければならないテーマです。livedoorニュースのスマホ版は記事冒頭に「ざっくり言うと」という要約を表示するようになりましたし、工夫が必要だなと感じています。

Webやアプリの世界でも、実はそういう思いを抱えていた人がたくさんいたから、シンプルなUI、シンプルなサービスが流行るようになったんじゃないですか。

―― サービスアイデアの優劣は気にされないのですか? 著書の『金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?』では、「アイデアに価値はない」と断言していましたが。

どんなビジネスアイデアも、磨くのに時間をかけたり、自分の中で寝かせておくほどの価値なんてないという意味です。

―― 多くの人は、「人にマネされないようにしよう」とか、「まだ人に言えるほど煮詰まってないから1人で考えよう」となってしまう気がします。

何でですか? アイデアを隠していて、何か良いことってあるんですか?

―― ……開発と集客のハードルが両方下がっている文脈で考えれば、時間をかけて事業モデルを練るより「言ったもん勝ち」で先に作るメリットが勝るでしょうね。作ってしまえば、反響を見ながらファインチューニングもしていけますし。

そうですよね。むしろ今って、アイデアはどんどん人に話した方がいいんですよ。周りの人たちからアドバイスをもらえたり、もっと良いアイデアに膨らませてくれたり、SNS経由で協力してくれる人が見つかったりするんですから。

もったいぶってる暇があったら、どんどんやりたいことを公表して、やり方、作り方を探ってみたらいいじゃんって思うんですよ。そもそも、ネットビジネスって数打ちゃ当たるの世界で。1人で「アイデアを煮詰めて~」とかやってても、たいして意味ないんです。

ロケット開発は「夢への手段」と話す真相

―― その言葉どおり、堀江さんはご自身の著書や有料メルマガで半端ない数のビジネスアイデアを披露しています。ただ、現在力を入れている宇宙事業については言及が少ない。なぜですか?

だって、宇宙事業はお金儲けにならないから(笑)。少なくとも当分は。

―― では、堀江さんをロケットづくりに駆り立てる原動力は何?

本当の狙いを言うと、僕はロケットを作りたいんじゃないんですよ。
(次ページへ続く)