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トヨタ、ナイキ、SAMSUNG……今、世界的企業のマーケティングをHackするテクニカルディレクターがアツい

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「あの人が作った作品が、業界の最新トレンドと呼ばれるようになる」

広告プロモーション業界には、世界中の有名企業やクリエイターからの熱視線を浴びながら、日々、Webの企画と開発に従事するエンジニアがいる。

彼らは「テクニカルディレクター」と呼ばれている。聞き慣れない職種ではあるが、今彼らには、世界中のそうそうたる企業から仕事の依頼が途切れることなく舞い込んでいるのだ。

新しいユーザー体験を技術で実現させ、ブランド価値を高めるプロ

テクニカルディレクターという職種を端的に説明する上で、分かりやすい事例がある。カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルにて、金賞を受賞したトヨタ・モーターセールス&マーケティングのiPhoneアプリ『Backseat Driver』だ。

「運転する」人と「乗る」人との一体感を生み出した『Backseat Driver』

『Backseat Driver』は、後部座席に座る子どもがiPhoneを左右に動かして操作できる「マイカー」と、自分が乗っている現実のクルマと同期して走る「パパカー」とで、一緒にドライブを楽しむことができるアプリ。

このアプリを手掛けたのは、クリエイティブラボとしてグローバルに活躍するPARTYの清水幹太氏。以前はFlash開発者として企業のWebサイト制作などに従事していたが、今はあらゆるデジタルコンテンツの企画から開発に至るまで携わり、数多くの広告賞を受賞している。

プロフィール

PARTY Creative Director / Founder
清水幹太氏

イメージソース/ノングリッドにて、さまざまなフィールドにわたるコンテンツ企画・制作に携わった後、2011年、クリエイティブラボ「PARTY」設立に参画。カンヌ国際広告賞、ADFEST、東京インタラクティブ・アド・アワード(TIAA)、One Show Interactiveなど、受賞多数

「車に乗っている時って、運転している人とそれ以外の人はまったく別のことをしていて、移動中の体験を共有していないことに気が付いたんです。例えば、運転している父親は東京から浜松まで移動したことを記憶しているけど、後部座席の子どもはずっとニンテンドーDSで遊んでいる。そんな状況をデジタルの力でどうにかできないかと思い、車内の全員が同じ体験を共有できる仕組みを考えました」(清水氏)

それを実現させたのが、『Backseat Driver』だ。は、GPSや傾きセンサーを活用し、iPhoneを子どもでも遊べるおもちゃに変えることで、運転する父親と後部座席の子どもの間に会話を生み、トヨタが掲げているブランドメッセージ=“クルマに乗っているときの楽しさ”をユーザーに届けた。

この事例が示すように、テクニカルディレクターとは、これまでになかったユーザー体験を技術で可能にし、ブランド価値を高めるプロと定義できる。
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