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[特集:TeenなGeekの業界改造計画①-うめけん] “ソーシャルネイティブ”世代の発想が、Web開発の常識を変える

タグ : 10代, iPad2, Twitter, Webサービス, うめけん, アプリ開発, ギーク, デジタルネイティブ, 企画, 梅崎健理, 業界有名人, 発想力, 開発 公開

 
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プロフィール
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株式会社ディグナ 代表取締役社長
梅崎健理君(@umeken

1993年生まれ。現役高校生にしてソーシャルメディアプロモーションを手掛けるディグナを起業して脚光を浴びる。小学校1年生からインターネットに触れ、自身のTwitterでソフトバンク代表の孫正義氏にアプローチして会談を実現するなど、ソーシャルメディアを活用して人脈を広げている。日本ツイッター学会理事も務める

「孫正義氏がTwitter上で3番目にフォローした17歳」で、「『~なう』で流行語大賞を受賞した高校生起業家」。そして、「デジタルネイティブ世代の旗手」。

「うめけん」こと梅崎健理君を採り上げた記事には、必ずこれらの一文が添えられる。どの世界でも、若くして有名になった人物をマスコミは偶像化したがるもの。本人は、「メディアで紹介されている僕と現実の僕は別物ですから」と笑う。

「僕は思いつきで話しちゃうタイプだし、行き当たりばったりで行動して『言動が矛盾してんなー』って反省することもよくあります(笑)。最近は、起業家としてもっと思考を言語化できるように訓練しなきゃって、マジメに考えています」

こうして悩みを吐露する際の話しぶりは、普通の高校生とさほど変わりはない。だが、現在のWebサービス動向に話が及ぶと、一気に”うめけん節”が炸裂する。鋭い洞察は、まさに大人顔負けの内容だ。

「小学1年生の時から、それこそいろんなWebサービスに触れてきましたが、Twitterのようなソーシャルメディアが生まれてからは情報もサービスも一気に多様化が進みましたよね。そして、例えば異様なほど細かくto-doを管理できる『Toodledo』みたいなエッジの立ったサービスがウケたりするわけです。この流れをWebサービスの作り手として見れば、もう”ど真ん中のサービス”を作っててもダメなんじゃないかと思っています」

「思いつき」で生まれたTwitterが、次の思いつきを生んでいる

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Webサービスに関する知識の豊富さは大人が驚くレベル。「小さい時からネットを使い倒してきてますからね」

梅崎君の言う「ど真ん中のサービス」とは、すでに普及している各種サービスの平均を取って作るサービスのこと。大企業が組織として開発に取り組んだサービスは、この「ど真ん中のサービス」になっているものが多いと見ている。

「iPhoneアプリのトップチャートを見ていても、今は個人や少人数で作ったアプリが数多くヒットしていたりしますよね。『自分が欲しいものを作る』っていうスタンスで作られたサービスの方が、会議室で多数決を採りながら作ったサービスに比べて、オリジナリティーがあるからだと思います。Googleが独創的な機能を次々リリースできるのも、組織としてやっているというよりも、それぞれ野望を持っているすごいエンジニアたちが、その場その場でつながっているだけだからなんじゃないかと」

梅崎君の人生を変えるきっかけになったTwitterも、最初はジャック・ドーシーという一エンジニアの思いつきから生まれている。それが社会インフラを担う存在にまで進化し、今ではいくつものクライアントソフトを生む「発想の源」になっているのだから面白い。

「iPhone用クライアントの『Maha』や、クラウド上のいろんなデータと連携しながら使えるフライトシステムコンサルティングの『SOICHA(ソイチャ)』、ツィート保管アプリの『KIZNA』などは、使ってみて『あー、そういう発想があったか』と思いましたね。ある仕組みから、もっとこういうサービスがあったらいいな、という妄想をふくらませ、じゃあどんな機能が必要か、とブレークダウンしていく作り方は、これからのWebサービスづくりのスタンダードになっていくんじゃないでしょうか」

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自身を有名にしたTwitterについて、「ほかのサービスに比べても流行り廃りの少ない稀有な仕組み」と絶賛

梅崎君自身、Twitterを発展させるサービスには大きな可能性を感じており、「立ち上がったばかりのTwitter Japanと一緒に新サービス開発をやってみたい!」と目を輝かせる。

取材時に披露したアイデアの一つは、遠方に住む祖父母の家に、Twitterアカウント付与済みの電気ポットを置くというもの。お湯が出たら子や孫にツィートされるような機能を搭載すれば、既存の安否確認メールの代わりに、高齢者のライフラインとして非能動的なアクションで機能するツールができるわけだ。

「こういうサービスを生み出すカギは、作った後の世界をイメージしているかどうかにあると思う」と梅崎君は続ける。単なる思いつきを価値あるサービスに昇華させるには、それによってユーザーのライフスタイルはどう変わるのか? と思考を巡らす必要があるからだ。

「おそらく『ウォークマン』や『iPhone』も、漠然とこういう先のイメージがあったから生まれたはず。僕も、そんなエポックメイキングなサービスを作れる存在になりたいんです」

ネットワーク型社会を生きる術は「とんがった一芸を持つこと」

では、世の中をガラリと変えるようなエポックメーカーになるため、梅崎君が意識していることは何なのか。いわく、「小さいころから意識してやってきたのは、とにかくいろんな人とサービスを知ること。その上で、ひたすら考え続けること」だ。

誰も作ったことのないサービスを生み出すには、すでにあるいろんなサービスを知り、自分でも使ってみなければならず、人とのコミュニケーションはサービスを企画する発想の源泉になるからだ。

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この日の荷物は携帯とiPad2だけ。「今は大抵の必要なもの、そして自分の感情までクラウドに乗せて生活する時代」

つい先日も、街角で道に迷っている人を見かけて、自分から声をかけたという。理由の一つは、道を教えてあげるため。もう一つは、「何でこの人はケータイナビを使わないんだろう?」という疑問を直接ぶつけるためだ。

「僕はよく『コードも書けないクセに』とか言われるんですが(苦笑)、今はデザインやプログラミングなら同世代の中にも大人よりデキる人がたくさんいる。だったら、僕は人とのつながりの中でいろんなニーズに触れながら発想をふくらませて、誰も再現できないようなサービスを生み出す人になろうと。生意気を承知で言わせてもらうと、仕事の出来・不出来は年齢や経験の量じゃなく、『考えた時間の長さ』で決まると思っているので、そっちで勝負していこうと思っています」

こうした生き方を可能にする環境は、すでに出来上がっている。クラウドやオープンソースの普及で、開発の敷居はどんどん下がっており、ソーシャルメディアを駆使すればいろんな人とのつながりを作っていける。

「これからの世の中は、今までのようなピラミッド型の社会から、ある領域に長けた個人同士が適宜つながっていくネットワーク型の社会にシフトしていくはず。だったら、業界で生きていくために目指すべきは、好きになれる分野で『とんがった一芸』を持った存在になることだと思うんです。好きじゃないと、続かないでしょうし、考え続けることもできないでしょうから」

そう言い切れる感性は、社会の常識に染まっていない世代だから持てるのかもしれない。

「デジタルネイティブというよりは、僕らは”ソーシャルネイティブ世代”なんです。ソーシャルネットワークのインフラ化がもっともっと進めば、僕みたいな考え方で仕事をしながら、新しいサービスを作っていく人も増えていくんじゃないですかね。あ、これは今日出した結論なので、いつかまた矛盾したことを言っているかもしれないですが(笑)」

梅崎君の「結論」が変わるとき。それはきっと、日々生まれるWebサービスの中からまた一つ、ヒットの定理を見つけたときなのだろう。

(「業界改造計画②」に続く)

取材・文/武田敏則(グレタケ)

<うめけん君が今、注目するWebサービス&アプリ>

 

◆タスク管理ツール 『Toodledo』

toodledo.pngのサムネール画像

Web版とiPhoneアプリ版があるクラウドサービスなんですけど、何といっても設定項目がムチャクチャあるのがスゴイ。その分、使いこなすとなるとハードルは高いです。誰でも使えるソフトの対極にあるようなサービスですが、その徹底ぶりには改めて驚かされます。ギークに受けそうなサービスですね。


ソーシャルメディアクライアント 『KIZNA』

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Twitterで投稿された過去のつぶやきや、DMのログを関連付けて残せるサービスで、面白いのはレストランチェーン「豚組」の経営者である中村仁さんの飲食店運営経験がもとに開発されたサービスだという点。Twitterを飲食店向けCRMにも使ってしまおうという、オリジナリティーあふれるアイデアが実現されたサービスという点が素晴らしいです!


iPhone用Twitterクライアント 『Maha』

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この韓国製アプリは、インターフェースの挙動が何よりもオシャレ! こんなに無駄な動きをするクライアントは見たことありません。画面をタップすると1回「くにゅっ」となってから動き出すところなんか、やり過ぎなぐらい。見た目もカッコいいし、遊び心があってよく考えられていて使いやすいソフトですね。


ソーシャルビューワー 『SOICHA』

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これもTwitterのクライアントソフトですが、こちらは国産。「音声認識機能」や「フレンド管理」、「未読管理」といった数多くの機能を取り込んで設定画面で必要なものをオンする形になっている。ヘビーユーザーが使うイメージですがとても使いやすい。@を頭に持ってきたあと、自分で文章書いてQT形式で引用することもデフォルトでできるので非常に便利!

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