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[特集:TeenなGeekの業界改造計画③-渡辺祥太郎] 高校生iPhoneプログラマーが見据えるのは、「スマホブーム」後のWebビジネス

タグ : 10代, Apple, iPhone, Life is Tech!, Objective-C, アプリ開発, ギーク, デジタルネイティブ, プログラマー, マーク・ザッカーバーグ, 業界有名人, 渡辺祥太郎, 発想力, 開発 公開

 
プロフィール
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高校生iPhoneプログラマー
渡辺 祥太郎君(@liafailboy

高校一年生の時に作ったiPhoneアプリ『日本の危機~借金時計~』がIT業界人の間で有名になり、話題を集めることになった高校生プログラマー。2010年夏に参加した米シリコンバレーのサマーキャンプ『iD Tech Camps』に感銘を受け、2011年から日本発の子供向けIT教育プログラム『Life is Tech!』の親善大使を務める

「2009年、父親に『iPhone 3G』を買ってもらったのをきっかけに、Objective-Cを勉強し始めました。最初に作ってみたのは、画面をタップするとカウンタがアップダウンする簡単なアプリ。交通量調査などで使われる、カチカチやるアレです。ある時、テレビで中学生プログラマーが採り上げられているのを見て、僕にもできるんじゃないかって思ったんですよ」

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高校生ながら、5月の『Life is Tech !』発起会で参加学生やオトナたちの前で今後のIT教育について講演する渡辺君

高校生iPhoneプログラマーとして話題になり、この春にはシリコンバレーをお手本にした中高生対象のIT教育プログラム『Life is Tech !』の親善大使に就任した渡辺祥太郎君にとって、アプリ開発はもはや日常そのものだ。

IT関係の仕事をしている父親のサポートもあって、小学校低学年の時からPCに触れてきた渡辺君。iPhoneアプリ開発を思い立つと、プログラミング本を何冊か買い集め、サンプルコードを打つところからスタートした。

「最初は本に書かれている通りに打ち込むだけでしたが、それでも動作するのを見るとうれしくてたまらなかったですね(笑)。アプリ開発に熱中するようになったのも、この時のうれしさが一つの原動力になっています」

その後、開発経験を積んで3本のアプリをリリース。『エフェク太郎~効果音集~』、『日本の危機~借金時計~』、『百人一句』の3本は、今もiTunesのAppStoreからダウンロード可能だ。

「高校生のプログラマーということで特別扱いされがちなんですけど、最近は中高生でも開発ができる人って増えていると思うんです。ただ、作ったアプリを世間に発表している人が少ないだけで。僕も最初は作ること自体が楽しかったんですが、いろんな人に使ってもらって反響を聞くのも同じくらい楽しいので、いつもAppStoreに出すことを目標に開発しています」

アプリを開発したくなったら、”ググる”だけで必要な情報はほとんど何でも手に入る時代。渡辺君の言うように、開発者人口はこれからさらに増えていくだろう。そこで、自分自身はもう一歩先を目指したいと思っている。

『iD Tech Camps』とインターンで知った、イノベーションを生む源泉

渡辺君の考える「一つ先」のモデルケースは、例えばマーク・ザッカーバーグ。つまりテクノロジー起業家だ。

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From Andrew Feinberg 

「ギークなスーパースター」マーク・ザッカーバーグの成功は、多くの学生プログラマーに起業への道を示した

「高校卒業後はまずアメリカの大学に進学したいのですが、将来的にはシリコンバレーでも起業して、向こうでアプリやWebサービスを大きく育て、いずれ日本に持って帰りたいと思っています」

シリコンバレーで起業するという大きな夢を具体的にイメージできるようになったのは、2010年の夏に米スタンフォード大学で開かれた『iD Tech Camps』に参加したことにある。

『iD Tech Camps』は、先述した『Life is Tech !』のモチーフになったアメリカ各地で行われている IT教育プログラムで、渡辺君は7歳から18歳までの若者たちと一緒にiPhoneアプリ開発を楽しんだ。

と同時に、「日本のIT教育って遅れてるんだなと思った」という。同世代の仲間がたくさんできたアメリカでの体験を通じて、世界で勝負するには「アプリやWebサービスを生むための発想力や、それをすぐにコードに落とし込むスピード感が大事なんだ」と痛感した。

「Facebookのマーク・ザッカーバーグを尊敬しているのも、行動力があってアイデアも豊富、そして自らプログラムを書いてサービス化する能力もあるからです。ビジネスにするまでのスピードを考えたら、プログラマーが起業するのはごく自然なことなんだと思うようになりました」

技術に詳しい人たちが、自由にアイデアを出し合ってビジネスをリードするから、大きなイノベーションが生まれる。巷でよく使われるこのフレーズの意味を、身を持って感じたアメリカでの経験の後、日本でもその思いを強くする出来事があった。去年の冬、iPhoneアプリ『健康計算機』作者として知られる灘高生のTehu君(@tehutehuapple)と一緒に、パンカクというベンチャーのインターンシップに参加した時だ。

「『本当に日本の会社なの?』って思うくらい自由な感じで楽しかったですね。仕事が終わったらみんなでBBQしたり。でも、仕事ぶりは本当にプロ。誰に強制されるでもなく、全員が自分でやることを考えて開発し、アイデアもどんどん言い合う。僕の中での日本の会社って、定時まで仕事をしたらハイ終わり、ってイメージが強かったんですが、このインターンで皆が自主的に動ける組織の強さを知りました」

「デバイス総スマート化時代」を先取りする新サービスを作りたい

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日米の先進的なWebサービスの作り手たちに揉まれて、プログラマーとしての自信も徐々に芽生え始めている

日米を股に掛けての”開発修業”を通じて、さまざまな年代のエンジニアやビジネスパーソンと会う機会が増えたという。

中でも印象的だったと語るのは、やはり技術力と斬新な発想をベースに新しいことに挑戦する起業家たちだ。

「インターンシップに参加させてもらったパンカクの柳澤康弘社長カヤックの柳澤大輔社長、同年代の社長だとうめけん君にも刺激を受けています。彼もデジタルネイティブの一人だし、志も近いので注目しています」

未来の起業家として、彼らのように、もしくは彼ら以上のインパクトを世界に残したいという野望を抱き始めた渡辺君は、現在、新しいプロジェクトの構想を温めている。「まだ詳細はお話しできない」そうだが、ある層に向けたマッチングサイトのようなWebプラットフォームを作り始めているという。

「これからのWebビジネスで考えなきゃならないのは、サービスのマルチデバイス化。僕は、2~3年後には『スマートフォン』って言葉がなくなるんじゃないかと思っています。それくらい、スマホは当たり前のものとして浸透していくはず。そういう時代に対応するようなサービスって、Webベースのものがモバイルでも使えるという発想ではなく、マルチデバイスありきで発想されたものになると思うんです」

渡辺君のようなTeenなギークの若い感性が、これから来るだろう「デバイス総スマート化時代」を席巻するような和製サービスを生む日が来る――。そう考えると、日本のICT業界の未来は明るそうだ。

(コラム「『Life is Tech !』発・未来型ギーク~」に続く)

取材・文/武田敏則(グレタケ)

<渡辺祥太郎君が今、注目する日本のベンチャー企業>

株式会社パンカク

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アメリカAppStoreの有料ゲームダウンロードランキングで1位を獲得した『LightBike』をはじめとする各種アプリ開発から、ソーシャルプラットフォーム開発、SNS開発まで幅広く手がけている気鋭のベンチャー会社です。雰囲気がホントに自由でまるでシリコンバレーの会社みたいでしたね。


面白法人カヤック

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カヤックさんも日本の会社の堅苦しさとはまったく無縁の会社です。なにしろ「面白法人」ですからね(笑)。世界を旅しながら仕事をする社員がいたり、ユニークなWebサービスをリリースしたりと、本当に型破りな会社だと思います。


株式会社ディグナ

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高校生のうめけん君が社長を務める会社です。デジタルネイティブ世代と呼ばれている同世代の起業家ですし、ソーシャルメディアに特化した面白い仕事を手掛けていると聞いているので、どうしても注目してしまいます。

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