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スマホ連携のEVバイク、テラモーターズ『A4000i』に試乗したら二輪の未来が見えた

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2014年3月、米AppleがiPhoneと自動車をつなぐ車載システム『CarPlay』を発表した。また、4月には米Microsoftも同様に『Windows in the car』を発表し、乗り物とスマートフォンとの接続がにわかに脚光を浴びてきている。

先日、スマートフォンと接続できる乗り物、スマートモービルの例として、弊誌でもテラモーターズのスマートフォンと連携するEV二輪車の開発秘話の記事を公開した。

その中で取り上げた『A4000i』は2013年に発表されたものの、発売開始は2014年夏を予定しており、実車に触れられる機会はなかった。今回、そのプロトタイプに試乗できる機会があったので、実際に乗ってきた。

試乗して感じたのはEV二輪の静かさに対する衝撃と、世界的な普及の可能性だった。

バッテリーから飛ぶWi-Fiを拾い、スマホで残量表示

フロントから見たビジュアル。

フロントから見たビジュアル。プロトタイプなのでエンブレムはステッカーだ

リアビジュアル。EVなのでマフラーはない。LEDで消費電力を抑える工夫も

リアビジュアル。EVなのでマフラーはない。LEDで消費電力を抑える工夫も

スイングアームは片持ち、リアサスは左のみ。未来っぽい雰囲気を醸し出している

スイングアームは片持ち、リアサスは左のみ。未来っぽい雰囲気を醸し出している

従来の電動バイクと違い、持ち運びが可能なバッテリー

従来のEV二輪と違い、持ち運びが可能なバッテリー。サムスンと共同開発したバッテリーマネジメントシステムアプリケーションを導入し、1回の充電での走行距離は今までの製品の1.5倍以上に

車載したままの充電スタイル

車載したままの充電はシート下部のハッチにアダプタをつなぐ

サイドスタンドがセルスターター代わりになっており、キーを回してサイドスタンドを上げることでモーターが始動

サイドスタンドがセルスターター代わりになっており、キーを回してサイドスタンドを上げることでモーターが始動

A4000i独自の機能、iPhone連携。

A4000i独自の機能、iPhone連携。3G以降の機種すべてに対応している

iPhoneはコネクタではなく、バッテリーが発信するWI-FIで接続し、情報を表示する

iPhoneはコネクタではなく、バッテリーが発信するWI-FIで接続し、情報を表示する

125ccクラスのため、シートは二人乗り可の設計に。足つきはよくないが、製品版では改良されるという

125ccクラスのため、シートは二人乗り可の設計に。足つきはよくないが、製品版では改良されるという

『A4000i』の「4000」はモーターの最大出力のワット数を示す

『A4000i』の「4000」はモーターの最大出力のワット数を示す

物価の安い東南アジアで高級路線に見出した活路

乗車してまず驚いたのはその静かさだ。

『A4000i』にキーを差込み、サイドスタンドを跳ね上げる、とモーターが始動するはずなのだが、まったくトルクを感じない。説明してくれたテラモーターズの広報担当、大橋哲也氏に「これ、動いていますか?」と確認したほどだ。

騒音や排気が問題となっている東南アジア諸国から販路を拡大していく上で、静かさは重要な要素であるが、静かすぎるのも問題があると大橋氏は話す。

「走行音が静か過ぎると、歩行者がEV二輪の接近に気付かない恐れがあります。ハイブリッド自動車が静か過ぎて問題になったように、何か音をつける仕組みも考えています」

また、普及の課題という文脈で次のようなことも話してくれた。

「東南アジアのEV二輪のニーズは強いです。過去一度、EV二輪が東南アジアで普及しかけたことがありました。その時、主に売れたのが、中国メーカーの車両です。それらは価格帯は安かったのですが、品質が粗悪なものが多かったんです。それで安価なEV二輪のイメージは悪くなってしまいました」

東南アジア諸国では未だに、日本ブランドに対する信頼感は健在だという

by kitmouse
東南アジア諸国では未だに、日本ブランドに対する信頼感は健在だという

『A4000i』の予定販売価格は日本円で45万円前後を想定。ガソリン車の125ccクラスのスクーターと比較してもかなり高価である。しかし、ここにテラモーターズは活路を見出している。

「高価ですが、提供できる付加価値や品質もかなり高いと自負しています。『日本のメーカーが作っている』という事実も東南アジア諸国では大きな追い風です。今夏の販売もベトナムの富裕層から拡大していくつもりです。なぜならベトナムには富裕層向けのバイクマーケットがすでに存在するからです」

同社社長の徳重徹氏は、今も月の半分以上は販売代理店の開拓のために海外に滞在している。

テラモーターズのロゴを纏ったバイクがアジアの道路という道路で見られるようになるのはそう遠くない未来なのかもしれない。

取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)