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[特集:スマートグリッドエンジニアって何?④-太陽光発電] ITコンサルへのニーズ拡大は必至

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太陽光発電への関心が高まっている。

2011年5月、パリで開催された経済協力開発機構(OECD)の式典で、菅直人首相は「日本中の設置可能な約1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置する」と発表。そのほかにも、藤沢市のスマートタウン構想(藤沢モデル)※1が打ち立てられたりと、数ある再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電に関する話題は群を抜いて多い。

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一般社団法人 太陽光発電協会
技術部長 兼 広報部長

亀田正明氏

ソフトバンクグループが26道府県と共同で、2011年7月上旬の設立を目指す自然エネルギー協議会も、太陽光発電を後押しする。ソフトバンク社長の孫正義氏は大規模太陽光発電所(メガソーラー)を提唱しており、休耕田などに2万キロワット(kW)程度の大規模な太陽光発電所を建設することで、5000万kW=原子力発電所約50基分の電力供給が見込まれるという。

数ある再生可能エネルギーの中でも、特に太陽光発電が注目されているのは、設置場所を選ばないという特徴があるため。太陽光パネルには透明なタイプもあれば、服の生地に貼り付けるタイプも開発されており、どのような場所でも簡便に発電できる。20年以上という耐用年数の長さと、メンテナンスコストの低さも支持される理由の一つだ。

藤沢モデルのような、不動産、金融、建築、電器メーカーといった異業種の企業がコラボレートし、一からコミュニティを創り上げる計画が増えていくに従い、ITを利用した異業種間インタフェースは必要性を増す。では、異業種を組み合わせ、最適化できるITエンジニア=SGエンジニアとはどんな人材なのか。太陽光発電の現状とともに、太陽光発電協会で技術部長 兼 広報部長を務める亀田正明氏に話を聞いた。

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政策の後押しで純増する太陽光発電。「1000万戸への導入」も現実的

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出典:太陽光発電協会 統計・資料

太陽光パネルの総出荷量推移。青が国内出荷、橙が輸出

「日本における太陽光パネルの生産量全体は、2010年度のトータルで2.5ギガワット(250万kW)です。特徴は国内出荷の割合が伸びて、海外出荷と互角になったこと。ここ2年で国内の需要が非常に増えており、これまでに太陽光発電を設置した一般住宅は、累計で約80万戸になりました。2009年1月からの補助金制度、2009年11月からの余剰電力買取制度という両輪で普及が進んでいるのです。2011年度も余剰電力買取制度※2が継続されますから、順調に国内出荷量は伸びていくでしょう」

太陽光発電の普及について話す亀田氏。

一般的に住宅に設置される太陽光発電の出力は3~4kW。その設置費用はケースによるが200万円前後だ。国以外にも自治体からの補助金もあり、地域によっては太陽光パネルの設置費用の1/4程度を補助金でまかなえる。余剰電力買取制度によって電力会社が余剰電力を買い取ってくれるので、ランニングコストについても大きなメリットがある。

一方、他の再生可能エネルギー同様、設置費用が高いのがネックだ。その実情を踏まえて、菅首相は「2020年に太陽電池の発電コストを現在の1/3、2030年までに1/6まで引き下げる」という指針を出したが、それは現実的な数字なのだろうか。

「太陽光発電が住宅に入り始めたのは1995年前後で、当初は1キロワットの太陽光パネルが200万円。それが2000年前後に100万円程度になり、最近では60万円弱。15年でおよそ1/3のコストダウンとなりました。今後の施策や普及台数にもよりますが、2020年にコストを1/3にするのは不可能ではない。同様に1000万戸という目標も、高い目標ではありますが、不可能ではありません

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エネルギーマネジメントは、業務系SEが請け負う可能性大

2012年には太陽光で生産した電気の全量買取制度など、政府の後押し実施される予定。さらに国民のクリーンなエネルギーに対する期待があるため、太陽光発電に追い風が吹いているのは間違いない。

「今後、太陽光発電の普及が進めば、それにエネルギーを創る“創エネ”を加えた事業が起こるでしょうね。また、日本においては非住宅への太陽光発電の普及が遅れていますが、今後導入される全量買取制度の内容によっては、工場などでも省エネにプラスして太陽光発電、風力発電を組み合わせた事業に大きなニーズが生まれます」

ビル、工場などの商業施設における省エネをコンサルティングするESCO事業※3に見られるように、多くの日本企業では省エネが徹底している。最先端の省エネ工場であれば、生産施設の機器に取り付けたセンサーから消費エネルギーのデータを収集して、エネルギーの最適化を図るシステムが構築されているケースも珍しくない。今のところ企業は省エネに注力しているが、再生可能エネルギーがコスト的に見合えば、企業がすぐさま”創エネ”の代表格である太陽光発電を導入することは確実だ。

従来、商業施設のエネルギー管理を行うのは、エネルギー管理士エネルギー管理員の仕事だった。しかし、エネルギーの最適化に情報システムの構築が欠かせない今、業務系エンジニアのPM/PL層のエネルギーマネジメント事業に対する需要は拡大すると見られる。同様に、より高い視点から経営にまで踏み込んでソリューションを提供するITコンサルタントも求められるだろう。

「将来、電気自動車やバッテリーによる蓄電機能が導入されれば、住宅の中でより”賢く”エネルギーを利用するためのスマートメーターなどのエネルギーマネジメント機器の導入が進めみます。そのころには、マンマシンインタフェースを担当するIT技術者の手腕が、今以上に重要になるでしょう」

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