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オタク文化を世界に発信する『Tokyo Otaku Mode』のCTOは、自身のキャリアも実にユニーク【連載:BizHack】

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CTOが、他社CTOに直接聞きたいことを聞く!自らもエンジニアながら、3社の経営に携わっている竹内真氏をインタビュアーに迎え、注目のIT・Webサービスを展開する企業の技術トップにインタビューを敢行するこの企画。ビジネスの最前線で、技術のみならず経営をも担うCTO同士の対話から、エンジニアがどのように「ビジネスを創ることのできる技術屋」へと進化すべきか、その思考・行動原則をあぶり出していく。
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今回のCTO対談にご登場いただくのは、公式Facobookページが1100万もの「いいね」を獲得し(2013年3月時点)、そのソーシャルパワーによって世界中のファンを集めているサブカル情報発信メディア『Tokyo Otaku Mode』CTOの関根雅史氏だ。

サービスのユニークさに負けないほど、ユニークなキャリアを持つ関根氏が、日本屈指のグローバルなスタートアップで働くことになったいきさつとは?

ビズリーチCTOの竹内真氏が直撃した。

CTO対談「BizHack」 インタビュアー・プロフィール

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株式会社レイハウオリ 代表取締役 | 株式会社ビズリーチ・株式会社ルクサ CTO
竹内 真氏 (blog:singtacks) 

電気通信大学を卒業後、富士ソフトを経て、リクルートの共通化基盤やフレームワークの構築などを担当。並行してWeb開発会社レイハウオリを設立。その後、IT・Webスペシャリストのための転職サイト『codebreak』などを運営するビズリーチ、国内最大級のタイムセールサイトを運営するルクサを創業、CTOに就任。The Seasar Foundationコミッターを務めるなどOSS活動も

今回のゲストCxO
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Tokyo Otaku Mode CTO
関根雅史氏 

2004年、比較.comにエンジニアとして入社。翌年、開発部長に就任。20以上の比較サービスの新規開発を行い2006年の東証マザーズ上場に貢献。その後、SBI Roboの技術開発部門のマネージャーを経て独立。モバイル向けTwitterクライアントサービス『yubitter』を開発しリリースする。2011年クラウドロップを創業。2012年から現職

竹内 今日はよろしくお願いします。

関根 こちらこそ、よろしくお願いします。

竹内 さっそくですが、関根さんがTokyo Otaku Modeさんにジョインしたのは、いつのタイミングでした?

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日本のオタク文化を伝えるメディアとして世界的に人気の『Tokyo Otaku Mode

関根 今から1年前、代表の亀井(智英氏)にシリコンバレーのシードアクセラレーターとして知られる『500 Startups』から声が掛かったころです。シリコンバレーに行って3カ月間のプログラムに参加することが決まっていたんですが、Tokyo Otaku Modeに専任のエンジニアがいなかったので、一緒に行かないかと。ほかの方にも声を掛けていたようですが、突然「来月から一緒にアメリカへ行こう」なんて言われても、なかなか行けないですよね(笑)。

竹内 実は僕も亀井さんとは以前からの知り合いで、声がかかったうちの一人だったんです(笑)。

関根 そうだったんですね!(笑)

竹内 冗談めかして「明日から一緒にシリコンバレーに行きませんか?」って言われましたけど「無理!」ってすぐに断りました(笑)。関根さんは亀井さんとは以前から親しくされていたんですか?

関根 いえ、亀井と会うのは2回目でした。何だかよく分からない状態でジョインして、アメリカに行くことに決めたんですよ。

竹内 でも、すごい決断をしましたよね。ジョインの決め手は何でした?

関根 とにかく『500 Startups』に日本の会社が選ばれることは珍しいし、良い機会だと思ったのが一番でした。あとはそのころ、自分の会社で運営していた自社サービスが軌道に乗って、手を離しても回せる状況になっていたのも理由の一つです。会社勤めをしていたわけではなかったので、柔軟に動けたのがよかったんでしょうね。

500 Startupsの“鬼軍曹”によるしごきで、改めて基本を学ぶ

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日本のスタートアップとして選ばれるのは希有な『500 Startups』での経験を聞く竹内氏

竹内 シリコンバレーに滞在された感想はいかがでしたか?

関根 僕、実はまったく英語を話せなかったんです。だから何とか頑張ろうと思いましたが、渡米して2日目でこれはダメだと思ったので、3日目には「英語をあきらめます宣言」をしまして(笑)。

竹内 えっ!

関根 そのとき以来、僕の仕事は英語を話すことではなく、コードを書くことだって割り切るようにしましたね。

竹内 なるほど。実際、向こうではどんなことをやられたんですか?

関根 当時、 Tokyo Otaku ModeのFacebookページは、380万くらいの「いいね」を獲得していたので、まずはそれを活かせるサービスを出そうと、モバイルアプリを作り始めました。今のotakumode.comのモバイル版ですね。だけど『500 Startups』のメンター(指導者)から『FacebookのユーザーはほとんどPC経由で利用しているんだから、まずはPC向けのWebサイトを作るべきだ』って言われたんです。どうしてもモバイルアプリを作りたかったので聞き流していたら、最終的にはメンターからものすごい剣幕で叱られてしまいました。

竹内 ははは! ちなみにメンターはどんな方だったのですか?

関根 怒ると怖かったですよ。僕らの間では「鬼軍曹」って呼ばれていましたね(笑)。でものこの方がスゴイのは、ことあるごとに「ソースを見せてくれ」とか、「どのライブラリを使っているのか」とか、エンジニア視点を持っていることでした。この方の本業は投資家なんですけどね。

竹内 アメリカのメンターや投資家には、エンジニアリングの知見を持つ人が多いんですか?

関根 多かったですね。そのあたりは日本と全然違うなと思いました。

竹内 なるほど、アメリカのITが発達する理由が分かりますね。ビジネスモデルを見て判断するのではなくて、サービスの中身まで見て判断するのですね。

関根 そうなんです。だからコードを書いて煮詰まると、今でも鬼軍曹の顔が浮かぶんですよ。きちんと書かないとマズいなって(笑)。

竹内 (笑)

関根 プレッシャーはありましたけど、すごく良い経験だったと思います。

500 Startupsで出会った仲間は、クラスメイトのようなもの

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渡米前から「経験豊富な技術屋」であった関根氏も、異国の地で多くを学んだ

竹内 あちらに滞在している間に、ほかのスタートアップ企業との交流はありましたか?

関根 ええ、ありました。Tokyo Otaku Modeが参加したプログラムには、世界各国から28社が集まっていましたから。片言な英語でしたけど、それなりに交流はしていましたよ。

竹内 『500 Startups』に選ばれるくらいですから、皆さん優秀ですよね?

関根 優秀ですし、みんなよく働いていました。日本人はよく働くってイメージがありますが、そんなの目じゃないくらい、とにかくどの国の人もバリバリ働いていましたね。

竹内 エンジニアとしてスゴイと思った人はいました?
(次ページへ続く)