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『みんなのウェディング』は、「100%内製化」と「新規開発を新人に一任」で、サイトも開発チームも強化する【億単位調達ベンチャー・開発の非常識】

公開

 
世の中に新しいWeb(アプリ)サービスを生み続けるWeb系スタートアップたち。本企画では、その中でも今後大きく成長する余地のある注目企業として、1億円以上の資金調達を行った企業の開発スタイルに迫る。自身のブログメディア『TheStartup』も人気を集める梅木雄平氏をインタビュアーに招き、Webサービスやアプリに”魂を込める”開発チームの特徴を明らかに していく。
インタビュアー

フリーランス マーケター
梅木雄平

フリーランスにてWebサービスの新規事業のコンサルティングやマーケティング 、ライティングを手掛ける。VC業界での経験を活かした事業分析や、投資家関連の記事を展開するブログメディア「TheStartup」を主宰。有料オンラインサロン「Umeki Salon」は会員100名突破間近

連載第3回目に登場するのは、結婚式場選びNo.1口コミサイトとして、着実に知名度を高める『みんなのウェディング』。最近ではワールドビジネスサテライトに取り上げられるなど各種メディアで報じられることも増え、分社化から2年足らずだが、今ウェディング業界で最も勢いのある企業である。

結婚式場選びNo.1口コミサイト『みんなのウェディング

2008年2月にDeNAの新規事業として運営を開始。その後2010年10月にDeNAより分社化し、グロービス・キャピタル・パートナーズから1.56億円を調達。事業を拡大してきた。2012年1月にはウェディングプランナー選びのプラットフォームである『みんなのウェディングプランナー』2012年5月には2人のための小さな結婚式プランを検索できる『ふたりのウェディング』と続々とウェディング業界に一石を投じる新規事業を立ち上げている

そんな同社の開発チームを率いる小川隆之氏に、みんなのウェディングの開発裏側を聞いた。
「コンシューマー向けビジネスも楽しいですね」と語る小川氏(写真:左)

「コンシューマー向けビジネスも楽しいですね」と語る小川氏(写真:左)

入社したての新人に新規開発を任せる、攻めの内製開発

学生インターンに和やかに指導する小川氏

学生インターンに和やかに指導する小川氏

2011年末までは社外のエンジニアも登用していたが、現在は100%内製で開発を行っているという。新サービスの展開や、既存サービスのチューニングのために、開発の機動力を上げたかったことが理由である。2012年に入ってから入社したエンジニアが全体の半数を占めるのだが、驚くことに、その新人エンジニアに新規事業の開発を一任しているという。新サービスの開発に着手するにあたり、担当エンジニアが開発環境を決め、『みんなのウェディングプランナー』はRubyを選択して開発を進めていった。ちなみに『みんなのウェディング』と『ふたりのウェディング』はPerlで開発している。エンジニアの平均年齢は30代前半で、全員が30代。開発経験が豊富なエンジニアが多いため、上記のように新規事業のサービス開発を新人エンジニアに一任するとは言え、サポート体制は抜群だ。また、新規開発に各々の好きな技術環境を試せるのも、「技術者として技術に興味を持ち続けてもらいたいし、好きな技術を使える場を提供したい」というチームの思いがあるからなのだという。

30代のメンバーが揃っているチームということもあり、一人一人がプロフェッショナルとして責任を持ち、進ちょく管理はプロジェクトを担当している当人に任せているという。最近入ってきたメンバーとも知識の相互補完などで新たな気付きを得て、刺激し合える良好な関係が築けているという。

新規プロジェクトの企画段階から必ずエンジニアが参加

開発のルールやチームマネジメントについて力を込めて語る小川氏

開発のルールやチームマネジメントについて力を込めて語る小川氏

同社では、新規開発を新人エンジニアに一任することのほかに、もう一つ開発のルールがある。それは、新企画を立ち上げる際には必ずエンジニアとマーケティング・営業など、その企画に関連する部署のメンバーも同席の上で打ち合わせに参加し、エンジニアにも企画段階から積極的に携わってもらうことだ。最初からエンジニアが加わることで、検討されている企画や機能の実現性が判断できる。必ずしもエンジニアの中での優先順位ではなく、その企画がサイト運営にどれほどのビジネス的なインパクトを与えるかの効果をしっかりと予測し、その上で開発の優先順位を決めている。例えば、営業担当も、開発プロジェクトに対して意見を述べることもしばしばあるという。みんなのウェディングは事業特性上、営業担当が結婚式場と日々接しているため、結婚式場のニーズは営業担当が一番良く分かっている。結婚式場が掲載され、ユーザーの口コミを見ることができるという事業モデルであり、結婚式場がサイトに対して感じていることをプロジェクトの中で営業担当からエンジニアに直接フィードバックする機会を設けているそうだ。

重要なのは、ビジネス視点で開発を考えること

開発チームのリーダーとして、小川氏がチームマネジメントで気をつけていることは2つある。
1つ目は透明性のある情報共有だ。開発メンバーは昨年から今年は2倍近くに増えたこともあり、開発のスケジュール感や問題意識などを適切に情報共有することが重要であると考えているようだ。2つ目は当事者意識をメンバーに持ってもらうこと。自分が何を作っていて、サイトや社会にどう貢献しているのかを認識してもらったり、日報を通じていろんな気付きを共有できるようにしているという。開発チームだけでなく社内全体では、週に一度全体の定例ミーティングを実施し、KPIを達成できていない場合はビジネスサイドだけでなく社内全体で施策を考えることもあるようだ。KPIの進ちょくが芳しくなければ、それを担当している誰かのせいというのではなく、全員が責任感を持って考える文化があるという。エンジニアもビジネスマインドが高く、ビジネスの成功のためにITを駆使しているという感覚が社内にはあるようだ。「何のために機能を改善するのか」や、「ここを変えることでユーザーにどんな影響を与えられるのか」など、ただ開発するだけでなく、ビジネス的な観点で開発を進めることができるからこそ、サービスとしての価値も高くなり、億単位の資金調達につながっているのかもしれない。

このような和やかで協力的な文化のある同社だが、事業に対する想いは強く、事業に共感して参画したいというエンジニアを歓迎したいようだ。みんなのウェディングが手掛けるウェディング業界は、多くの人にとっては生涯で一度しか購買機会がない市場であるということもあり、情報の非対称性の強い業界である。

結婚式といえば平均で300万円前後の高額な買い物であり、十分な情報を得られなかったがために購買者が不利益を被ることも多いという。ウェディング業界の情報の非対称性を埋める事業は、社会的な意義が大きい事業であり、この事業を大きく育てて社会に貢献したいという社員が多いようだ。こうした理念に共感する人を求めている。

求める人物像としてはほかに、コンシューマ向けの事業を手掛けた経験がある、もしくはコンシューマ向けの事業が好きな人を挙げている。結婚という事業特性上、エンジニア職腫でも女性が活躍できる場は広いのではないだろうか。エンジニアでは女性社員は1名だが、会社全体の男女比率は6:4で女性が4割いる。創業2年未満のスタートアップでは女性4割というのはかなり珍しい比率であり、女性比率は高い。

社会的な意義が大きい事業の中で、自分が携わった仕事が社会を少しでも良くしていることを実感したいエンジニアには、ぜひみんなのウェディングを検討してみてもらいたい。これから入社するエンジニアにも新規事業を手掛ける門戸も開けているようだ。

ウェディング業界を変えたい方、お待ちしています!

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撮影/小禄卓也(編集部)