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「『やろう』と言ったらそれはもう『.pm』」~YAPC::Asia Tokyo 2014に見る地方コミュニティの盛り上げ方

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近年出現したクラウドソーシングなどの普及で、地方でもエンジニアの活躍の場が増えた。エンジニア同士の情報交換やスキルアップのため、CMSや開発言語ごとに地方コミュニティでの勉強会も積極的に行われている。

2014年8月28日~30日の3日間で開催された世界最大級の言語カンファレンス『YAPC::Asia Tokyo 2014』では、地域ごとに存在するPerlコミュニティの代表者を集めた『地域.pmミートアップ 2014』のセッションが行われた。

観客は立ち見、スピーカー側に飛び入り参加も現れるほど盛り上がったこのセッションでは、各コミュニティでの取り組みの紹介や、『Yokohama.pm』代表で、一般社団法人JPA(Japan Perl Association)の理事である@yusukebe氏に対し、新しい制度への要望なども行われた。

全国のPerlMongersが注目したそのセッションの内容を紹介する。

参加者集めのための試行錯誤

『地域.pmミートアップ 2014』のセッションに登壇した各『.pm』の代表たち

『地域.pmミートアップ 2014』のセッションに登壇した各『.pm』の代表たち

まず、地方のコミュニティ運営の難しさとして、多くのコミュニティで共通して挙がっていたのが、「人集め」である。

いかに新しい参加者を取り込むかについては各コミュニティで工夫が見られた。『Fukuoka.pm』の@d_tsuru氏はこう話す。

「かつての『Fukuoka.pm』の参加者にはギークな人が多く、初心者には参加のハードルが高く感じられるようで敬遠されている印象でした。そこで、初心者も気軽に参加できるよう、別のコミュニティ『天神Perl』を立ち上げました」(@d_tsuru氏)

『天神Perl』はそのconnpassのページにある「プログラミング言語Perlのゆるふわ勉強会」の表記からも分かるように、環境構築のやり方が分からない初心者や、Perl以外の言語の情報交換目的でも参加できるくらい参加障壁が低くなっている。

『Yokohama.pm』の@yusukebe氏が過去に主催していた『Perlカジュアル』も同様だ。

昨年一年間、@yusukebe氏はJPAから講師として派遣され、全国の『.pm』を飛び回った

昨年1年間、@yusukebe氏はJPAから講師として派遣され、全国の『.pm』を飛び回った

また、JPAの『講師派遣制度』も集客に一役買っているという。『講師派遣制度』とは、JPAが有名Perlエンジニアの渡航費を全額負担し、情報交換や交流を目的に各地のコミュニティに派遣する制度だ。

Hokkaido.pm』の@aloelight氏は『講師派遣制度』についてこう話す。

「集客には勉強会のスピーカーの人選も重要で、有名人が来ると参加者も多く集まります。もう5、6回活用していますが、JPAの『講師派遣制度』は参加者集めにすごくありがたいです。有名エンジニアが来ると、私も発表したい、と手を上げる人も多いです」(@aloelight氏)

また『Hokkaido.pm』は開催時期にも気を遣っているという。

「帰省の時期に合わせて開催することもあります。北海道という土地柄、東京で働いている北海道出身のPerlエンジニアは帰省とのタイミングが合わないとなかなか参加できないですから」(@aloelight氏)

地域.pmから全国、世界へ

逆に地方から全国に発信している例もある。

「ありがたいことに『Niigata.pm』では地元の技術系大学からの参加者も多いんです。大学と同時に『Niigata.pm』を卒業し、エンジニアとして東京で活躍している人も多く、それはうちの自慢ですね」(@neko_gata_s氏)

『Kansai.pm』発の初心者向けイベント『Perl入学式』

『Kansai.pm』発の初心者向けイベント『Perl入学式』

また、人材ではなく企画自体を全国に送り出した例もある。『Kansai.pm』から生まれた『Perl入学式』がその最たる例だ。

「最初は『Kansai.pm』にPerl未経験者や初心者の参加者を集めようと企画した『Perl入学式』というワークショップですが、他の地域コミュニティでも開催されたり、今回のYAPCの採択トークにも選ばれたりと、全国的なものになりました」(@nqounet氏)

@nqounet氏は続ける。

「地方のYAPC発のイベントを日本全国に広げることが可能なのだから、日本のYAPC発のイベントを海外のYAPCで広めることも可能ですよね。私はこの『Kansai.pm』発の『Perl入学式』が、全世界のYAPCでも開催されることを夢見ています」(@nqounet氏)

『.pm』は参加するものではなく、作るもの

「みんなに知ってほしいのは『.pm』の裏には必ず発起人が存在するということ」と@uzulla氏は話す

「みんなに知ってほしいのは『.pm』の裏には必ず発起人が存在するということ」と@uzulla氏は話す

地域.pmには公式と非公式がある。しかし、どちらも最初は全て各地域の発起人たちの提案によってできたものだと『Hachioji.pm』の@uzulla氏は話す。

「地域によっては『.pm』がない地域もあります。でもどの地域も最初はみんなそうなんです。なければ作ればいいんです。居酒屋の何気ない会話が元でできた『.pm』だってあるんですから。近くに『.pm』が欲しいと思ったら、誰かに相談する、もしくはtweetすればいいんですよ。きっと5人くらいすぐ集まって、それはもうあなたの『.pm』です」

取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)