エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

シリコンバレー初の日本人学生起業家が誕生「英語も開発もできない僕が、“ITの聖地”でユーザーテスト事業を興すまで」

公開

 

シリコンバレー(以下、SV)での起業は、日本人にとっていまだに難関である。現地でネットワークを築き、資金面でサポートしてくれそうなVCを探し、ビジネスのニーズを見いだして厳しい競争に打ち勝つ――。これは、口で言うほど簡単なことではない。

しかし今夏、現役大学生にもかかわらず「SVで起業」をやり遂げた日本人がいるのをご存知だろうか。

彼の名前は、伊藤悠。慶應義塾大学商学部の4年生だ(※現在は休学中)。かの地で法人登記を果たした日本人学生は、彼が初めてだという。

困難を乗り越えて海外を目指したのはなぜか? 自らの会社「Connectionpool(コネクションプール)」が手掛けるビジネスの中身とは? そして、肌で感じたSVの空気は、一体どんなものなのだろうか? Skype取材で入手したコメントの数々を紹介しよう。

SVに進出する日本企業はユーザーの反応をすぐ反映できていない

yuito-1

Connectionpool Founder
伊藤 悠さん

―― 起業を目指したのはいつごろからですか?

父が中小企業を経営していた関係で、幼いころから起業に関心がありました。その思いが決定的になったのは、『ReLife』という起業家インタビューサイトの運営に携わった大学3年生の時です。

100人ほどの起業家にお会いし、経営への熱意や困難を乗り越えた体験談を伺っていくうちに、僕も挑戦してみたいと気持ちが高まっていったんです。

―― 日本での起業ではなく、なぜ最初からシリコンバレーを目指したんですか?

日本には優秀な起業家がたくさんいます。わたしと同世代で活躍している人だって珍しくありません。でも、『ReLife』でのインタビューで出会った起業家の方々からは、「世界にはもっとすごい人がいる」という話を何度も伺いました。

それで、「どうせなら海外に出て、優秀な人から刺激を受けながらビジネスをしたい」、「SVなら、その願いが叶うんじゃないか」と思ったんです。そこで大学を1年間休学し、サンブリッジ グローバルベンチャーズ(日本オラクル初代代表のアレン・マイナー氏が設立した米ベンチャーキャピタル)のインターンに応募しました。

―― 現在手掛けているビジネスについて教えてください。

スマートフォン向けアプリケーションのユーザーテストビジネスです。米国展開している日本のWeb企業や、現地のアプリ開発会社などから受注を得て、スタンフォードやバークレーなどの学生に評価してもらっています。

現在は業務フローの整理やWebサービス化も進め、売り上げ拡大を目指しています。

―― ビジネスは、当初から順調でしたか?

いえ、全然(笑)。はじめは挫折ばかりでした。英語は多少できるつもりだったのですが、いざ現地に行ってみると、スターバックスでの注文すらおぼつかないレベルで……。現地で開催されている起業家たちのミートアップに顔を出しても、最初はろくに英語ができなくて、情報交換もままなりませんでした。

僕は文系なので、人に誇れる技術や知識もない。渡米直後は、「何のためにこっちにやってきたのか」と、ひどく落ち込みました。

―― そうした状況から抜け出せた転機は何だったのですか?

ある時、インターンをしていたサンブリッジさんで、「SVでビジネスをしようとする日本企業が増えてきたけれど、彼らの多くはネイティブほど英語ができないから、ユーザーの反応をサービスに反映するまで時間がかかる」という話を聞きまして。

「日本人、しかも学生としてSVに滞在している伊藤君のポジションは、価値があるんじゃないか?」とアドバイスをいただいたんです。これで、視界が開けました。
(次ページへ続く)