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角川×Twitterの“ソーシャル立ち読み”は世界の電子書籍業界を変えられるか

タグ : EPUB, Twitter, 角川, 電子書籍 公開

 

2014年7月2日、東京ビックサイトで開催された国際ブックフェアで、角川アスキー総合研究所はTwitterのタイムライン上で電子書籍を試し読みでき、簡単に共有できるという“ソーシャル立ち読み”サービス『Twitter ePub ビューワー』のサービスを同日から開始したと発表した。

Twitter Japan社の協力のもとで開発したこのサービス、使い方は以下のとおりだ。

【1】『Twitter ePub ビューワー』対応のサイトから、シェアしたいコミック・書籍を選び、Tweetボタンを押す
【2】ePubデータを埋め込んだ情報が、Twitterタイムラインに乗る
【3】ポストされたTweetのタイムライン上で、他サイトに遷移することなくコミックや書籍の立ち読みができる

このサービスをリリースした背景には、昨今の日本の出版業界の課題がある。

13056人を対象にした同社の書籍の購入頻度に関する調査によると、年に1冊も紙の書籍を購入しない人は約50%、年に1冊も電子書籍を購入しない人は約91%に上るという。

これら、書籍の購入の習慣がない層へのアプローチも大きな目的である。

「独りよがりな出版はもう終わった」

『Twitter ePub ビューワー』の開発に携わった2社の関係者が一堂に会した国際ブックフェアの新サービス発表会において、角川アスキー総合研究所の角川歴彦社長は、日本の出版業界の変化についてこう語った。

自身の編集者としての経験から出版業界の今昔を語る角川歴彦氏

自身の編集者としての経験から出版業界の今昔を語る角川歴彦氏

「昔は作家や編集者が作りたいものを作って売っていれば売れました。でも今はそうではない。作り手が意図していなかった部分に読者が食いついているといった反応も見られるようになりました。作り手の自己満足の時代は終わったんです。作り手自身でも気付かない作品の面白さをシェアして欲しいと思い、このサービスを作りました」

また、同社の代表取締役専務である井上伸一郎氏は、書店やコンビニの立ち読みに対する姿勢の変化を踏まえてこう話した。

「昔はマンガなどを立ち読みし、気に入ったら購入する、という流れがありました。しかし、現在はラッピングされていて本を開けないようにしている店舗が多く見られます。このサービスならそれを解決してくれるでしょう」

日本だからこそ誕生したサービス

開発に携わったTwitter Japanの執行役員、牧野友衛氏は、このサービスを米Twitter社に紹介する機会があったと明かす。その際、「こんなサービスは思いつかなかった」と、とても驚かれたという。

「まさに日本だからこそ生まれた新サービスだ」と牧野氏は続けた。その理由として、次のポイントがあると分析する。

・日本のTwitterのアクティブユーザー数はアメリカについで世界で2位
・日本のTwitterユーザーの55%が10~20歳代の若者
・日本のTwitterユーザーの46.6%がマンガやコミック雑誌を読んでいる
・多くの漫画家・文筆家がTwitterを利用して情報発信している
・マンガ・アニメという世界的にも強力なコンテンツがある

利用に際しては、新たにアプリインストールなどの手間が発生しないため、Twitterアカウントを持っていれば作家本人でも自分の作品を広報することができる。

角川アスキー総合研究所が運営する『Twitter ePub ビューワー』対応サイト『Tw-ePub』

角川アスキー総合研究所が運営する『Twitter ePub ビューワー』対応サイト『Tw-ePub』

2014年7月2日現在、『Twitter ePub ビューワー』は同社が運営する専用サイト『Tw-ePub』しか対応していないため、その恩恵は同サイトに出品している作家しか受けられない。ただ、同社によると7月中には他社への提供を開始する見通しだという(マネタイズ方法に関しては未定とのこと)。

また、将来的には出版社だけでなく、個人へのAPI提供も視野に入れているという。

角川氏はこのサービスを、「角川だけのものだけでなく、世界中の出版業界全体に活用していきたい」と話した。

共通プラットフォーム化で電子書籍普及の足がかりに

電子書籍の業界では、各出版社のサイト上での限定公開や専用アプリへの一部配信など、各社ごとに電子書籍普及の方法を模索してきた経緯がある。それに、規格統一についても徐々に進んではいるものの、Kindleやkoboなど機種に依存する部分も少なからず存在している。そのため、これまでは広く一般ユーザーに広まっていない。

こうした現状は、Twitterという巨大インフラサービスの上で「ソーシャル立ち読み」が行われるようになってくれば、劇的に変わる可能性があるだろう。

『Twitter ePub ビューワー』が電子書籍業界の「試し読み共通プラットフォーム」として普及していけば、入り口に関しては各社による垣根がなくなり、ユーザーはすべての書籍をTwitter上で立ち読みできるようになるからだ。また、立ち読みを経ることで購買意欲が刺激され、電子書籍の売り上げ増も見込めるだろう。

そうなれば、書籍の中身を確認したい読者にも、コンテンツを販売したい作者にも大きなメリットだ。

現時点の『Twitter ePub ビューワー』は、TwitterのiPhone用公式アプリ経由だと遷移が多い仕様になっているが、今後改善がなされることが予想される。日本発のソーシャル立ち読みサービスが、世界中の電子書籍業界を席巻する日も近いかもしれない。

取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)




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