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解放集団Livertyが新たに始めるゼロ円学校『青空学区』は、日本のプログラマー人口を増やすか

タグ : Liverty, PHP, プログラミング, 家入一真, 教育, 業界有名人, 青空特区, 高木新平 公開

 
スパルタキャンプ【PHP編】2013沖縄

『青空学区』の初回『スパルタキャンプ【PHP編】2013沖縄』のティザーページ

あなたがレストランに食事に行った時、「お代はいただかなくても結構です、あなたより前に来店したお客さまにいただきましたから」、「ただ、あなたも次に来る人に“優しさのギフト(つまり食事代)”を送ることができます」と言われたらどうするだろうか?

これは、アメリカ西海岸のとあるレストランがボランティアの一環で始めたという「カルマキッチン」の仕組みだ。

「善意の輪」で経済は回るのか? という問いに対する実験的な取り組みは、すぐに話題となり、今では世界各国で似たようなイベントが行われるようになった。

そして今夏、いよいよ日本のIT業界でも、この善意の輪を広げようとする興味深い試みが始まった。起業家の家入一真氏らが立ち上げた解放集団Livertyが、「授業料ゼロ円」でプログラミングなどを学べる『青空学区』を開始したのだ。

授業料をゼロ円にする代わり、参加者には「次にプログラミングを学びたい人」のために勉強会や講習を開くことを薦めていく。つまり、カルマキッチンと同様“優しさのギフト”によって、プログラマー人口を増やしていこうという試みだ。

初回は今年8月下旬に行われる『スパルタキャンプ【PHP編】2013沖縄』(※参加受付はすでに終了)。沖縄某所に宿を取り、2泊3日でLivertyメンバーがプログラミングを教える。

続いて9月には東京・中野のリバ邸(Livertyが全国各所に広めるシェアハウスの名称)でJava教室を予定しており、今後iPhoneアプリ開発のキャンプなども開催していくという。

『青空学区』の詳しい情報はコチラで発信予定

Livertyは、ECサービスの『BASE』や学費クラウドファンディング『studygift』といった開発実績もある通り、これまで「誰もが自由にWebサービスを立ち上げられる場」として動いてきた。なのになぜ、今回プログラミング教育に乗り出したのか。

『青空学区』の企画に携わった家入一真氏と高木新平氏、今回の『スパルタキャンプ【PHP編】』で講師を務める柏木祥太氏に話を聞いた。

技術習得を社会との接点に~独学でつまずきやすい部分をサポート

『青空学区』の企画に携わった家入一真氏と高木新平氏、今回の『スパルタキャンプ【PHP編】』で講師を務める柏木祥太氏

(写真左から)Livertyの高木新平氏と柏木祥太氏、家入一真氏

「ある人からカルマキッチンのことを聞いて、面白い仕組みだなと思っていたんですね。しかも、その人が言うには、『お代はゼロ円なのに収支がプラスになることもある』と。ならば、ゼロ円で学べる学校があったらどうなるんだろう? と考えたのがきっかけでした」(家入氏)

『青空学区』はITだけを教えるコンセプトではなく、講師陣もボランティアのため、「講師をやってくれる人がいれば恋愛や人付き合いの教室も開きたい」(家入氏)と幅広い“学び”を提供していくという。だが、最初のテーマにプログラミングを選んだのには確固たる理由がある。

「Livertyに集う人たちの中には、進学や就職などの一般的なレールから外れた若者が多いので、まずはそういう人たちに向けて具体的な職能を学べる場を作ろうと。で、Webサービスは一定数のユーザーが集まればビジネスとして展開しやすいので、プログラミング教室から始めることにしたんです」(高木氏)

実は沖縄キャンプで講師を務める柏木氏も、高校を中退してレールを外れた経験を持っている。

彼はその後、中学生のころに始めたWebサイト制作の知識を深め、オープンソースのSNSエンジン『OpenPNE』などを提供する手嶋屋で開発アルバイトをしていたが、それまでは「独りでプログラミングを勉強し、ある言語の勉強では難し過ぎて挫折したこともある」そうだ。

今回のPHP教室では、こうした自身の経験も踏まえながら、独学だとつまずきやすい部分のサポートをしたいと話す。

プログラミングは手段。人は「プロジェクト体験」で成長する

ちなみに8月の沖縄キャンプには、予定人数の30人を大きく上回る100名弱の申し込みがあり、選考によって参加者を決めたという。

解放集団Liverty 家入一真氏

実は「学ぶ内容」そのものに価値はないと話す家入氏。その真意は?

応募理由はさまざまだったそうだが、「青空学区のコンセプトに沿って、『次につなげてくれそうかどうか』を重視して選考した」と家入氏は言う。

「実際に参加者たちが別の場で勉強会を開いてくれる保証はないですけどね。何しろ授業料がゼロ円ですから。『無料で学ぶものに本気になれるか?』という考え方があるのも承知していますが、ゼロ円だから応募数も増えるわけで、選考を通過した人はむしろ本気度が高まるはず。まずはこんな仮説を持って、いろんな教室を開催していく予定です」(家入氏)

また、初回の開催を東京ではなく沖縄にしたのは、「プログラミングを学びたいと思っている人は地方にもたくさんいるのに、東京に比べて勉強会の数が少ないので、僕らの方から地方へ行こうと」(柏木氏)いう考えがあったそうだ。

こうした取り組みの裏側には、「みんなで学ぶ」機会を作ることで日本全国にモノづくりのプロジェクトを創出したいという真の狙いがある。

「プログラミングは教わるものではなく自ら学ぶもの」というのが、家入氏ほか全員の共通意見だ。しかし、世の中にはどう学べばいいか分からないと悩む若者もいる。実際、家入氏のTwitterには、「○○○を学びたいがどうすればいいか?」という質問が寄せられることも多いという。

こういう人たちに本当に必要なのは、「ググれと突き放すことではなく、学ぶためのきっかけづくりじゃないか」と家入氏は話す。

「それに、みんなで学ぶ機会を作ると、何人かは一緒にサービス開発プロジェクトを立ち上げようとするものです。プログラミングは手段でしかなく、そこで得られる『つながり』にこそ価値があるからでしょう。僕らはこのつながりをいろんな場所で生み出すために、無料で学べる学校を提供していきたいんです」(家入氏)

「Livertyでも、プログラミングのイロハも知らなかった若者が『何か新しいモノを作りたい』とやってきて、いろんなプロジェクトに参加していくうちに、たった半年で『BASE』のiPhoneアプリ開発に携わるほど成長したりしています。本当に“使える技術”って、何かしらのプロジェクトにかかわることで身に付くのだと思います」(高木氏)

Livertyが演出する「無料のカルマ」から、新しい開発プロジェクトが生まれるのが楽しみだ。

取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)




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