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[連載:八反田 智和] 矢野りんさんに聞く(2/4)-「これからは『生きることを楽しむためのモノづくり』が盛り上がってくるんじゃないかな」

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Android女子部をはじめ、さまざまなコミュニティ活動に参加する矢野さんは、幅広い職種の人と交流がある

矢野 それに、エンジニアとデザイナーって、はじめにお話したように属性が違い過ぎる。というわけで、ディベロッパーとデザイナーが話せば、それなりに議論にはなります。それが傍目からは、何となくソリが合わないように見えるということはあるでしょうね。

でも客観性と主観性、人間の都合というシステムと自然とがかみ合って、それこそ「環境」を作るわけですから、どっちがより重要とかじゃなくて、「どっちも大事だよね」ということになりますよね。自然に……。あ、また出ましたね(笑)。

ちなみに、相方の足立(adamrocker氏のこと)は好奇心が強いので、違いを楽しめる性格である上に、議論の落としどころにブレがありません。なので議論は発生しますし、端から見ればその時は言い争いをしているみたいに見えるかもしれないけど、立場を守るためでなく面白いモノを作るためなので、そのうちどちらかが「なるほどね、了解!」となることの方が多いです。

八反田 「自分を超えた自然の成り行きを察知する目を主観と言う」、「人間の都合というシステムと自然とがかみ合って『環境』を作る」、これらを前提としてモノづくりのチームができると、すごく良いですね。チームラボさんとかと考えが合いそうですね。

モノづくりの理想が「生活の中に溶け込むこと」とすれば、その入り口を創るのがデザイナーの仕事なのでは? と分析する八反田氏

モノを作ることの魅力って、プロセスも大事ですけど、最終的にはそのモノ自体が使い手の生活の中に溶け込み、社会の一部になっていく瞬間を感じた時だと思うんですよね。自分の手を離れて、そこに、生活に、世の中に存在していること。ゾクゾクします。

「生」は有限だし、個としての存在意義があやふやな中で、すごく頼もしいものを感じます。人は生きた証を、社会とのつながりの中に求めている。作ったモノを通して自分を知ってもらい、認めてもらえる感覚というか。そういうもののために、あの手この手を使って研鑽して、継続して、モノづくりに邁進するんでしょうね。

わたしの前職だった外資広告代理店にいたクリエイティブディレクターさんは、その連続の中でコンセプトを出していくのがすごくうまかった気がします。でも、Web業界のエンジニアさんは、今いる場所に「閉じた感覚」でやってる人が多いようにも思います。逆にデザイナーさんは、どう見られるかを気にして、社会的なコンテキストと自分自身のコンテキストをつなげるより、「とりあえず目立っちゃえ!」な人が多いようにも思うのですが。どうでしょうか?

Webは「対個人のメディア」。作り手の人となりが如実に表れる

矢野 「世の中変えるぞ!」と思った時、以前はものすごい数の人間をいっぺんに動かそうとする必要があったと思います。特にマス広告という手段しか選べなかった時代はそうですね。そういう世界の中では、クリエイティブにかかわる人個人の資質が見られることが、それほどなかったんじゃないかな?

例えば、どこの広告代理店に属しているとか、年収はいくらだとか、年はいくつだとか、過去どんな案件にかかわってきたのだとか。よっぽど自分から外に出て行く人じゃない限り、「どんな人だか知らないけど肩書き見るとスゲーな」的な。

でも、Web業界はマスじゃない。対個人のメディアです。なので、作り手の人となりがモロにばれます。で、Web業界のデザイナーはそれを半ば直感的に分かっているので、バレる前に出よう、と。

それが結果的に、目立とうとしているように見えるのかもしれないんですけど。じゃあWeb業界は世の中を変えようとはしてないかというと、決してそんなこともない。「未来を語る」的な文脈で名を残したいって感覚じゃなくて、今あるテクノロジーで使う人の利便性を向上させよう、という視点で淡々とやっている感じかなぁ。

八反田 なるほど、目立つのは環境、構造の違いで、後は目線の違いですね。確かに、自分の視野でやってる人が多いかもしれませんね。

……ということで、ロングインタビューの初っ端から、かなり抽象度高く話題が拡散していますが、やや難解な”問い”をぶつけてみたのは、「矢野りんは全部受け止めたり、受け流したり、もう自由自在なんだぞ!」ということを伝えたかったからです。

矢野 なるほど(笑)。

八反田 デザイナーさんってデザインだけ作っていれば良いんじゃなくて、生活者としての魅力がないとね! と思うから、というのもあります。若さゆえのパッションや想像力もすごく魅力がありますが、それだけじゃないよって。

今後は「クリエイターのフラット化」が進んでいく!?

八反田 さて、ここまでの流れを僕なりにまとめると、

【1】モノづくりは社会とのつながりを生む作業だと思っている
【2】そして、時代はスマートフォンやタブレットなど、よりいっそう社会とのつながり方に自由度や可能性が広がっている

という方向に導く前振りでした。長くてすみません。こういう時代の流れの中で、従来のモノづくりとこれからは、かなりスタイルが変わっていく気がします。

誰もが自作アプリを発表できるAndroid Marketを見ても、モノづくりが「個の思い」に支えられていると理解できる

誰もが自作アプリを発表できるAndroid Marketを見ても、モノづくりが「個の思い」に支えられていると理解できる

矢野 従来型のモノづくりが、「大きい戦略の下で勝ち負けを競うためのもの」だとしたら、これからは「生きることを楽しむためのモノづくり」というもう一つの選択肢ができるようになりますね。それは、モノづくりが特別な人の、特別な職業でなくなるということでもあります。誰でも作りたいと思った時に何かを作れる。それが誰かの生活に影響を与えるって感じです。

そういう世界になってくると、スタイルというか、もうプレーヤーそのものが変わってくるわけですけど、もちろんプロとしての立ち位置も見いだすことはできます。何かね、上からモノを言うのでなく、フラットに、やりたい人がやりたいことを楽しくやれるように、なっていくんだと思いますよ。

……って、とりあえず次回に向けて、また話題を激しく拡散させておきますね!(笑)

八反田 ありがとうございます(笑)。では次回は、「スマホ好きでAndroid女子部の矢野りん」に話題を移していきましょう。

※この連載では、インタビューゲストを募集しております。自薦・他薦は問いません。
https://www.facebook.com/hattandaまでメッセージをいただけたら幸いです。

撮影/柴田 ひろあき(八反田氏カットのみ)

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