(2ページ目)金融ドリームチームを率いる負けず嫌いな仕事マニア- 仕事の達人

外資系コンサルティングファームから外資系証券会社へ、そして30代で起業。金融ハイテクベンチャーのシンプレクス・テクノロジーを急成長させた金子英樹氏の経歴を見ると、まさにエリート街道まっしぐら、といった印象を受ける。しかし、彼のこれまでの歩みを知れば、それが間違いであることに気付くはずだ。最初から恵まれた環境だったわけではない。狙ってキャリアアップしてきたわけでもない。「ただ、負けたくないから」。そんな思いで日々真剣勝負してきた金子氏の仕事観を紹介しよう。

株式会社シンプレクス・テクノロジー 代表取締役社長 金子英樹 氏

転機とは、仕事をやり遂げた後にやって来る

株式会社シンプレクス・テクノロジー 代表取締役社長 金子英樹 氏

シンプレクス・テクノロジーが東証一部に上場した際の集合写真。同社は金融工学とITの両方に精通したプロ集団として高く評価される

ソロモンへの転職で味わった苦い経験

2年間、生保でのプロジェクトに関わった後、シカゴの米国本社に異動。帰国後、マネジャー昇進を目前にした金子氏のもとに降って湧いたのが、転職の話だった。米国時代の上司から、「シリコンバレーのベンチャー企業に一緒に参加しないか」と誘われたのだ。

その誘いに乗り、1990年に金融ハイテクベンチャーのキャッツ・ジャパン東京オフィスの立ち上げに参画。シリコンバレーのサクセスストーリーを目の当たりにして、金子氏は衝撃を受けた。

「僕よりたかだか2歳年上のオーナー社長が、ニューヨークやロンドン、東京に支店網を広げて数年後の上場を目指している。スケールが違う、と思いましたね」

最先端の金融工学を駆使した商品、とりわけデリバティブの世界を知ったこともキャリアに転機をもたらした。1年で東京中の金融機関にシステムを売り込み、「もう見込み客がいなくなったから」とデリバティブ分野のリーディングカンパニーであるソロモン・ブラザーズ・アジア証券への転職を決意。無事に内定を獲得したものの、入社早々、金子氏は挫折感に打ちひしがれることになる。

「金融機関は、投資を行うフロントと事務処理を担当するバックに分かれている。僕はフロントでデリバティブのシステムを作る専門家集団の一員になるつもりでいたのに、気が付いたらバックのシステム部門に配属されていた。デリバティブに必要な数学の知識がないことが原因でした」

だが、そこで腐らないのが金子氏の金子氏たるゆえんである。早速デリバティブ部門に関するリサーチを開始したところ、当時のトレーダー部門のトップは海外のシステム部門から社内MVP(Most Valuable Programmer)の受賞経験者を一本釣りして東京オフィスに招聘。超がつくほどの精鋭たちによる ドリームチーム≠編成していたのだった。

《フロントへ異動するために、まずは俺もMVPを獲る必要がある。そのためには大きなシステムの開発を手がけねば……》

金子氏は、MVP獲得に「3年以内」という期限を設け、バックからの脱出計画を練った。

「上位5%の人」になる仕事の極意

計画の骨子が固まってからの、金子氏の行動は早かった。日本に進出しているインドのIT企業から優秀な人材を集めて仕事を任せ、社内営業で新システムを次々に受注しては管轄領域を広げていった。いつしか東京オフィス全体のシステムの3分の1を傘下に収め、金子氏は遂にMVPを受賞。その実績が買われ、1994年に念願のデリバティブ部門への異動を果たした。しかし、そこで改めてスーパープログラマーたちとの格の違いを見せつけられる。

「彼らはシステムエンジニアとして一流であるだけにとどまらず、ディーリングや金融工学(ファイナンシャルエンジニアリング)にも精通した超一流の人材でした。2つの異なる分野で一流の領域に入ることで、超一流のビジネスマンたり得るという凄さを痛感させられました」この「2つの分野で上位10%」に入るべく、異動後もガムシャラに仕事をこなした金子氏。このときの経験は、現在のビジネスモデルにも非常に影響しているという。

その努力の甲斐あって、後にチーム責任者にまで昇格。アンダーセン時代の仲間を集め、新しいチームを結成した。同時に、ヘッドハンターから誘いの電話が頻繁にかかってくるようになる。ある人から「いまの会社を飛び出して、自分で会社を作ったら」と勧められたのは、そんな折だった。

「それを聞いた1分後に、会社を辞めると決めていましたね」

その2週間後には退職を決行。異例の決断力というほかない。

「人間、体が勝手にガッと動いてしまう瞬間というのがある。そのタイミングが訪れたときにしっかりチャンスをつかむには、仕事で自分なりに達成感を得ていなければならない。重要なのは『目の前の仕事にいかに全力で取り組んできたか』ということなんです」

こうして1997年、シンプレクス・リスクマネジメントを設立。3年後、シンプレクス・テクノロジーと社名を変更して代表取締役社長に就任した。起業後、会社は毎年30〜40%の勢いで急成長を続け、2005年には東証一部上場も果たした。金子氏の成功の秘訣はどこにあるのだろうか。

「仕事というのは、『これをやっても自分のキャリアのプラスにならないのではないか』と考え始めた途端、学べることがすべてストップしてしまう。これは本当にもったいないことです。目の前の仕事でベストを尽くし、実績を上げることが、ビジネスマンとしてのトラックレコードになり、その結果としてキャリアが形成される。若い人には、まずは目の前の仕事を楽しんで、と伝えたいですね」

  1. 1
  2. 2

仕事の達人一覧へ戻る



その他の条件で探す

@typeでは職種や勤務地、仕事探しで譲れないこだわりの条件など、様々な切り口から自分の働き方に合った求人を探すことができます。気になるキーワードやテーマから転職・求人情報をチェックしてください。

転職活動を進める

あなたの転職活動をサポートする、@typeの各種サービスをご案内します。

  • スカウト

    スカウト

    匿名だから安心!あなたに興味を持った企業の採用担当から直接メールが届くサービスです。

  • オファーDM

    オファーDM

    あなたが登録した情報と近い内容の募集条件の企業から、メールが届くサービスです。

  • 検討中リスト

    検討中リスト

    興味を持った求人を保存しておくことができ、気になる求人を一覧にて比較検討できます。