大卒と高卒の年収はどのくらい違うのでしょうか? そして生涯賃金ではどのくらいの差が出るのでしょうか?
日本では大学に行ってから就職した方が、年収が高くなると言われています。その年収が積もり積もった生涯賃金では、大きな差が出ることが調査の結果分かりました。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構は、様々な労働統計を組み合わせた統計指標『ユースフル労働統計2013』を発表しました。この調査の中の『生涯賃金など生涯に関する指数』では、学歴別の生涯年収が調査、発表されています。これは、学校を卒業してすぐに就職し、転職などをせず60歳で退職するまでの平均生涯賃金を推計しています。
2010年の調査では、大学・大学院卒の男性の平均生涯年収は2億5400万円、高専・短大卒は2億400万円、高卒では1億9500万円という結果が出ていました(P.271 表21-1生涯賃金)。
単純に学歴だけでみると大学・大学院卒と高専・短大卒との間には5000万円、大学・大学院卒と高卒の間には約6000万円の差があることが分かりました。
女性の場合も同様に学歴が高い方が生涯賃金は高くなる傾向があり、大学・大学院卒は1億9800万円、高専・短大卒は1億6000万円、高卒は1億2600万円(P.272 表21-1)。大学・大学院卒と高専・短大卒の間には3800万円、大学・大学院卒と高卒の間には7200万円もの差があります。また高専・短大卒と高卒の間の差が3400万円と、男性の場合の900万円に比べかなり大きな開きが見られます。
学歴だけを見ていくと大学・大学院卒の方が稼げそうですが、学歴以外にも生涯賃金を大きく変える要素が存在していました。
企業規模により、大学・大学院卒でも1億円以上の差が!
それは働く会社の企業規模です。実は従業員の数により、生涯賃金に大きな差が出るのです。
例えば男性大学・大学院卒の場合、平均生涯賃金は2億5400万円ですが、従業員1000人以上の企業の場合は2億9400万円に。100~999人は2億3800万円、10~99人は1億9500万円となっていました。同じ大学・大学院卒の間にも、企業規模によって1億円以上の差があったのです。
そして高卒でも1000人以上の場合は2億4100万円と、大学・大学院卒の100~999人、10~99人よりも多い生涯賃金になっていました。
転職で生涯賃金を増やしたいなら、企業規模もチェック!
これらの結果から、生涯賃金は学歴よりも企業規模が大事な要素になっていると考えられます。
これは転職を考える際も頭に入れておいたほうがよいでしょう。例えば今より給与を上げたいと考えるなら、より従業員数が多く、企業規模が大きいところを狙うのがよいでしょう。
学歴も大事ですが、それ以上に従業員数が生涯賃金に与える影響は大きいものになっています。転職先を探す時は求人の給与だけではなく、企業の規模を見極めることが必要かもしれません。