転職経験者3人が明かすアイシン精機の開発環境、ほかとココが違う!
自動車部品のトータルサプライヤーとして、世界中の完成車メーカーから熱い視線を集め続けるアイシン精機。では、キャリア採用されたエンジニアにとっては、同社の開発現場はどのように映るのだろうか。第一車体系技術部で外装部品の設計を手掛ける澁谷幸秀氏、電子系技術部のECU第四グループでシステム開発に勤しむ栗田貴弘氏、駆動系技術部でアクチュエーターの設計に汗を流す中根康博氏に、同社の開発風土を聞いた。

まずは3人が転職した理由から見てみよう。澁谷氏は2度目の転職で2006年にアイシン精機の門を叩いた。

「大学で機械工学を学んだ後、空調関連の会社に就職して設計と施工を担当しました。その後で技術系の派遣会社に転職して、内装や機能部品の設計を手掛けています。そこでアイシンの製品と出合い、興味を持ちましたね」

現場では誰が中途採用かわからない

澁谷氏は、機能部品設計の際にアイシン精機が開発したサンルーフを見て、薄い天井の中に関連部品がきちっと収まり、しかもその精度が高いことに感心したという。やがて自分でも精度の高い製品を設計したいと思い始め、アイシンへの転職を決意し、実行した。

一方の栗田氏は、自動車関連部品からの転職。いわゆる同業種からのスキルアップ組である。

「以前は、他県の自動車部品メーカーでドアミラーの設計を担当しました。電子回路などを駆使した製品開発を7年ほど経験しています」

アイシン精機への転職を決意したのは2005年で、動機は「よりレベルの高い仕事がしたかった」から。また部品メーカーにこだわったのは、「完成車メーカーよりもひとつの技術が突き詰められる」ことが理由だったという。

そして、中根氏の転職は、ちょっとユニークなケースだ。

「大学で電子情報を専攻した後、自動車部品メーカーに就職してモーターサイクルの点火装置のコントローラーを設計しました。出向先では電動パワステの開発なども手掛けています。アイシンへは2006年に転職しました」

転職活動の際は、「最新技術のITSをやりたい」と熱心に訴えたという。しかし、その部門での求人はなし。本来はここで「縁がない」ということになるのだが、中根氏の積極的な姿勢を見て、駆動系のスタッフが声をかけたという。

「もしよければ、アイシンで駆動系の開発をやってみないか、という誘いでした。専門分野を追究して、自分の思い描いたことを実現るというのが僕の技術者としての希望でしたので、駆動系を追究するのもおもしろいと考えて、転職を決意しました」

彼らの共通点は「興味のある分野を深く突きつめたい」という動機から、アイシン精機にたどり着いたことだ。完成車メーカーでは得られない、部品メーカーならではの専門性の追究。しかもそれが最先端の研究・開発・生産施設と世界屈指の技術的なノウハウを持つ企業で行える。アイシン精機には、そうしたコアな技術者を惹きつける魅力があるのだ。

では、実際にアイシン精機の現場はどのような環境なのだろう。中根氏は開口一番、おもしろいエピソードを披露した。

「中途採用者と生え抜きの扱いの差があまりないんです。僕は入っていきなり、“○○はどうなっているんだ”と、開発途中の製品の質問をされましたから(笑)。キャリア入社組に対して、分け隔てがないんですね。その分、わからないことを積極的にスタッフに聞いたり、資料を調べ回ったりしなければいけないという苦労はありますが……」

この意見に栗田氏と澁谷氏も深くうなずく。そして、栗田氏は「中途採用者だけで集まることはまずない。集まるのは開発チームがメイン」、澁谷氏は「現場では中途も生え抜きも、“知らない”ことは許されない。もし未知のことがあれば、すぐに調べる」と付け加えた。現在のアイシン精機のキャリア採用は5人に1人の割合だというが、厳しい現場では採用時期や入社経緯はあまり関係のない事柄であるようだ。

さらに3氏は、アイシン精機に入って「コミュニケーションの重要性」を再認識したという。

「一人で何でもやる現場から、チームで仕事をする環境に変わりました。その分、スタッフ間のコミュニケーションは必須。もちろん、生産技術などの他部署との連絡も重要です」

栗田氏のこの意見に、澁谷氏と中根氏も同調する。そして中根氏は、「開発以外の業務に追われることが多くなりました。でも別の見方をすると、今までとは違う分野の知識を吸収しています」と語る。また澁谷氏は、「現場にはヨコのつながりがある。僕が開発で苦しんでいると、材料系や生産技術などの他部署のスタッフがアドバイスしてくれます。忙しいのに、優しい人が多いですよ」と付け加えた。

プロパー社員と転職者の垣根がない事実は、彼らが手掛けた製品からもうかがえる。澁谷氏は入社していきなり5車型のリヤスポイラ設計を、中根氏は2WDと4WDを切り替える際の重要なパーツとなるアクチュエーターを開発。栗田氏はパワートランクリッドのECUシステムを一手に引き受けたそうだ。

充実した教育システムを活かしたい

最後に、今後の目標について3氏にうかがった。まず澁谷氏は「未知の技術や知識を吸収した上で……」と前置きし、力強くこう語る。

「誰もやらなかった、新しい技術を提案していきたいですね。ほかに、外装部品もいろいろと手掛けたい。今の現場では、それらを実現できる環境があります」

栗田氏は、クルマにおける電子制御の将来性を見据える。

「これからのクルマは電子制御技術の採用が不可欠で、しかもさらなる進化が必要です。その鍵を握るのがECU。アルゴリズムを駆使して、もっといいECUを作っていきたいですね」

中根氏は栗田氏の発言に同調しながら、自身の目標を掲げた。

「エンジンという動力源を生かすも殺すもコントロール機能次第。その意味で、今後のクルマはECUの進化が鍵を握ると思います。僕はECUを使ったシステム的なコトをやりたい。最終的には、ハードとソフトを織り交ぜたオリジナル製品を作りたいですね」

さらに彼らは自身のスキルアップを図るうえで、「社内の教育システムを積極的に活用したい」と語る。アイシン精機では多種多様な教育システムを用意している。社内講師による講座もあり、過去の製品開発過程や不具合発生例の要因メカニズム、またその解決方法や事前に注意すべき点など、社内ノウハウが豊富な講義もあるそうだ。また、開発スタッフのアイデアを試作し、すぐにテストできる施設も揃えているという。

「開発にはお金をかけろ」がアイシン精機の合言葉。厳しくも充実した環境で汗を流す彼らの活躍に今後も期待したい。

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