<時間>どちらの方法の活動期間も「3カ月」を目安にせよ!

「退職後」と「在職中」で最も違うのが、時間の融通が利くことだろう。一見、退職後が有利に思えるが、実はそこに落とし穴がある。ここでは2つの転職スタート方法の「時間」の使い方を考察する。 《2006年11月号より抜粋》

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転職活動において最も理想とされるのが、在職中に活動をはじめて、内定を得たあとに引き継ぎをして、退職日からあまり日を置かずに、次の企業に入社するというスタイル。近年では企業側も、セミナーや面接の日程を平日の夜や土曜日に設定するなどして、在職中の人が活動しやすいような工夫をしているところが多い。

しかし、優秀な人であればあるほど多忙を極め、急な会議や顧客からの呼び出しなど、突発的な物事が起きやすいもの。面接日程のリスケジュールが続くと、不信感を持たれ、優秀であるにも関わらず、企業側から断られるケースもある。このように在職中の活動における最大のデメリットは、時間が自由にならないということだといえるだろう。

また、内定後の最終的なジャッジが冷静に下せない場合もある。「辞めなくても良いのではないか」という心の声に左右されたり、会社側の引き止め工作によって退職しにくい状況になったりなど、様々な理由で、結局転職に踏み出すことができなかったという人もいる。また、Webや雑誌などで多くの情報を集めることができる現在、「ゲーム感覚で転職活動を行い、いざ内定が出たのちに迷いや欲が出てくる“転職難民”が増えているのも事実」と、あるキャリアアドバイザーは語る。

理想は、本格的な転職活動に入る前に情報収集を行い、「なぜ転職をするのか」「転職に何を求めているのか」などを整理しておくこと。このプロセスは、どんなに忙しくても、帰宅後や休日を使って行うことができるはずだ。その上で、自分には転職が必要だ、という決心がついてから、本格的な活動に入るべきだろう。

在職中の場合、応募から面接に至り、結果をもらう3カ月間のワンクールで、2〜3社を回るというのが標準的なパターンとなる。そのため、最初の情報収集段階で、業界などを絞り込んでから臨まなければならない。また、在職中の活動では、仕事との調整がつかずに、面接日程が組めないというトラブルのほか、退職交渉や引き継ぎに思いのほか時間がかかったりする場合もある。こうしたときに心強いのが、紹介会社の存在だ。紹介会社経由で活動を行うと、こうした時間面の“言い訳”を、アドバイザーが肩代わりしてくれる。時間が自由になりにくい職種の人は、紹介会社を活用するのも、上手な転職活動の方法だろう。

在職中の転職活動において、最後の難関が、前職の退職交渉である。外資系企業は本人の意思を尊重するため、比較的退職がしやすい傾向にあるが、日系の大手企業は、非常に手厳しい“引き止め工作”が行われるところもあるという。在職中に転職活動する場合、退職後に活動する人に比べて、入社までに2〜3カ月余分な時間がかかると考えて行動したほうが良いだろう。



  転職活動における時間的な余裕は、当然ながら、退職後のほうが多い。また、時間的余裕がある人のほうが、会社の情報や面接時の感触などについてじっくりと考え、冷静な判断を下すことができる可能性が高い。転職活動にかかる期間は、「企業選び」から「入社」までおおよそ3カ月。もちろん、面接に挑むことができる会社数も増え、応募・書類選考から面接に至り、内定を獲得するまでの3カ月間で、5〜7社程度を受けることができるというメリットがある。

ただし、先に退職してしまうことで受けがちな最大のデメリットは、先方に「精神的に弱いのではないか」、「ストレス耐性がないのではないか」という疑念を抱かれる可能性があるということだ。特に激務とされているSE職の人は、色眼鏡で見られやすい。やはり人事関係者は、在職中の転職活動を是とする傾向にあるため、すでに離職しているというだけでマイナス評価になる可能性もあるということは、覚悟しておいたほうがいい。

とはいうものの、最近は売り手市場であるため、前職の勤務期間が極端に短いものでない限り、離職が即デメリットにつながることは減ってきている。むしろ、「前職のことを丁寧に引き継がないと気が済まない」、「重要なプロジェクトをきちんと終わらせてから活動に入りたい」などという性格の人は、無理に在職中の活動にこだわらず、先に離職してしまうのも手だ。

では、離職後の活動において、特に注意しなければならないこととは何か。それは、離職の理由を明らかにしておくことと、できれば3カ月、遅くとも6カ月以内で決めるということの2点である。

活動以前に辞めてしまった人には、必ず「なぜ辞めたのか」という質問が投げかけられる。離職後の期間に関わらず、その理由は履歴書や職務経歴書にあらかじめ明記しておくべきだ。例えば、「長期間のリフレッシュ旅行」が理由だったとしてもかまわない。性格的な問題を疑われて書類で落とされる前に、こちらから理由を明らかにしておこう。

また、離職後の活動期間は、3カ月目と6カ月目に波が来る。厳しく判断する企業では、退職後3カ月が過ぎていると、何か問題があるのではないかと勘ぐりはじめる。しかし、メーカーや技術職の採用活動は、書類選考から結果が出るまで4カ月以上かかる場合もある。常識の範囲内でいえば、6カ月以内で決めるように心掛けたい。

最近は、新規事業の立ち上げや、ベンチャーの採用案件が増えている。こういったところの採用は、すぐにでも入社できる人を優遇するため、離職者が重宝がられるケースもある。また、2月、3月の求人には、急募の案件がまぎれている場合も多い。

先に退職していても、引け目を感じることなく、堂々と活動できるというのが、今の市況だ。

企業側はあらゆる手段を使うことも。強い意志で退職日を設定することがカギだ


優秀な人材を確保することは、企業が成長するための重要なファクターとなる。ある大手企業では「退職阻止マニュアル」があるという噂だ。事情通によると、「先輩↓ライン課長↓部長クラス」の3段階で手を変え、品を変えて引き止めることがあるようだ。このマニュアルは「待遇面」「環境面」「業務面」などの退職理由別に、複数の回答例がFAQ形式で掲載されている退職を踏み留まらせるための完全マニュアルだという。

退職手続きは強い意思を持って、企業側と折衝することが絶対条件。企業側は退職を阻止するために、異動や昇格・昇給などの甘い言葉を投げかけてくることも少なくない。しかし、それは一時だけのものであり、根本的な解決にならないケースがほとんどと言っても過言ではないだろう。

人材紹介会社などでは、この「退職阻止マニュアル」への対応策が練られている。転職者には、「○月○日に退職させてもらいたいのですが、その回答をいつまでにいただけるのでしょうか?」などと問いかけるなど、具体的な退職日について期限を設けて企業側と詰めていくようにアドバイスしているようだ。

“退職活動”は、転職活動よりもパワーと時間を使うこともあり得る。心が折れそうになったときには、初心貫徹で「なぜ転職しようと思ったのか」を改めて自分に問いかけて、惑わされないようにしなければならないのだ。

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