Vol.392

部下のやる気スイッチはどこにある? “MC型授業”で知られるカリスマ教師が「新人マネジャーの5大苦悩」に回答【vol.1】

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業界問わず、全てのマネジャーが部下のマネジメントに対して、何かしら頭を悩ませているのではないだろうか。「チームに一体感が生まれない」、「部下のモチベーションが上がらない」、「今どきの若手社員は何を考えているのか分からない」etc.。そんなマネジャーたちの悩みに対して一石を投じるのは、「MC型授業」で名を知られるようになり、メディアでも話題の小学校教諭、沼田晶弘先生だ。

アメリカでチームビルディングを学び、現在そのコミュニケーション法を活かしながら生徒たちと触れ合う彼の授業は、まるでTV番組を進行する「MC」と「ひな壇の芸人」たちのようなやり取りだ。

沼田先生が何かを問いかければ、生徒たちが次々と自分の経験や考えを口にし、それを先生が広げていく。全員が前のめりに授業に参加する沼田先生のクラスは、勉強のみならず給食も毎日完食、リレーも一位、さらには「学校新聞コンクール」で受賞したり、テレビ朝日『ナニコレ珍百景』に登録されるなど、学校外のコンテストでも次々と受賞を果たしている。

扱いが難しいと言われる現代っ子たちのやる気を引き出し、数々の実績を残す“チーム”へと育て上げる彼は、まさに「現代版カリスマ教師」。その評判は教育界以外にも広まっており、2016年2月には初の書籍『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎刊)も発刊した。

そんな彼なら、企業で働くマネジャーたちの悩みにも一筋の光を差してくれるのではないだろうか……ということで、一般企業のマネジャーたちからアンケートで集めた生の悩みをぶつけてみた。

“MC型授業”で知られる、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭の沼田晶弘先生

“MC型授業”で知られる、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭の沼田晶弘先生

【Q1】チームでの目標達成がなかなかできません。そもそも何が部下のやる気を出すスイッチになるのかが分からないです……。

この問い自体がマネジャー側の勘違い。やる気って、出させるものじゃないんです。やる気っていうのはもともと人間に標準装備されていて、自然と出てくるものなんですよね。だから本人が「面白い」、「やりたい」と思わなきゃ、やる気なんて湧き出てこない。

例えば、「作文を書きなさい。何を書いてもいいからね」というと、子どもたちは「えー」って言うんですね。当たり前なんです。何を書いてもいいと言われたって、もともと作文なんて書きたくないんだから。

それを解決しようということで私が考えたやり方の一つが、『ドラマティックカップラーメン』。「カップラーメンの説明書を、1、2、3、4という手順の番号をなくして、ドラマティックでロマンティックなラブストーリーに変えてくれる?」と言うと、皆、面白がって書き始めるんです。

これは決して遊んでいるわけではなくて、皆がちゃんとルール通りに箇条書きではなく、一つの物語として書き上げてくるようにしてもらう。だからしっかり勉強になっているんですよ。

少し話が逸れましたが、勉強だけでなく、仕事を前向きにこなしてもらいながら目標を達成するには、ゲーム性を高めることが大事だと思います。そのためには、基本要素として3つのことが必要になります。

それは、【課題】【報酬】【制限】です。

同僚や後輩に「これを達成したら焼き肉に行こう!」などと言うだけで、小さいことだけれど意欲は上がりますよね? 【課題】をクリアしたら【報酬】を提示するというやり方がレベル1。じゃあ、何がこれをさらに楽しくさせるかといったら、次に来るのが【制限】です。

例えば僕らのクラスでは、地域自治体などが主催するコンテストなどにも積極的に参加していて、「賞金が○万円に達したら、皆で帝国ホテルのディナーを食べにいこう」という目標を立てています。このプロジェクトは佳境に差しかかっていて、ゴールも見え始めています。帝国ホテルに届くために、あと3万円、あと1.5万円……とリミットが迫って来るとともに、生徒たちのモチベーションも上がってくるんです。

ここまでが、レベル2のやり方ですね。ただ、今となっては生徒たちのモチベーションの源泉はお金ではなくなっています。実は、目標にしていた金額はもうとっくに超えているんですが、それでもこっそり個人でコンテストに応募して、3万円の賞をゲットしてきた子がいました。それを学校に持ってきて「寄付します」と。

黙っていれば3万円もらえるのに、なぜそんなことをするかというと、【制限】の先に【プライド】が生まれたからなんです。

最初は【課題】【報酬】【制限】をクリアするために頑張るんですが、これらをクリアすると、だんだんプライドが行動の原動力になってくる。「クラスの皆のために、自分も何かを受賞して、貢献するんだ」って。最初は「受賞して嬉しい」、「お金が入って嬉しい」だったのが、次第にお金なんてどうでもよくなるわけです。

組織マネジメントでも、【課題】→【報酬】→【制限】→【自然と生まれるプライド】のサイクルが回り出すと、チームは成果も上がるし良い雰囲気になると思います。

>>【vol.2】「指示待ち部下」「ゆとり世代」にはどう接する? を読む
>>【vol.3】成果を挙げるチーム作りで大切なこと を読む

取材・文・撮影/光谷麻里(編集部)

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