トレンド Vol.451

お金の手続きで損してない? 営業マンが退職する際に注意したい、保険や税金のポイント

「退職することが決まったけど、今の会社に任せっきりになっていた“保険や税金”の手続きってどうすればいいんだろう……」そう不安に思う人は多いだろう。実は、退職時に何も知らずにいると思わぬ損をしてしまうこともあるのだとか。現職を辞める際には、どんなお金の手続きを経て、どんなポイントに注意すべきなのだろう。

7月27日に開催された、『typeメンバーズパーク』が主催するマネーセミナー『ビジネスパーソンが知っておきたいお金の話』では、株式会社Money&You代表取締役でファイナンシャル・プランナーの頼藤太希氏が、若い世代にこそ知ってほしい近年のマネー事情や、転職時に気を付けたいお金のポイントについて解説した。

今回は講演の中で語られた『退職を決めたら確認すべきポイント』と、頼藤氏が『営業type』読者に語ってくれた営業マンならではの注意点を合わせて紹介しよう。知識がないばかりに、お金で損をしてしまわないよう注意したい!

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マネーコンサルタント/(株)Money&You代表取締役 頼藤 太希氏慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保で資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業、現職へ。女性のための一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。著書は「一番わかる 確定拠出年金の基本のき (稼ぐ投資)」(スタンダーズ)、「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)、「マンガでわかる! iDeCoのはじめ方 ライバルはイデ子! ? 」(きんざい)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)

退職時のケースにより「お金の手続き」は異なるため要注意

まず確認すべきは、年金や保険、税金などの変更手続き。次の転職先が決まっている場合と、そうではない場合ではフローが異なるので注意したい。特に、退職時に転職先が決まっていない場合は手続きがより複雑になるため、あわてることのないように事前確認がマストだ。

下記を参考に、自分の場合はどんな書類が必要で、どこで手続きをすればいいのかを事前にしっかり確認しておこう。

【退職時に転職先が決まっている場合に必要な手続き】

《保険・年金》
1.現職の企業から「年金手帳」と「雇用保険被保険者証」を返却してもらい、転職先に提出する。
2.現職の企業に「健康保険証」を被扶養者分も含めて返却する。
3.転職前に加入していた年金制度があれば、転職先の「企業年金」「確定拠出年金」について確認した後に移換手続きを自分で行う。

《税金》
1.現職の企業から「源泉徴収票」を貰い、転職先に提出する。(転職先が年末調整をしてくれるので、確定申告が不要になる)
2.市町村から住民税の明細と納付書が送られてくるため、転職先に提出して給与天引きの手続きを行う。

【退職時に転職先が決まっていない場合に必要な手続き】

《保険・年金》
1.市町村役場または年金事務所へ行き、国民年金の変更手続きをする。
2.ハローワークへ行き、「雇用保険被保険者証」と「離職票」を提出。休職の申し込みをし、基本手当の受給資格を得る。
3.退職後の健康保険は「国民健康保険」または「任意継続被保険者制度」のどちらかを利用するかを決めておく(任意継続被保険者制度を利用する場合は、退職後20日以内に手続きをする必要がある)。

《税金》
1.現職の企業から「源泉徴収票」を貰い、翌年に確定申告をする。在職時の所得税は給与から天引きされているので、清算して税額を確定させる(※退職と同年内に再就職した場合は不要)。
2.住民税に関しては、退職する月によって手続き方法が異なるので、必ず確認して対応する。
1~5月退職:最後の給与や退職金などから残った税金を一括して支払
6~12月退職:一括または分割して自分で納付

保険や税金の手続き関連は、在職中の企業に書類を用意してもらうなどのやり取りが発生するため、何度も関係部署に足を運ぶ必要がないよう事前に調整しておく必要がある。手続きしておけば貰えるはずだった手当や保険料を貰い損じたり、逆に余分に払ってしまうなど、損してしまうこともあるのでしっかり確認しておこう。

最終出社日はできるだけ月初に設定しよう

頼藤 太希氏

退職を決めたら、退職日を設定しなければならない。有給休暇を使い切れるように早くから調整すること、ボーナス支給日まで在籍することなどはすでに意識している人も多いだろうが、それら以外の注意点も確認してみよう。

例えば、退職日と再就職日の間が1日でも空く場合や、月末以外を退職日とした場合は他の社会保険制度に加入しなければならない。その場合、人によっては負担額が増えるケースもあるので注意が必要だ(※人により異なるので、気になる場合は事前に人事部門などに確認してみよう)。

できるだけ有給休暇を上手く使い、「最終出社日(退職日と有給休暇の残り日数から逆算する)」と「退職日」を適切に設定することが大事だという。

さらに営業マンの場合に注意したいポイントを頼藤氏に聞いた。

「営業マンの場合、退職する月であっても『月の売上目標』が課されていることが多いもの。最後だからと全力で取り組める人なら問題ないですが、『どうせ辞めるんだから、無理して達成する必要もないだろう』と思ってしまう人も少なくないでしょう。しかしそれでは、在職中の社員の士気が下がったり、悪い印象を残してしまいかねません。そのため、部署全体の士気が高まり始める月末には有休消化期間に入れるように、月初を最終出社日にすることをオススメします」(頼藤氏)

退職を決めた後は、現職の引継ぎや転職先の準備なども重なり忙しいもの。しかしそんな時だからこそ、お金の手続きや退職日の設定をしっかり確認して、思わぬ損をしないように注意しよう。

取材・文/大室 倫子(編集部)

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