| 創業からたったの8年で、「世界でもっとも優れた検索エンジン」と称されるまでに成長したグーグル。2人のエンジニアが大学の寮で立ち上げたという話はあまりにも有名だが、グローバル企業となった現在でも、作り手を第一に考えた“エンジニア・オリエンテッド”な企業文化を持ち続けている。快進撃を続けるグーグルの内部に潜入してみた。 |
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これがグーグルの掲げる経営理念だ。検索エンジンの企業としてはじまった同社は、独自に作り出した検索技術を用いて、あらゆるサービスを追究してきた。
その検索システムは、ネット上のあらゆるサイトをダウンロードする「クローラー」を送り出し、インターネットそのものを丸ごとデータベースにコピーするところから始まる。次に、コピーされたサイトに登場するすべての単語がインデックス化される。そして実際にある単語が検索されると、グーグルの高度な技術の代名詞ともなっている「PageRank」などのアルゴリズムを用いて単語の関連性をはかり、もっとも関連性の高いサイトから順にリストアップしていく。この検索作業全体が、0.5秒程度で終了するというから驚きだ。
当然ながらグーグルは、短時間で検索要求を処理するために、分散処理技術の開発や検索サーバの開発にも力を注いできた。ゆえに世界最大級のデータセンターを保有し、数万台以上のLinuxサーバを管理・稼動している。
現在グーグルが日本語でサービスを行っているのは、Web、画像、ニュース、地理情報の検索のほか、高速なメッセージ検索機能を持つ「Gメール」や、PC内のファイルを検索する「デスクトップ検索」など。インターネット上に限らず、個人のメールやPC情報にもグーグルの検索技術が役立てられているのだ。
社員の職場は「地球」になる
こうして画期的な技術やサービスを生み続けるグーグルの組織体系は、日本でいうところの一般的な「外資系企業」とは根本的に異なる。多くのグローバル企業の場合、製品やサービスの開発は本社主導で行われ、海外拠点はそのローカライズのみを担当するようなイメージがあるだろう。しかし、グーグルでは担当部門別に世界中の拠点がつながっており、各国の“グーグラー（グーグルで働く人）”が協業してプロジェクトを展開している。
それゆえ、開発にも世界各国のエンジニアが携わる。プロジェクトメンバーは、電話やメールを駆使しながらプロジェクトを進行させていくのだ。
同社PRの斉藤香さんは、「グーグルの組織はとてもオープンソース的。1つひとつのプロジェクトチームはせいぜい3〜10人程度ですが、世界中のグーグラーが知識やアイデアを共有しながら、よりよいサービス作りに励んでいるんです」と話す。
それを象徴する一例として、同社のイントラネットには「Idea at Google」という掲示板が用意されている。社員が自ら考案したサービスのアイデアやプログラムを投稿できる掲示板だ。全世界のグーグラー同士でそのアイデアを精査し、作られたプロトタイプが好評を得れば、今度は「グーグル・ラボ」と呼ばれるWWWサイトにアップされる。機能や利便性について一般ユーザーに意見をもらい、正式版の開発に活かすのだ。
ちなみに、ここから生まれたサービスのなかには、Web画面のリロードなしにズームイン・アウトやスクロールができる画期的な地理情報サービス「グーグル・マップ＆ローカル」などがある。
作り手がもっとも尊敬される社風
さて、検索エンジンの会社であるグーグルでは、こうした新サービスを生み出すエンジニアだけでなく、検索スピードをコンマ１秒縮めることに全精力を注ぐエンジニアやサーバ管理のプロフェッショナルなど、さまざまな職種のエンジニアが活躍している。ただ、社内には「プログラミングができなければエンジニアではない」という哲学が根付いているという。役割が何であれ、アイデアを具現化できる人こそがもっとも尊敬され、尊重されるべきというのが、全世界のグーグラーの共通認識だからだ。
では、この作り手重視の哲学を支える環境とは、いったいどんなものなのか。次ページでそれをのぞいてみよう。 |
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100カ国語以上を超える言語に対応しているグーグルのサービスは、検索エンジンを中心にあらゆる情報を世界中で無料提供。最近は本やビデオなどさまざまなデータのインデックス化にも乗り出し、すでに「グーグル・ビデオ」などのプロトタイプが新サービスの実験場である「グーグル・ラボ」に登場している |
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