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ひと足先に選ぶ次世代のMVE

ドラッカー『プロフェッショナルの条件』やD.A.ノーマン『誰のためのデザイン?』をはじめ、多くの本を耽読。中でも、「ビジネスマンにとっての芸術作品とは会社である」というジェームズ・C・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』の一節には、強く惹かれるものを感じた。石橋の胸中で、起業への思いが高まっていった。

石橋が作りたい会社、それはユーザビリティにとことんまでこだわったWebサービス開発会社だった。

「以前からソフトやWebサイトの使い勝手が気になるタイプでした。Webサイトの使いやすさを追求し、良いデザインを取り入れた会社を作りたいと思ったんです」

設立趣旨に共鳴したデザイナーを採用し、2004年にWebサービスの企画・設計・デザイン・実装を一貫して手掛けるゼロベースを設立。2005年にはAjax開発にも着手した。今年6月にはWeb上で簡単にCMを作成できるリクルートのWebサイト『コマーシャライザー』をリリース。経営視点と感度の高いデザインを融合させたビジネスモデルにより、ゼロベースはWeb業界に独自の地歩を築きつつある。

経営ビジョンは「とにかく生きること」

ビットバレー・ムーブメントのさなかに起業し、今は第一線のベンチャー経営者として活躍する石橋。その成長を支えた一つの要因が、豊富な読書量と不断の勉強にあることは間違いない。

「知れば知るほど、自分が何も知らないことが分かってくる。死ぬまで勉強しないといけない、と思いますね」

では、石橋をここまで駆り立ててきた原動力とは一体何なのか。「自分はパラノイド(偏執狂)、つまり病的な心配性なんです」と石橋は自嘲する。「経営ビジョンは『とにかく生き残ること』。僕のキーワードは『サバイバル』なんです」。ともあれ、極度の心配性は時代を予見する先見性につながるのも確か。石橋は常に「5年後にはWebシステム開発という仕事がなくなる」という最悪のシナリオを想定しながら事業企画を行うという。

「エンジニアのキャリアも、『同業者との競争』と『産業の衰退』という2つの観点から考える必要があります。例えばアプリケーションエンジニアを考えた場合、その職種の中でハイレベルな位置にいれば生き残ることができるかもしれないが、将来アプリケーションエンジニアという仕事のニーズがなくなることもあり得る。そんなときは、仕事のニーズに対する全体のトレンドを見て、場合によっては軸を移すことも必要。例えばアプリケーションエンジニアからアーキテクトに軸足を移す、というように」

5年後に今の仕事で生き残れるかを常に考えながら、キャリアを構築すべき。エンジニアとしてサバイバルするための重要なヒントを、石橋は最後に語ってくれた。


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