松下電器産業株式会社は2008年10月1日よりパナソニック株式会社へ社名変更いたしました。

トレンド発信メーカーへの転職は仕事の醍醐味をこうかえる!

ここまでトレンド発信メーカーに転職するメリットを述べてきたが、具体的に仕事のやりがいはどう変わるのか。実際にトレンド発信メーカーへの転職に成功した技術者に聞いてみた。



河原崎 秀司氏
Hideji Kawarazaki

松下電器産業株式会社
パナソニックAVCネットワークス社
映像・ディスプレイデバイス事業グループ
主任技師

大学院エネルギー科学研究科修了。1998年4月、電機メーカーに入社。プラズマディスプレイパネル(PDP)に関する各要素技術の開発を担当したのち、パネル全体の設計に携わる。2004年7月、松下電器産業に転職。パネル内のガス純度に関する技術開発を2年間担当し、現在は2次電子放出膜の開発に携わる
「プラズマ市場でトップになる。そう公言しているところで働きたかった」

そう話す河原崎秀司氏が転職を考え始めたのは2004年のこと。より自分の仕事のインパクトを感じたい、と強く思うようになったことがキッカケだった。

「会社選びの基準は会社がどれだけプラズマディスプレイパネル(以下PDP)事業に力を入れているかでした。事業が縮小していくなかでの開発がエンジニアにとってどれだけつらいかは身をもって感じていましたから。その意味では、迷わず松下電器への入社を決められましたね」

PDP市場でトップの世界シェアを持つ松下電器産業(以下松下電器)。転職後、河原崎氏がまず感じたのは開発チームの士気の高さだった。

「難しい研究テーマでも、何とかするのは自分たちだというムードがありましたね。松下電器には膨大な研究成果があり、経験豊富なエンジニアたちもいる。最初は自分の実力で通用するかなという不安にも駆られました」

河原崎氏に与えられたテーマは、パネル内のガス純度を上げるというPDPにおけるキーテクノロジーの開発。入社当初こそ雰囲気に飲まれかけたが、仕事を進めるうちに思いのほか前職の経験が活きることがわかってきた。

「同じ製品を開発していても、組織が違えば研究開発に関する考え方もノウハウも違う。松下電器が持つ研究成果やノウハウに、自分が前職で培ったエンジニアリングの視点を組み合わせることで、技術的課題を解決できるようになっていったのです」

ほどなくして河原崎氏の所属するチームは、特別な設備や材料を必要とせずにコストダウンを可能にする新技術を開発。この成果が評価されて、現在、河原崎氏はPDPのコア技術である2次電子放出膜に関する研究開発に携わっている。

「2次電子放出膜がPDPの性能を大きく左右します。ただ、PDPの開発にはアナログ的な要素が多く、たとえばプラズマの放電現象の全容をつかむことは不可能に近い。さまざまな検査、測定からプラズマの状態を推定し、そこから理論的な裏付けをする必要があります。そのバックグラウンドとなる理論をどこまで詰められるかが実用化に向けて重要になりますね」

前職では会社の経営戦略で自社生産がなく、「やや学術的な研究開発で成果が見えにくかった」という。一方、松下電器では比べ物にならないほど仕事に“張り”がある。

「自分の開発成果はいずれ数100万台というプラズマテレビとなって市場に出回ることになる。絶対に市場不良を出せないという責任を感じる反面、うまくいったときの喜びは本当に大きい。今後は、いま取り組んでいるプロセスや材料の研究をさらに深めて、いずれはPDPをトータルで設計していきたいですね」

どうせやるならナンバーワンを目指したい。そんな環境を松下電器で見つけた河原崎氏。いずれ世界に出荷されるパネルと、今日も格闘し続けている。

Q. 開発チームに求められることは何でしょうか?
市場では熾烈な開発競争が繰り広げられているので、まずスピーディであることが求められています。ただ、プラズマ開発はアナログ的な部分も多々あり、検証には慎重を要するもの。ある意味、とても過酷な状況ですが、そんななかでも成果を出そうとエンジニアたちは志気を高めています。
Q. 開発チームの志気が高いのは、なぜですか?
世界シェアトップですから、開発エンジニアは業界のトップランナーというプライドを持っています。性能とコストの両面で改善の余地はまだまだあると思っていますし、業界をリードしていくという目標もあります。一方、不良品は絶対に出せない。だから、皆が必死ですし当然志気も高くなります。
Q. 開発チームの強みは、どこにあるのでしょうか?
松下電器がこれまで蓄積してきた研究成果やノウハウ、ベテランエンジニアの経験が強みになっていると思います。いずれもそのボリュームは想像以上でした。また、私のような外部からの人間をうまく取り入れて成果に結びつけるという柔軟な面もあり、それが新技術開発に役立っていると思います。




佐藤浩平氏
Kohei Sato

アルパイン技研株式会社 ソフト設計部 市販ソフト設計グループ
大学卒業後、2001年4月にレコード会社に入社。エンジニアとしてDVDオーサリングを手がける。3年間勤めたのちに退職し、フリーランスの立場で業務委託を経験。「音に関する技術を磨ける」「腰を据えて開発に没頭できる」ことを条件に企業選びを開始。「エンジニアtype」適職フェアでアルパイン技研の業務内容を知り、05年11月に入社した
2005年10月にアルパイン技研に入社した佐藤浩平氏。実は、新卒でレコード会社に入社しDVDのオーサリングを手がけるなど、モノづくりエンジニアとしては少々異色のキャリアを持つ。その後はフリーエンジニアも経験。そんな佐藤氏は自身の転職活動をこう振り返る。

「フリーだと、技術以外の余計な仕事がどうしても増えてしまう。だから、好きな『音』の分野で技術を突き詰められる環境を探していました。いくつかの企業を探すなか、独自の音響技術を持つアルパイン技研の存在を知ったんです」

アルパイン技研はクオリティの高い音響技術で根強いファンを持つ、モービルメディア専業メーカー。多くのメーカーがしのぎを削るAVN(Audio Visual Navigation一体の車載システム)においても、その音に対するこだわりで独自の存在感を誇っている。音響や映像の技術を磨きたいと考えていた佐藤氏にとっては、まさにうってつけの開発現場だった。

入社後に配属されたのは構想設計チーム。商品企画が立案した多彩な機能を、技術面を考慮しながら製品仕様へと反映させていく重要なセクションだ。

「AVNはコア技術の集合体ともいえる製品で毎日が勉強です。音響や映像に関する技術面を担当していますが、当社のエンジニアはこだわりが強いと感じますね。回路設計の段階から検証を繰り返し、ノイズを減らしていくような地道で堅実な開発を根気強く行なっています」

アルパインのAVNは、いち早く『iPod』とのリンクを実現するなど、エンターテインメント性でもユーザーから高い支持を獲得している。佐藤氏が目指すのも世界初、業界初の製品作りだ。

「今後、ハイビジョンへの対応などさらなる高機能化や多機能化が期待されているのがAVN。自分の手でユーザーをアッと言わせる製品を作ってみたいですね」

Q. アルパイン技研ならではの開発現場の姿勢は何ですか?
一人ひとりの目的意識が高く、全員で課題をクリアしようとするところですね。些細なことでも問題は閉ざされたままにせず、「水平展開」という形で全員が情報を共有し、解決策を模索していく。いざというときにはエンジニアが部署や業務範囲を超えて集まり、各自がやるべきことに徹するという文化があります。
Q. どんな環境が評価の高い製品を実現するのでしょう?
アルパインは、今後も成長が続くAVN分野で勝負していくという姿勢を明確に打ち出しています。開発現場にいても、新メディアへの挑戦や他社にない機能を盛り込んでいこうという積極的な意欲を感じます。全体が前向きに仕事に取り組めるムードが、良い製品作りにつながっているのではないでしょうか。
Q. エンジニアに見られる意欲やモチベーションの高さを示すエピソードは?
開発が佳境を迎えると、みんなの口から出てくるのが「やりきり」という言葉です(笑)。開発が正念場を迎えても、とにかく粘り強く、目の前の課題には最後までしっかり取り組んでいこうという強い意志が込められています。メールの文面や資料にも入ってくるのですが、それを見るたびに気合いが入りますね。




関川清隆氏
Kiyotaka Sekikawa

サンケン電気株式会社
生産本部CCFL事業部
大学卒業後、電子機器向けの部材メーカーに就職。携帯電話や自動車に搭載されるゴムやシリコン素材を使った部品の生産設備開発に従事した。設計から量産立ち上げまで、生産技術者として幅広く経験を積んだのち、2005年10月に勤務先の工場移転を機に転職活動を開始。『自分の手で生産設備の開発を手がけられるメーカー』を希望し、サンケン電気に転職した
ヒット製品を生み出すことだけが、仕事のやりがいに直結するとは限らない。開発過程で「自分がそれを生み出した」という実感がなければ、技術者としての満足感は得られない。2005年10月にサンケン電気に転職し、装置技術のエンジニアとして活躍中の関川清隆氏がこだわったのもその点だった。

「生産設備の仕様をまとめ、あとは設備業者に任せる仕事では、充分な満足は得られない。自分で設計して自ら作り上げた設備が工場に収まり、そこから新しい製品が生まれる。その流れを作り出せることが自分の求めていた仕事だと改めて実感しています」

関川氏の入社と時期を同じくして、サンケン電気では、生産設備の内製化を強化する方針を決めていた。関川氏の要望と同社の方針がピッタリと重なった。

現在、関川氏が生産設備を手がける冷陰極蛍光放電管(以下CCFL)とは、ノートパソコンや薄型テレビの液晶パネルに不可欠なバックライトに使われる光源である。サンケン電気は、このCCFL市場で業界トップクラスのシェアを誇る。

関川氏に求められるのはその製造コストを下げ、高品質な製品を短時間で生産できる設備を作ることだ。今年の年末には、入社以来携わってきた設備が稼働を始める予定である。

「頻繁に工場へ足を運び、CCFLの製造装置に求められるノウハウを吸収してきました。詳しくは言えませんが、前職で培ったメカの知識とCCFL独自の製造ノウハウを合わせた新しい試みにも挑戦しています。自分が手がけた設備から生まれたCCFLが世界中のテレビやパソコンに搭載されるという期待もあります」 

自らの手で製品を生み出しているという実感に加え、間もなく携わった製品が世界中で使われるというやりがいも関川氏の仕事に加わりそうだ。

Q. どんなときにトップシェアの製品を作っていることを実感しますか?
現在、生産ラインは24時間フル稼働中です。次世代の生産設備構想を練るために現状の設備を参考にしようとしても機械は止められない。前職までの経験と他のメンバーからのアドバイスをもとに頭の中でイメージする必要があります。この忙しさはトップシェアを持つメーカーならではのものかもしれませんね。
Q. 自分の仕事が期待されている実感はありますか?
当社は、製造装置の内製化率アップを打ち出していますので、それを実現する装置技術部門にかかるプレッシャーも感じています。しかしながら大きな期待がかかる中で、自分の設計した装置が実際の工場で稼働し、新しい製品を生み出すまでを見届けられる。それは、この上ない大きなやりがいだと思います。
Q. 開発現場のムードを教えてください。
入社したその日から、一緒の仲間といった気軽な雰囲気があり、多彩な経験を持つ技術者が集まっています。現在、CCFLの生産数量は月産2700万本以上ですが、さらなる増産に向けてはいまが踏ん張りどころ。自分たちが内製化成功のカギを握っているという期待感と緊張感の中でメンバーが一丸となっています。


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