Vol.434

若手のエースからクビ寸前の崖っぷちへ。起死回生を図った営業マンが気付いた成功の法則

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大手かベンチャー企業か。クライアントは個人なのか、法人向けか。扱う商材はどんなものか。売る環境や商品が違えば、その営業スタイルや性質に異なる部分は多い。しかし、根本的な「営業」という仕事に変わりはない。きっと双方に共通するノウハウがあるはずだ。

そこで、大手証券会社の個人向け営業でトップクラスの結果を出し、その後、転職したSansan株式会社で法人営業の分野でも結果を残してきた沢邉崇氏に、どんな営業にも通じる「営業の成功法則」を聞いた。

Sansan株式会社 Sansan事業部営業部
パートナーセールスグループ マネジャー 沢邉 崇氏

大学卒業後、2006年に大手証券会社に入社。銀行への出向などを経験して個人向け営業に従事。約5年間在籍した後、2011年3月、Sansan入社。以後、ソリューション営業で延べ約1,800社の新規開拓を手掛け、歴代1位の受注件数を獲得するなどの実績を築く。現在、パートナーセールスグループのマネジャーとして、パートナー企業の教育や売上促進を担当している

新卒入社した大手金融機関では若手のエース。
順風満帆なキャリアを捨てて、ベンチャーへの転職を決断

現在、Sansanのソリューション営業を牽引する沢邉崇氏。彼が社会人としてのキャリアをスタートしたのは約11年ほど前。日本を代表する大手金融グループの証券会社へ新卒入社した2006年4月のことだ。

入社後に配属されたのはリテール営業部門。ここで約2年間、企業の経営者や医師など富裕層へ向けた“ドブ板営業”に徹してキャリアの基盤を築いた。

「入社後は、景気が良い時期ではなかったので苦労しましたよ。当時の僕は、文字通りの泥くさい営業スタイルが武器でした。お客さまのもとへ何度も足を運ぶのはもちろん、忙しい方なら出勤時を狙って『少しだけでもお話しさせてください』と直撃することもありました。とにかく一人一人に何度も会って粘り強く“直当たり”を繰り返したんです」

この営業手法で、約2年間で130件超の口座開設数を実現。百数十人の同期でトップの実績を残した。その後、証券会社では“花形”と言われるトレーディング部門への異動を経験するなど、順風満帆なキャリアを築く。

しかし、入社6年目に突入するとき「自分がやりがいを感じる仕事ができていない気がして、転職を決意しました」(沢邉氏)。大手企業の若手エースが次の舞台に選んだのは、当時社員数が30人程度のベンチャー企業・Sansan。今までの自分の力を試す意味も込め、まだ市場すらなかったクラウド名刺管理のサービスを広く普及させるチャンスを感じて新たなチャレンジに踏み切った。

“天狗なトップ営業マン”から一転、「クビ寸前」の崖っぷちへ

大手金融機関での資産運用や土地活用のリテール営業から、創業4年目のITベンチャーでの法人向けソリューション営業へ。職種こそ同じ営業だが、業種も商材もまったく異なる環境と立場への転職。だが、沢邉氏には絶対の自信があった。自分なりの営業スタイルで着実な実績を上げてきたという“成功体験”があったからだ。

ところがこの絶対の確信や自身への期待はすぐに打ち砕かれる。転職から約半年間、成約率は良くて10%という屈辱と苦悩の日々が続いたからだ。

「当時、自分を含めて営業部門は5人くらいの規模だったんですが、私だけとにかく売れない(笑)。『こんなはずでは……』と悩んで苦しんだんですが、あせればあせるほど何がダメでどうすればいいのかがますますわからなくなっていましたね」

やがて自身を含めて担当者が2人というテレアポの部署へ異動。だが、状況は変わらない。すでに家庭を持ち、子どももいた彼は当時、いつクビを言いわたされるかという恐怖と不安の中で日々を過ごしていたという。そんな心境は当然、仕事中の態度や言動にもはっきり表れていた。

Sansan

そんな彼に経営トップが課したミッションが、「1カ月間で3,000件のテレアポ&営業」だった。

「1カ月3,000件だと、1日に150件以上です。もう何かを考える余裕もなく1日中、受話器を握っては電話をかけまくる1カ月を経験しました」

壮絶な1カ月を経験して彼が感じたのは……「やっぱり売れないという確信(笑)」。だが、この経験が突破口を開くきっかけになったと振り返る。

「あの経験を通して気づいたのは、自分がかつて実績を残してきたのは、知名度の高い大企業で恵まれていた環境だったということ。でもSansanでは、私たちの会社のことはもちろん、商品がどんなものなのかも知られていないケースがほとんどです。だからこそ、商品を丁寧に説明し、1社1社異なる課題を踏まえた上で、しっかりと提案へと結び付けていかなければなりません」

徹底したヒアリングを通して、導入企業にとって最大のメリットは何かを理解し納得してもらわなければこの商材は売れない。そのことが、理屈や理論ではなく経験を通して体でわかり始めたのだ。

“圧倒的な営業の量”を経験して気付いた成功法則

「その頃は、頭で考える前にまずやってみる。とにかく受話器を取る手を止めないようにと、ひたすらテレアポをしていました。そうすると、『これは誰が営業したとても、売れないんじゃないか』と思えてくるんですよね(笑)。でもその時に気持ちが腐ってしまうか、食いしばって電話を掛け続けるかって、今振り返れば『売れる営業』の分かれ道だと思うんです。世の中の景気が良ければ良いのにとか、商品が魅力的なら売れるのにっていうのは、営業マンにとって言い訳でしかありません。良いときは良いし悪いときは悪い。そんな時でも前向きに仕事に取り組めるよう、発想を変えることが大事だと思います」

そう話すように、腐らずに実直に努力を重ねた結果、沢邉氏の営業努力が少しずつ実を結び始める。翌年には周囲も目を見張るような“快進撃”が始まったという。

成約率は10%から20%へとアップ。沢邉氏の実績が急激に高まっていくのと歩調を合わせるように同社の業績も右肩上がりで急成長を続けた。沢邉氏の入社当時、300社程度だった導入企業数は、現在6,000社以上となり、従業員数は300人超の規模になった。営業部門だけでも約50人が在籍しているが、沢邉氏の受注記録は未だに破られていない。

営業で成果を出したいなら「スタンスを合わせて」「質問する」こと

沢邉氏は現在、パートナー企業への教育・研修を手掛ける部署でマネジャーとして活躍している。そんな彼を支えているのは、前職で培ってきた独自の泥臭い営業スタイルと、屈辱と苦悩を経てつかみ取った経験だ。

彼がメンバーやパートナーの営業成果を上げるために、具体的にアドバイスしているのは「営業先とスタンスを合わせること」そして「営業先の現状と課題を自然に引き出す質問をすること」。

「私自身がなかなか売上げが上がらなかった時にまったく気づいてなかったのが『営業先とスタンスを合わせること』でした。営業先は、単に情報収集したいだけの場合もあるし、導入後の費用対効果について具体的な話を聞きたいケースまでそれぞれ違います。そのスタンスの違いに応じて、こちらも言葉や態度を変えなくてはいけないんですね」

そしてもう1点の「現状と課題を自然に引き出す質問力」については、営業先とスタンスを合わせることができれば距離が近くなって、やがて先方のほうから現状や課題について話し始めるような自然な雰囲気が生まれてくると彼は言う。

「経験を積んでいく過程で気付いたんですが、営業って“売れる型”みたいなものがあるんですよ。それは『これを言えば買ってもらえる』というものではなくて、『これを言えば、お客さまが考えていることを話してもらえる』というもの。そうしていかにお客さまのことを話してもらえるか、ということが営業の成功を決める秘訣だと思います。その質問型をスポーツのように繰り返し練習して、自分の営業スタイルにしていけば必ず売れるようになるんです。僕の場合は自分の経験を通して徐々に体で覚えていきましたが、その質問事項を若いメンバーが真似して実践しても、成果を上げることができていますよ」

Sansan

こうして、環境の異なる2社でトップ営業マンの地位を確立してきた沢邉氏。彼が考える、営業マンが成果が上げるために必要なマインドとは何なのだろうか。

「経験を積むことや、売れる型を知ることはもちろん大事ですが、営業マンに一番大切なのは『思考』だと思っています。そのためには、“言葉に惑わされないこと”を気をつけると良いですね。例えば、『モチベーションが上がりません』っていう人がいますけど、そんな言葉は言い訳にしか過ぎないわけです。だって、20年前にモチベーションなんて言葉はなくて、皆目の前の仕事にガムシャラに取り組めていたわけじゃないですか。そうやって言葉にして逃げ道を作ってしまうから、自分の考えが凝り固まってしまうのだと思います。人間の行動って、自分の思考からしか生まれないんですよ。だから、売れない時に言葉で言い訳を作ってしまわずに、発想を変えて自分の思考をポジティブに持っていくことが大事だと思います」

金融機関からITベンチャーへ、業種も商材もまったく異なる環境と立場へ、そして個人向け営業から法人向け営業へと微妙に職種は変わってきた。しかし一貫して、実直に仕事に取り組み、経験する一つ一つを自分の成長の糧へと活かしていく。その姿勢こそが、着実に実績を残す確かな営業ノウハウを生み出していくのだろう。

取材・文/浦野孝嗣・大室倫子 撮影/大室倫子(編集部)

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