「List1. 大手・有名企業で働く」 時代を生き抜く女のチカラ! 30歳までにしたい10のシゴト
30代はまだベテランじゃない。
この道を究めるためにまだまだ精進していきます
柿成裕子さん(29歳)
アパレルメーカーのプレス担当
人材派遣営業
有名アパレルブランドの宣伝販促室でプレス担当として働く柿成裕子さん。ファッション業界のプレス担当という女性なら一度は憧れる職業を手にした彼女に、大手企業の有名ブランドを扱う仕事で得られるものを聞いた。
学生時代からの計画で20代のうちに夢を叶えられた
ブランドのイメージアップを図り、売上げにつなげるPRという仕事。ファッション雑誌などの媒体社に対する商品サンプルのリース業務や広告打ち出しの企画、ファッション雑誌のタイアップ記事をつくるなどその業務は幅広い。
「もともと大学生の頃からPRの仕事に憧れていました。でもPRは経験を問われる職種と言われており、この職種にいきなり就くのが難しいことは有名でしたので、一度社会に出てから学費を貯め、「エファップ・ジャポン」という広報・PRの養成学校に通うことにしました」
学費を貯めるために選んだ就職先は人材派遣会社。営業職としてハードに働き、わずか1年で目標の金額を貯めた。その後エファップ・ジャポンに入学。同校のインターン制度を利用し現在の会社で1年間の就業期間を経て卒業後、2008年に正式入社。柿成さんは20代後半にして学生時代からの夢を叶えたのだった。
大手企業の有名ブランドだからできること
日々の仕事の中で楽しいことはやはり雑誌の撮影なのだとか。
「撮影現場そのものも楽しいですが、そのタイアップ記事が掲載されて売上げにつながること、さらにはブランドのイメージアップにつながるという結果が嬉しいですね。その過程で、自分が小さい頃から憧れていたスタイリストさんやモデルさんと仕事ができるのは有名ブランドならではの経験だと思います」
柿成さんが考える、「有名ブランドだからこそできること」、それは一流の人物と仕事ができること、手掛ける仕事の規模が大きいこと、そして予算が潤沢にあることだという。まだあまり知られていない商品や中小企業ではPR予算がとれないことがざらにある中で、有名ブランドではPRの予算をいかに使っていくかの戦略をたてられる「恵まれた状態」を経験できるのだ。
「もちろん大手ならではのデメリットもあると感じています。プレス担当としてもっとクリエイティブな考えで進めたい、やりたいことがある、というときにも、大きいブランドになればなるほどそのブランドイメージを崩すのが難しい。自由の裁量度が低くて、はがゆい思いをすることもありますね」
また、働く女性という側面から見ると、大手企業で働くメリットは「福利厚生」だそう。育児休業制度や残業の規定、働く上での基礎がしっかりあるのが大手企業で働く一番のメリットと柿成さんは語る。同じ職場には時短勤務で働く先輩女性も多いのだとか。早いうちに生活の地盤を築きたいという目的があれば、20代で大手企業で働くのが良いかもしれない。
PR業界は経験値がものを言う。30代はまだまだ“若手”扱い!?
「ファッション業界のPRの世界は、これまで紙媒体がメインでしたが、これからはWEB媒体なども使えなきゃいけない。30歳という区切りの年齢を目前にして今の自分には何ができるのか、考えてみるとできないこともいっぱいある。この業界でいうと、30代なんてまだまだ勉強していける年代だと思いますね。転職前の人材業界にいたらきっと今頃チーフ以上にはなっていたと思います(笑)」
将来のキャリアプランは?という問いに対し、少し考えてから「伝えるプロになりたい」と語ってくれた柿成さんの笑顔には強い意志が垣間見えた。
「アパレルのPRを始めてから、『スキルを磨いていけばいろんなジャンルのPRに挑戦できそうだな』と思い始めました。この仕事は、“幅広いことが経験できる専門職”だと思います。既存ブランドのイメージを上げていくPRもあれば、世に知られていないものを広めるPRもある。対象もアパレルだけでなく地域とか国とか何でもあります。今の目標は、担当ブランドを多くの方に好きになってもらうことですが、将来的にはファッション分野にとらわれることなく、それぞれの魅力や特徴を人に伝えて喜んでもらえる仕事ができる人になりたいです」
ファッション業界に携わる身として感性を磨きつつ、人の意見を取り入れられる柔軟性を持って仕事に取り組む。そんな彼女の働き方は30代を迎える女性ビジネスマンの理想の姿かもしれない。