松下電器産業株式会社は2008年10月1日よりパナソニック株式会社へ社名変更いたしました。


完成車メーカー・サプライヤー編

自動車業界への転職を考える技術者には、「完成車メーカー」「車両開発会社」「サプライヤー」「技術者派遣」など、
いくつかの選択肢が用意されている。
しかし、その業態の違いで働き方ややりがいがどう変わるのかは意外に知られていない。
その業態による違いを把握し、より自分にマッチした仕事を見つけよう。

自動車の電子制御化により業界地図に新しいバランスが誕生

 V字回復を遂げた自動車業界は、いまもっとも活況を呈している業界だ。市場が巨大で、供給が比較的安定している上に、ITS(高度道路交通システム)などの新しい概念の導入が官民双方で行われている。こうした背景のもと、電機メーカーや半導体メーカー、材料メーカーの新規参入も多い。

そんな自動車業界のトレンドとして、“環境”と“安全”というキーワードを挙げているのが、富士キメラ総研の加藤良幸氏だ。
「資源エネルギー庁の試算によると、2030年には、ハイブリッドカー市場は1500万台規模に成長すると見られています。また燃料電池車の研究開発も進んでおり、新しい材料による軽量化や、リサイクルできる部品の開発も注目を集めています。一方、安全に関しては、レーダーやCCDカメラ、ナイトビジョンなどを搭載した衝突回避システムの開発が急がれています」


販売金額予想額は製品・部品の市場規模にあたる指標だ。
成長率が高く市場規模がまだ小さい製品は、2005年以降の伸びが期待される
  これらの“環境”と“安全”対策には、自動車の電子化が不可欠である。実際に、エンジンや変速機、動力伝達装置などの機械的な機構をエレクトロニクスに置き換える「バイ・ワイヤー化」が加速している。こうした動きは、完成車メーカーの内製率を下げることにもつながっている。

「いままでは全部品の開発に関わっていたメーカーも、コスト負担が大きいという理由で、サプライヤーに開発を委ねるケースが多くなってきました。特に米国のメーカーは世界最適調達を公言しており、サプライヤーの存在感が増しています」

内製品と外注品、共同開発品のバランスが変化していくなか、実力次第では、サプライヤーも世界を相手に戦いを挑む時代になったといえる。

志向を自覚し適性を見極める

 では、自動車業界の求人ニーズは、どのような傾向にあるのだろうか。「ここ数年変わらず、安定して高い採用意欲を見せている」と語るのは、キャリアデザインセンターの山田理人氏だ。

「求人増の要因は、リストラが一巡して新車投入が活発になっていること、自動車のIT化が進んでいることの2点だと考えられます。特にニーズが高いのは、CAEツールを使いこなせる解析エンジニア。経費節減と開発期間の短縮を目的にしたデジタルエンジニアリングが進んでいることが背景にあります。もちろん、ECUシステム開発や回路設計など、エレクトロニクス系のエンジニアの動きも大きいですね」

また、電機メーカーにおけるカーエレクトロニクス系のエンジニアの採用も多い。たとえば松下電器産業は、GMの純正ナビを一括受注した関係で、大量採用を行っている。

では、転職を考えているエンジニアは、完成車メーカーとサプライヤー、どちらを志すべきなのだろうか。

「活発に採用を行っているのは、どちらも同じ。ただし、車に対するスタンスはまったく異なります。完成車メーカーは仕様書作成などの開発プロセスをマネジメントするのに対し、サプライヤーはコンセプトに基づいて作り込むことが求められます。“システム志向”であれば完成車メーカー、“コンポーネント志向”であればサプライヤーと考えると良いでしょう」

しかし、同じ完成車メーカーとはいえ、発表車種の数の違いや業務の分け方の違いで、エンジニアの仕事の進め方は著しく異なる。たとえば、分業化が進んだ大手企業の場合、かえってサプライヤーのほうが車の全体像をつかみやすいということも起こり得る。完成車メーカーを目指す場合は内製率や業務体系を、サプライヤーの場合はどのメーカーとの取引が多いのかなどをよく見極め、自分の志向に合っているかどうかを判断すべきだ。

活況が続く自動車業界であるが、採用も一巡を迎え、04年の年末がピークになるという見方もある。「モノづくりの何に携わりたいのか」を自覚し、適性に合った企業を選択してほしい。


アウトソーシング編

アウトソーシング市場活発化で変わるエンジニアのキャリア地図

 3月1日の改正労働者派遣法の施行により、ついに製造業の人材派遣サービスが解禁された。従来、製造業の現場では「請負」の形でアウトソーシングの導入が進んだ。だが、この方法では、アウトソーシング企業の社員は常駐先のメーカーから直接指示を受けることができない。このためメーカー側は、組み立てや検査など、比較的単純な作業に限って請負業者に委託しているのが実情だった。

こうした流れのなかで、派遣する人材を正社員として雇用する「特定派遣」のシステムを採用する技術系アウトソーシング企業も増えつつある。メーカー側にとっても、「特定派遣」であれば、直接派遣社員に指示することができるうえ、契約期間の制限がないため、長期的なプロジェクトを任せられるメリットがある。したがって、今後はメーカー側がより高度な作業を派遣社員に担当させる動きが進むと予想される。

また、ITアウトソーシング市場においても、現在IT全体が伸び悩むなか、着実に成長している。企業のコスト削減努力が続く厳しい経済環境のなかで、ITアウトソーシングが企業にITコスト削減の1つの重要な切り札として重視されている表れだろう。

技術力を身につけられる

こうした動きを受けて、エンジニアのキャリア地図も大きく塗り替えられようとしている。特定の企業に就職してスキルを積むだけでなく、限られた時間で働くアウトソーシングのメリットを生かしつつ、スキルアップを図る可能性が開かれたためだ。

キャリアデザインセンター人材紹介事業部の山田理人氏はこう語る。

「アウトソーシング業界で働く最大のメリットは、技術力が身につくことです。今やメーカーとアウトソーサーは切っても切れない関係になりつつあります。製品の高機能化にともなう技術の専門化・分業化で、現場で作業するエンジニアも数百人単位に膨れ上がり、メーカーの製造現場はもちろん、ITの現場でもアウトソーサーの存在なしには成り立たなくなっている。特定領域で専門的なスキルを高めるなら、アウトソーシング業界は有効な選択肢といえます」

最近はメーカーにおける商品企画などの上流部分を希望したり、あるいは、IT業界においてプロジェクトマネジャーやコンサルタント志向の強いエンジニアが増えている一方で、特定分野での高い技術力を武器にキャリアアップを望むエンジニアも少なくない。アウトソーシングで活躍できるのは、こうした技術志向のプロフェッショナル予備軍、と山田氏は指摘する。

「モノ作りが好きで、“匠の技”を追求したいエンジニアには格好の場といえるでしょうね」

面接で企業を見極める

だが、依然として不安要素もないわけではない。企業の外注ニーズは景気に左右されやすいため、請負先のメーカーの業績が落ち込めば契約を切られる不安が常について回る。その上、アウトソーシング企業においても、思うようにスキルが積めないリスクは常に存在する。

「アウトソーシング企業の質は、ある程度なら面接のときに見極めることができます。会社選びで失敗しないためには、福利厚生やプロジェクトの派遣期間、離職率や仕事の進め方、個人評価のシステムがどうなっているか…。こうした項目を慎重にチェックし、自分にとって仕事しやすい環境かどうかを確認することが大切です」

アウトソーシング業界では競争激化に対応すべく、社員に対する技能研修を強化する動きも出始めた。専門性を高めたいと考えるエンジニアにとって、1つの魅力的な選択肢になりつつあるといえそうだ。 





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