「完成車メーカーを希望するエンジニアは、基本的にクルマが大好きな人が多いと感じています」というのは、技術者に特化した人材紹介を行うメイテックネクストの河辺真典氏。クルマ好きが完成車メーカーに行く理由をこう語る。
「完成車メーカーの業務はサプライヤーとの調整を行う仕事が主になってきます。一方で調整を繰り返し、担当した車種を作り上げるという達成感が完成車メーカーでの大きな魅力です。それゆえ根本的にクルマ好きでないと調整仕事を続けられないことが背景にあるでしょう」 しかし、完成車メーカーが行う業務は調整仕事だけではない。もちろん次期発売するクルマの製品開発も行うのだが、10年も先のクルマを見据えている。 「モジュール化が進み、次に発売されるクルマの開発は、すでにどの部位をどのサプライヤーが担当するかが決まっています。しかし、エンジン制御や安全・環境対策など将来につながり心臓部となる基幹技術は、すべてをサプライヤーに任せず自社でも行います。完成車メーカーでは、次期モデルのクルマの調整業務と、10年先のクルマの研究開発を行うエンジニアに分かれています」 同じ完成車メーカーでも、所属する部署によってはまったく違う業務を行うことになるのだ。 |
一方でサプライヤーはどうだろうか?
「ひとつのデバイスを突き詰めるサプライヤーへの転職は、これまでの経験によって左右されます」と河辺氏。 完成車メーカーからの要求仕様に基づいてモノづくりを行うサプライヤーは、いかに高品質で低コストな製品が作れるかが勝負。いってしまえば、クルマ好きでなくても今までの得意分野を活かしてやっていける可能性があるのだ。 「多くの制約のなかでどれだけよい部品を作り出すか、他社にはない製品を作るかが、今後の課題となるでしょう」 最近では、同じサプライヤーでも分業化が進んでいる。システムサプライヤーとして複数メーカーを取りまとめ、モジュールを作り上げるサプライヤー、有力な自社部品を過去の系列を超えて、多くのメーカーと取引するサプライヤーなどさまざま。いずれも委託されたモノづくりではなく、自社開発を強化しクルマづくりに挑むサプライヤーが多くなってきた。 「クルマづくりにおいて、多くの会社が同じ業務を行うことは少なくなってきたと思います。適切な分業化が進められてきた結果だといえます」 サプライヤーに対するイメージが変わってきた昨今。完成車メーカーも含めて、自分が自動車業界で何をしたいのかを把握することが、転職成功の近道といえる。 |
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